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保護監察

アラマド会長の事を書きはじめたら長くなって、収まらなくなりました。

やり取りを削ったら今度はアッサリに……('ー ' *)

 三日が過ぎる頃には、ザワルはいわゆる『足して2で割った』状態になった。

 前世がえりは精神状態が不安定になる、危険な時期を過ぎて、まずは一安心と言うところか。


「“新たな世界に踏み出す”のは、止めたのか?」

「いやもう勘弁して下さい。顔から火が出そうです。」


 記憶の混乱が治まって自分のしでかしたことに、ザワルは青くなった。

 まあ、人生を”踏み外す“ところだった訳だから当然だ。


 窃盗は勿論のこと、“奇行”で家族や長年勤めた仕事先、自分の人生を丸ごとドブに捨てるところだった、魔獣に突っ掛かって死ぬ以前に社会的に人生が終わる。それだけでなく『兄弟に頭のオカシい奴がいる』等と噂が流れれば妹達も嫁に行けなくなる。


 こちらの世界で農家の次男が、住み込みで定職を得るというのは容易ではない、それもただの職ではなく終身雇用だ、勤め先が倒産でもしない限り『真面目に勤めあげれば』将来は独立も手助けして貰える。

 こちらで“働く”とは、一つのことを継続して一人前になりさらにその道のプロを極めることを言うのだ、キリギリスのように職を転々とする日雇い(フリーター)に一度転落したなら二度とはい上がれない、まして盗みで解雇となったらエスタル市内ではあっという間に広まって、どこも雇わない。


 黒歴史的な、いたたまれなさにも、のたうちまわっていたようだが。




「なんでぇ、つまらねぇ、男が小さくまとまってんじゃねえぞ」

 いや、小さくなったのはアンタのせいでもあると思うぞ。

「いやいや、はみ出してどうするんですかアラキ会長」


 アラキ酒造の商会長であり、エスタル互助会のアマラド会長は、ザワルが捕まった翌日には(押しかけてきて)面会している。


『酒造』と商会名を掲げながら、4ヶ国を股にかけて前世で言うところの“総合商社”を経営する豪商だが、どちらかと言うと的屋の親分かガテン系の親方。太い眉、ぎょろ目、だんごっ鼻にでかくて厚い唇、顔は鬼瓦か獅子頭、本人の性格も相当暑苦しい、コレが牢の小窓から予告無しに覗き込んで来たら相当ビビる。

 まだ『藤沢貞行』の方が表に出ていた時期だったがが、チンピラはチンピラなりの嗅覚で感じるところが有ったらしい、目が合った途端に腹を見せて(転んで)あっさり降参した。

 まぁ、その後更に念入りに精神的に叩きのめした訳だが。


 ザワルの身柄はこの後アラマド会長が預かることになる。

 親分肌の男なので、元の職場に戻れるように口利きして、その後の事にも力になってくれるだろう。




 母神の思し召しにより、転生者は言葉を覚えこちらの世界と生活や習慣を覚え慣れる為に、最短でも14年を前世の記憶が無いまま過ごしていると言われている訳だが、前世が若年層の『押しのけ型』は心が折れやすい。


 難病などで亡くなって、「神様、新しい人生と健康な身体をありがとう」と、思える人間は問題ない。


 現状が把握できずにパニックを起こしたり、言葉が通じるので「やった言語解析スキルが装備されてる」とか、ぬか喜びするザワルのような中二病も、騒ぎを起こしてくれるので、実は保護しやすい。


 同じ家の中で扉の向こうに家族が居るのに、それが自分自身のこととは実感出来ずに、『家族と友人達が誰もいない世界に自分だけが一人いる』ことに。

 酷い場合はPC、スマホは勿論、電気ガス水道が整備された『豊かな生活』に戻れないことに。

 絶望が心を壊して自殺してしまうケースもあった。

 誰にも知られないままひっそりと「向こうの世界に生まれ直す」と遺書を残して。



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