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16話「罪な薔薇」

Hero16:罪な薔薇


・10分。

それがこの街のタイムリミット。

三次元人が笑う中トゥオゥンダとジキルに2枚の手札が渡された。

「ジキルは相手を否定しろ!トゥオゥンダは逆に肯定するんだ!」

「そんなこと言われたってな!!」

ジキルが発砲。反動で手首がポキッと鳴る。

が、銃弾は次元の壁の前に防がれた。

「観念が足りない!そんな可能性じゃ何も救えないぞ!」

「んなこと急に言われてもどうしろってんだ!

言っちゃなんだが俺はあまり頭が柔らかくないんだぞ!!」

「ならゲームだと思え!得意なんだろ?FPS!」

「そう言われたってな・・・!」

何発撃っても壁には届かない。

「・・・なら・・・!」

トゥオゥンダが1枚のカードを出す。

「・・・で、これでどうすればいいんだ?」

「地球人には出来ないこと、宇宙人なら出来ることを

頭に描いてそれを肯定するんだ。

そうすればそのカードは使える。」

「・・・人に出来ないことを肯定する・・・」

トゥオゥンダがカードを向けると、

トゥオゥンダの周りにも次元に壁が発生する。

「・・・そりゃ目の前で起きてる超常現象なら想像しやすいだろうな。」

トゥオゥンダがゆっくりと三次元人に近付いて行く。

そして次元の壁同士がぶつかり合う。

水面同士が合わさるようにゆっくりと静かにしかし波紋が広がっていく。

やがてトゥオゥンダの手が三次元人の肩に触れた。

「なるほど。見事だ。しかしそれだけでどうする?」

「ジキル!」「ああ!」

ジキルが発砲。その弾丸は確かに三次元人に命中した。

しかし、威力はない。

「どうして!?」

「何度言わせれば気が済む?

その弾は相手を否定しなければ威力にならない。

そいつを否定しなければこの街は消える。

いや、この場にいればお前も消えるんだ。」

「だったら・・・!」「逃げようってか?逃げてどうする?

一人だけ逃げて仲間を置き去りにするのか?

明代を庇ったお前も、風の旅人と触れ合ったお前も、

そいつらをすべて信じたトゥオゥンダを裏切ってただひとりで逃げるというのか?

それがお前の可能性か?」

「・・・・・そんなもの!」

発砲。それは今度こそ確かに三次元人に命中した。

「何・・・・!?」

命中した場所からまるでガラスのように割れていく。

「うわっ!」

トゥオゥンダが手を離すと崩壊は加速していく。

「・・・なるほど。これがお前達の可能性・・・。

ならばそれを全宇宙に示すといい・・・・」

砂時計のように崩れ落ちていく三次元人。

その粒子が光となって宇宙に流れていく。

「これで我々の敗北は宇宙に知られることとなった。

ヨキア星人に種を司る者に種に由来しない存在、

大地の化身に宇宙を肯定する者と否定する者。

これより地球がどうなるか・・・。」

「心配せずとも誰にも負けるつもりはない。

だからゆっくりと散っていくんだな。」

「いや、そいつは死なない。」

構える零の肩に手を置いてトゥオゥンダが一歩前に。

「トゥオゥンダ?」

「俺が肯定したのはコイツの力だけじゃない。

俺はコイツの存在を否定しない。」

1枚のカード。

それを今にも崩れ去ろうとしていた三次元人に向ける。

「お前・・・まさか・・・・」

三次元人の<崩壊>だけがカードに吸い込まれていく。

そして、

「ふふ、変わった奴だな。」

くす玉が割るようにして三次元人の姿が変わった。

それは、

「・・・・・・は?」

どっからどう見ても地球人の美少女の姿だった。

ご丁寧に声や口調まで変わってやがる。

「うん、三次元人としての力が全て失われて

あなたが肯定した姿になってしまったようだね。

ご丁寧に学校の制服。それもギャルゲーとかに出てきそうな

実に華美なデザイン。胸強調しすぎだなぁ。

えっとなになに、学生手帳には生年月日や名前まである。

キャリオストロ・ギミー、14歳。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「おい、モールス信号みたいになってるぞ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「長ぇよ。ってか自分で蒔いた種だろうに。」

「生涯童貞とか言っていながら心の奥底では

これほどの魔物を飼っていたのですね。性欲という名の魔物を。」

「せーよく?まもの?」

「・・・何というか筆舌にし難い現象ですね。」

「今のこれなら俺も何の葛藤もなしに否定できるわ。」

「あははは、ある意味強い人かも。」

「自らの欲望をここまで肯定出来る人間はそういない。

示されたじゃないか。宇宙中に自分の可能性を。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごふっ!!」

「あ、血吐いて倒れた。」

ともあれ戦いは終わり街はいつもどおりに戻った。

そして英雄部には新たな仲間。

元三次元人キャリオストロ・ギミーが加わった。

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