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03:睦月の妹 中

問題の風呂シーン。

二人の関係がなおの事良く分かる内容ですが、それにしては如何せんだらだらと続くために分割した部分です。

飛ばしても全然OKです。

03:睦月の妹 中



 しばらくして俺が体を洗おうと風呂から上がると、「あ、お背中は私が流します」と言って瑞穂も浴槽から出てきた。なんかそんな予感はしていたが、まぁもはや何も言うまい。

「おう、サンキュ」

 彼女はボディーソープを『ちかちかタオル(俺はそう呼んでいるが、名称は知らない。布であるくせに硬い凹凸がついており、体を洗える奴の事だ)』であわ立たせ始める。そして俺が風呂の椅子(これもなにげに名称を知らない。風呂の道具で知ってるのは風呂オケくらいだ。だがそれも名称ではないような気がする)に座ると反対側で立ち膝になり、背中をゴシゴシと擦った。ちなみに余談ではあるが、石鹸よりボディーソープのほうが楽だと正光が言ったので家にはこれを置いている。俺はもともと石鹸派であったが、これはこれでよいものだった。

「非力だな。もっと力いれろい」

「う〜むむ!」

 しかしこんな風にして他人から体を洗ってもらうのは本当に何十年ぶりか。コイツと一緒に入って以来、後はずっと一人だ。もっともこんな体験をするには普通、親とか、彼女とか、友達からやってもらったりとかしないかぎり出来ないのだが。俺は正光と一緒に銭湯なんぞに行ったりもするが、さすがに背中を流してもらう気にはなれない。

「おっきぃ背中です。ハイ、腕を伸ばしてくださーい」

「ん」

 そんな感じでとりあえず洗ってもらったのはよかった。が、次だ。瑞穂は俺の正面に向かうと、「ハイ、う〜ってして。う〜って」と言って来た。来る時からそう言うまでの間、コイツの裸体が丸見えである。

「ん」

 う〜して、と言われて『上を向け』という意味の柔らかな表現である事を即座に理解したのであったが、上を向いたのと同時にエレクチオンした。っつか、そりゃ無理っつー話だ、瑞穂君。だがやはりコイツは何も気にせずに、そのまま順序よく下へ下へと洗うポイントを下げていく。

「おわ。エレクチオン」

 そしてやはりそこへ行き着いた。

「……なにを見ている瑞穂」

「な、なにですかね……?」

「なにだ」

「うむむ……」

 瑞穂は知ってか知らずか、とても難しそうな表情でエレクチオンしたそれを両手で掴む。それはそれは丹念にこねくり回されているものの、だが所詮洗っているにすぎず、しかもさっき『力いれろい』と言ってあるので強引に擦られて結構痛い。が、かわいい女の子がやっていると思うと……

「ぬ〜むむむ」

「えへへ。でもでも、私なんかでも、兄様みたいな屈強な男の人を欲情させる事が出来るんですね」

「屈強って……いや、誰でもなると思うぞ」

「そうなのですか?」

「普通ならな。つか、瑞穂!イテェんだそこは。石鹸なんぞで強引に洗いやがって。頼むからもうちょいデリケートに扱ってくれ」

「おわっすいません。なにぶん初めてなもので……」

 最後にお湯をかけたとき、確実に頭のところがヒリヒリするであろう。クソ、やってくれたな瑞穂……。

 それから足の裏からケツの穴まで丹念に洗われた。

「はい終わりです」

「うむ。次は貴様だ。承太郎」

「え?でもまだ泡を流して……」

「お前を洗うときまた付くだろうが」

「あ、なるほど。賢いです……。では、えへへ。お言葉に甘えて」

「……」

 あれ?もう言い返してこないの?クソッ、マジで天然なのかよお前は……。

 今度は逆の立ち位置になって、俺は瑞穂の背中を見た。とても小さな肩だった。無論年齢層の体格なのだろうが、女の体というものはこんなにも華奢なものか。さっぱりゴツゴツしておらず、逆に触るととても柔らかくスベスベしていた。指を押し込むとやんわりへこむ。昔は全然意識もせずにコイツと毎日洗いっこしていただが、う〜む。成長した今ではやはり意識してしまうものだ。

 どの程度の力を入れていいか迷ったが、結構強くしても瑞穂は何も言わなかった。だがそれは背中の話で、肩から腕あたりになると「も、もっちょい優しく……」と言ってきた。

「うーむ。どうも力配分がわからんな」

「駄目ですよ?兄様。女の子はもっと丁寧に扱わなくちゃ」

「なにみてーにか」

「うむむ。そうっちゃーそうです」

 モリエイターはAOFを使用するので、肉体の物理的な筋力や運動能力はさして問題ではない。だからなのか、瑞穂の体は殺しの仕事をしているとは思えないほど華奢であった。肉体の鍛錬よりも、精神力とか忍耐力とか、内面的な鍛錬をおこなってきたのであろう。

「前の方はどうする?」

「あっお願いします」

「……ふむ」

 迷った。さっきみたいに前方へ回るか。だが、やめた。俺は後ろから手を回して洗う事にした。しゃがむような姿勢なので、体が密着する事もなかった。瑞穂の肩に左手をついて、右手を前に回す。

「ほれ、う〜しろ」

「う〜」

 まったく細い首だ。これじゃ片手で絞め殺せそうだ。しかしこうしてみると、やはり瑞穂は普通の女の子だ。彼女がもしモリエイターとして生まれてこなければ、どんな人間になっていただろう?若干内気な性格ではあるが、順応力はある。きっと友達をいっぱい作って、一緒に遊びに行ったりなんかして、楽しく過ごしていただろう。そして恋でもして……。

「兄様すごいですね、後ろから手が回るなんて」

「全然すごくねぇ。お前がちっこすぎんだ」

「うむむー」

 だが今のコイツの頭の中には、敵をどうさばき、どう斬るかしか入っていない。それだけのために生まれ、教育されてきたのだ。そんなだから、今こうやって俺と一緒に風呂に入っていても何とも思っていない。これくらいの歳になれば、普通は好きな男と入るのだってかなり恥ずかしがるだろうに。

「ほれ次はお前のカバーガラスだ」

「ファッ!また言ったーー!!」

「ふん。まったく実りのないおっぱいだな」

「んむむ〜!これからだもん」

 カバーガラスなんぞと言ってはいるが、胸は普通に出ている。ただやはり芯のほうに硬さがあると言うか……って、なに揉んでるんだ俺は。いかんいかん。

「おめぇおっぱい揉まれてるの気づけよ」

「ん?もっといいですよ?」

「クソこの野郎」俺はコイツの乳首を両手で強く摘んでやる。

「わだだだだだッ!だーめダーメ!」

「ドゥフッ!」

 すると瑞穂は案の定嫌がったが、なにげに最後の『だーめ』の発音が妙に面白くて思わずふきだした。とっさに出た言葉なんだろうが、なんで真ん中で伸ばしたのだろうか?まぁそれはそれとして、俺も瑞穂と同じく下へ下へと向かう。女の子らしい細いウエストだ。

「問題はみっちぇあだが……」

「みっちぇあ?」

「みっちぇあだ。どうする」

「??いえ別に、……どうしてですか?」

「ふむ」

 正直なところ、『初めてはできれば好きな女性のを』という俺の中の意志みたいなのがあったのだが、断念せざるをえまい。やんわりと手のひらで包み込んで、指の腹でなぞる。とてもプニプニした感触が指先からダイレクトに伝わってくる。が、瑞穂の様子は変わっていない。……やはり、何も意識していないのだろう。

「……しかしよー、瑞穂」

「ん?」

「……いや、なんでもね」

 まったく無垢なむすめである。さすがにここまでくると、俺は手を出す気すら起きない。むしろ保護欲というか、守ってやらねばという気持ちが沸き起こるくらいだ。子離れできないオヤジか?俺は。クソ。だがそこから内股あたりをちかちかタオルで洗っていると、瑞穂が体を反らせて俺の胸に頭をくっつけた。

「にへへ〜。兄様はやっぱり優しいです」

「……うるせぇな。ほれ足伸ばせ」

「んむ」

 まったくワザとやってんのか違うのか。コイツのラインがどうもよくわからん。

「うし、終わりだ」

「ありがとうございます。じゃっ次は頭ですね〜」

「……」

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