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(仮)イルカ神話

○はじまり

むかしむかし、とおい、とおい所から、たった1人で色々な星を旅していたイルカがおりました。

そのイルカは旅をすることを、はじめは楽しんでいましたが、ほとんどかわらない星たちの景色に、とてもたいくつしはじめていました。

イルカは星に聞きました。「星さん、星さん、わたしは元にいたところにかえりたいの。どうすればいいかしら?」

星はこう言いました。「イルカさんはここまで、うんとながい時間をかけて旅をしてきたでしょう?元にいたところにかえるには、またうんとながい時間をかけなければならないよ」

イルカはがっかりしました。今と同じようにたいくつした旅を、くりかえさなければならないからです。「星さん、教えてくれてありがとう、またうんとながい時間をかけて元にいたところまで旅をすることにするよ」

星はイルカの力なく泳いでいくすがたを見て、イルカにこう言いました。「ちょっとまってイルカさん、いい方法を知っているよ。ここに元にいたところとそっくりな場所を作ればいいよ」

イルカは「それはいい!」と手をたたいてよろこびましたが、身体を丸め、うーんと悩んでしまいました。「ここには元にいたところを作るための材料がないよ」

星も悩んでしまいましたが、すぐに「いいことを思いついたよ」とイルカに向き直りました。「イルカさん、イルカさん。この身体をお食べ。そうすればきっと元にいたところを作ることができるよ!」

イルカは星におそるおそる聞きました。「星さん、ほんとうにいいの?私が星さんを食べてしまえば、星さんは無くなってしまうよ?」

星は「よろこんで!」と答えました。「イルカさんの元いたところに生まれかわるだけさ!イルカさんの為になるなら、いくらでも『犠牲』になるよ」

イルカはそのことばを聞くと、できるかぎり星を丸呑みしました。

イルカはフンで大地を作り、星の海を大地のくぼみに注ぎ込みました。海が輝いて見えるのは、元が星だったからなのです。そして食べかけの星を粉にして飲み込みました。するとイルカには星の力が宿り、すべてのモノに含む『穢れ』を自由にあやつることができるようになったのです。



○ヒトの生誕

広大な星が出来上がり満足したイルカでしたが、次第に星にたった1人で居るのがさびしくなりました。今までは星が話し相手をしてくれたので、さびしさなんて感じなかったのです。イルカは悩みに悩み、もう1人の存在を作り出すことを決めました。イルカが海で泳ぐと、少しずつイルカのおなかは大きくなり、やがてヒトの男の子を産みました。

男の子はすくすくと育って少年となり、やがてイルカよりも大きくなりました。けれども、少年はヒトであってイルカではありません。イルカとは違って、少年は『穢れ』を自由に操ることはできませんでした。気づけば少年は、『穢れ』を自由に操って何でもできるイルカへのあこがれを持ちはじめました。

「ねえイルカさん」少年はイルカに聞きました。「どうしたら僕は、イルカさんみたいに自由に『穢れ』を操れるようになるの?」

どうすれば良いかは、イルカにも分かりませんでした。イルカは『穢れ』を自由にあやつる力を、星を食べることによって得ました。けれども、もうここには星そのものはありません。少年に食べさせることはできませんでした。

そこでイルカはうーんと悩み、自分の身体の一部であるヒレをヒトに食べさせることにしました。「『穢れ』を操ることができるようになったのは、星を食べたからよ。食べた星の粉は、この身体の中に含まれているから、身体の一部であるこのヒレを食べれば砂を食べたのと同じことが起きるかもしれないわ」

少年はたずねました。「本当にヒレを食べたら、『穢れ』を自由に操ることができるようになるの?」けれどイルカには「たぶんそうだと思うよ」とあいまいな答えを言う他ありませんでした。

少年はイルカの言葉を信じて、イルカのヒレを食べました。すると、確かに『穢れ』を自由に操ることはできるようになりました。しかし、それは完全ではありませんでした。なぜなら、イルカの食べた星の粉に比べて、少年がイルカの身体をつたって食べた量は、ほんの僅かにしか過ぎなかったからです。いま私たちヒトが、ヒトそれぞれとくべつの『穢れ』しか操れないのも同じわけで、イルカよりも食べている星の粉の量がすくないからなのです。しかし、ヒトはイルカよりも劣っているモノなので、少年はそのことに気づかず「イルカにだまされた!」と考えてしまいました。

少年のイルカへの気持ちは、あこがれから憎しみへと変わりました。少年はイルカに問いつめました。「どうして僕をだましたの?」イルカはだますつもりなど無かったので、ただただ少年に謝りました。それでも怒りがおさまらない少年は、イルカを殴りつけて、そのまま去ってしまいました。


○ヒトの悩み

少年とイルカの間にとても大きな隔たりが出来てしまってからしばらくして、少年は悩みました。「どうしてイルカのことを傷つけてしまったのだろう?」少年は少しだけ『穢れ』を操ることができるようになったので、今までよりもずっと楽な生活をすることができたのです。そのことをイルカにお礼し、そしてイルカにだまされたと思って殴ったことをあやまらないといけない、そう思いました。

その頃、イルカも悩んでいました。それは、少年に星の砂を与えてしまったことで、少年が悪さを始めないか心配だったのです。イルカの方が力は強いとはいっても、いつ少年が悪知恵を働かせてイルカに襲いかかってくるか分からないまま不安な生活を送るのは、イルカはとても嫌だと考えました。

そこで、イルカは少年のところへ行き、少年の悩みを解決する代わりにヒトの身体の中に含まれている星の粉を返してもらおうと考えました。

そうと決まればすぐに行動しなければいけません。イルカは少年の元へ行き、少年に聞きました。「ねえ、何か悩みは無い?」

少年はイルカに言いました。「自分が愚かなことが悩みかな」その悩みを聞いて、イルカはぽんと手をたたきました。少年から『穢れ』を取り除かなくても、少年に賢さを与えればそれほど悪さをしないだろう、と考えたからです。

イルカは自分の持っている知識を毎日少しずつ少年に教え、『穢れ』を取り除く代わりに少年の悩みの解決に手助けをしました。そうして少年とイルカの隔たりは縮まっていったのです。


○新たな生命


ここから先は文字が欠けていてよく見えない。


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