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俺たちの行方

 不老不死化が義務化。確かに倉良さんはそう言った。


 政府が政府が不老不死化に心酔しているのは知っていたし、製薬と共同して活動をしていることはメディアを通してある程度は把握しているつもりでいた。



 しかし、政府はついにそれを義務化した。


 完全に油断していた。いつか来るだろうとは思っていた最悪の事態が、ここまで早いとは思わなかった。


「クソ……ッッ!!!」



 予期できていた事態を何の手を打つこともなく迎えてしまった、自分が情けなかった。



「ど、どうしたの…?エン…?」


 ラナが不安気にこちらを見つめる。今から俺が告げなければならない事実を告げることで、その顔を晴れさせることはできないのが悔しかった。


「実は…」


 俺は倉良さんが言っていたことを全て話した。最初は驚いた様子で聞いていたラナだったが、俺の予想に反して ラナからは次第に落ち着きを取り戻しているようだった。俺が言い終わる頃にはすっかりいつものラナのようで。


「…そっか」


 彼女は苦そうな笑顔でそう言った。


「そっか…って、もっと他にあるだろ」



 誰よりも人間として生きることを望むラナ。

 誰よりも生きることを知っているラナ。

 そんな彼女の答えがあまりにも淡白で、諦めているようで腹が立った。

 自分を責めていたから、余計にそう感じさせたのかもしれない。


「ないよ」


 彼女は淡々と答える。


「なーんにもない」


 明瞭に。


 彼女は言う。




「だって、義務化なんてされたって飲まないもんねー」



 俺の大好きな笑顔で。




 それを聞いた瞬間、心が澄み渡っていくのを感じた。


 やっぱり、ラナはラナだった。

 どんな状況でも、自分の信念を曲げないそんな奴だ。


「どうかな、エン。ちょっとは落ち着いた?」


 そしてどこまでも俺より上手な彼女は、俺が取り乱しているのにいち早く気付いていた。まったく、彼女には敵わない。

 

「おかげさまで落ち着いたよ」


「えへへ、よかった〜。エンのことだからどうせ、自分のせいだーなんて思ってたんでしょ」


 その通りで言葉が出なかった。

 まるで心が読まれているようだ。


「心はさすがに読めないってー」


「エスパーかよ‼︎」



 先程までのぐるぐるしていた気持ちはまだおさまっていない。

 依然として状況は変わっていない。

 でも、こいつと…ラナと一緒なら、乗り越えていける気がした。



 *




「…様、ついに人間たちの不老不死が義務化したようです」


「そう…」


 フードを被った二人組が水晶に移された地球を見ながら呟く。



「じゃあそろそろあの子たちも動き出すのかしら?」


「恐らくそのようかと…」


「楽しみね…これで私たちの計画も進められる」



 着実に、動き出す。

 誰のものかわからぬ陰謀が。





























前回の投稿からだいぶ日が経ってしまいました…。展開もなかなか進展せず申し訳ないです。これからも不定期に更新していくつもりなので、長い目で読んで頂けると嬉しいです!

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