5話「新たなる飛翔」
Hero5:新たなる飛翔
・先日の変人どもの争いによって発生してしまった日本大震災。
地球そのものへのダメージは零によって修復されたが
地上へのダメージはそのままだった。
「・・・・・・・。」
よってこの少女、リッツ=黒羽=クローチェの家にも被害が及んだ。
「I may be imprudent, but cannot but laugh.」
「だから笑ってる場合じゃないって・・・」
後ろで遠慮気味に笑う自分と同じ顔の少女。
この家にはリッツとそのシフル=クローチェの二人で住んでいた。
その二人の前。
人の入る大型のカプセルのようなマシンが火花を上げていた。
地震により水道管が破裂してこのマシンに直撃していたのだ。
「・・・これは・・・まずい・・・」
「Why don't you go to her house?」
「彼女?」
・翌日。
零及び赤羽の家。
「・・・まだ目を覚まさないようですね。」
赤羽が零の部屋に来るがまだ眠っている。
「さすがのあなたでも地球全土に影響を及ぼすほどの
力を使うのは相当しんどいようですね。」
すると、インターホンが鳴った。
「はい、どちら様ですか?」
赤羽がドアを開けるとそこには自分と同じ顔の少女が二人いた。
「・・・あなた達は・・・」
「初めまして・・というのは少し論外でしょうか?」
「ならやはりあなたは・・・」
「ええ、あなたのクローンであるリッツ・・・黒羽律と申します。
そしてこちらはもう一人のオリジナルであるシフル=クローチェ。」
「Nice to meet you」
「どうも。ですがそれは少し違いますよ。」
「what?」
「あなたはオリジナルじゃありません。
オリジナルなのは私だけです。」
「・・・・」
「・・・どういうこと・・・?」
「今から17年前。
原作で言えば14年前ですか。
あなたの父親であり元凶であるクローチェ博士と
私の父親である赤羽カイトは今まで見たことがない遺伝子を持つ
女性を発見しました。その女性と私の父の間に生まれた子供が
私、赤羽美咲。そしてそのクローン第一号。
それがあなた、シフル=クローチェさんですよ。」
「・・・・・・!」
「シフルもクローンだったと・・・?」
「ええ。最初のクローンであるが故に
一切の改造手術は行われなかったようですから
自分を普通の人間だと思っても仕方ありません。
自分の生みの親が生みの親である以上。」
「Am I a clone? Is it your clone?」
「はい。とは言え私と違って父親はクローチェ博士ですから
私達は姉妹のようなものですね。
クローチェ博士は自分の子供が改造人間だと怪しまれるために
あなただけは一切改造しなかった。
その代わりに私が改造手術を受けたんです。
最強の白帯・マスターホワイトに次ぐマスタークリムゾンとなるために。
ですが4年前にあの人によって三島の改造施設は破壊され
私は救出された。完成品である私は問題なく外の世界でも
生活ができるようですが・・・あなた方はどうやって?」
「・・・シフルと一緒にメンテナンスマシンを運んでひっそりと暮らしていた。
でも昨日の地震でマシンが壊れて・・・・。
あなたならどうにか出来ると思ってここまで来た。」
「・・・そうですか。しかし私には・・・」
「いや・・・任せろ・・・」
そこで零が起きてきた。
しかしまだクラクラするらしくフラフラしている。
「あなたは?」
「先程説明に上がった三島の施設をぶっ壊したあの人こと甲斐廉だ。
ま、今の君達をそんな状況に追い込んでしまった事件2つの
犯人だと思ってくれればいい。
で、君はどうする?そのままでいても行く宛がないんだろう?」
「私はまだ生きる意味を見つけられていませんから。
ここで死ぬわけにはいきません。」
「・・・いい答えだ。」
「けどどうするんですか?この世界にあの人はいない。
つまりその子も、例えあなたが右足の膝を粉砕したとしても
魔法のように一瞬で治してしまえるような機関は存在しないんですよ?」
「分かっている。けど魔法ならある。
この俺が!美少女の力になれるというのに!
なして!力を振るわぬ理由があろうか!!」
「・・・・・・・は、はぁ・・・・」
「だから奪わせてもらう!その機械仕掛けの体を!
さあ!勝利という名の侵略の采配を奏でん!!」
零が叫ぶと謎パワーが溢れ出してリッツの体を包み始めた。
「・・・・これは・・・・」
「甲斐さん・・・・!連日でそんな無茶をしたら・・・・!」
「悪いがこの力は無茶無理無用を極めなければ意味がないのでな!!
うおおおおおおおおおおお!!!
オーノホ・ティムサコ・タラァァァァァキイィィッ!!!」
そして、光が収まると
「・・・あ、体が・・・・」
「残念ながら改造前の姿には戻せなかったが
もう君にマシンは・・・・いら・・・・・グッ!」
「甲斐さん!!」
その場で零は倒れた。
「・・・シフル、」
「Don't mind
」「気にするなってあなたは・・・」
「I am I.You are you.This is not change of fact.
because Don't mind.」
「・・・シフル・・・」
それから二人は家に帰っていった。
・翌日。
リッツはシフルとともに学校に向かう。
偶然にも赤羽と同じ高校だったらしい。
「・・・・・・・。」
3年前。
あの日以来あの男もあの妖怪も姿を見せていない。
一体何があったのか。
「出会え出会えぇぇぇぇっ!!!」
校門前。
いきなり号砲が響いたかと思えば
零、トゥオゥンダ、ジキルの3人が赤羽担いで
校門から全速力で走っていくのが見えた。
「・・・あれって・・・」
「Don't mind」
「あなたそれだけ言えばいいと思ってるでしょ。」
「Dictionary is not start.」
「辞書が立ち上がらない?あなた何言ってるの?」
溜息1つついてリッツは校門から中に入ることにした。