②傭兵には傭兵?
一時間が経過し村長が村の中心の広場に向かうと、大勢の男衆が集まっており村長が来るのを心待にしていた。
村長はその光景を見て、少し安心したのか少し微笑みがこぼれながら、ゆっくりと杖をつき壇上に上がった。
「皆集まってくれて有り難う、こんなに集まってくれるとは思わなかった。皆の村に対する熱い気持ち村長としてとてもうれしく思う。」
村長は頭を軽く下げ、杖を持っている手に力を込めながら話を続けた。
「早速だが、敵がここから20キロ離れたところに陣を張っていると偵察に出ている自警団員から報告が入った。およそ敵の数は騎兵100人歩兵200人総勢300人だそうじゃ。」
村長は現在村がおかれている現状が厳しいものであるため険しい顔になりながら話を続けた。
「我々は自警団と男衆を合わせても歩兵200名程度だろう、そして自警団に所属している者でも、戦いが初めてな男衆もたくさんいるだろう。もし戦いになった場合勝算は極めて低いと思ってくれ。再度言うがこの報告を聞いてこの村を出たくなった者は出て行って構わん。」
村長の話が終わると、重たい空気に包まれていた男衆の中から、一人の男が声を発した。
「村長私は、この村を捨てて逃げたなんて私の息子たちには言えません。親父はすごいんだぞってところを息子たちに見せてやりたい、私は村長と共に戦う決意を再度固めました、一緒に戦わせてください。」
それをきっかけに、広場の重たい空気は消え広場にいる多くの男衆が喋り出した。
村長は涙を瞼に溜めながら声を続けた。
「早速だが、もし戦うとなった場合の今後の方針について皆に聞いてもらいたいと思う。」
村長は一呼吸おき、隣にいる人物を見た。
「戦闘に関しては自警団のリーダーをしているハイゼン・バウワーに任せてるので、バウワーリーダー頼む。」
指名を受けたバウワーは村長と一瞬目を合わた後、男衆と自警団員の方を向き、硬い甲冑に包またバウワーは、歴戦の兵士であることを語るように威勢のある声でその場で
「先ほどご紹介に上がったハイゼン・バウワーだ、皆よく聞いてくれ。村長からは勝算が低いと聞いて落ち込んでいる者もいだろう、たしかに勝算は低い。だが彼らは元傭兵であって帝国の正規兵ではない村から略奪をおこない生活している野蛮人だ。そんな奴らに我々が負けていい訳がない、だから私はこの戦いに勝とうと思う。」
この言葉を聞いた男衆から驚きと歓声が沸いた。
歓声鳴り止まぬ中ハイゼン・バウワーは息を調え話を続けた。
「早速だが、我々が勝つための作戦を話す。まず一つ目に、まだここに残っている女子供は近くの駐屯所のある都市へ逃がす。二つ目に、先ほど女を逃がすといったが後方支援で女性達を使って、できる限り前線に男たちを送りたいと思う。そのため男衆のご婦人方にもこの戦いに参加していただきたい。」
男衆が少し落ち着いてきたところで、三つ目に対してリーダーは両手に力を入れ、動作を交えながら話した。
「もちろん強制ではない、三つ目に、最後に今までの作戦を踏まえ我々が勝つための作戦を話す、相手が元傭兵ならこちらは現役の傭兵を雇おうと思う。私が帝国との対戦でであった傭兵達に救援を頼むことにした、きっと来ると信じている。彼らをまとめているのは私の戦友であり信頼できるお人だ必ずきてくれるであろう、これが私の考えた作戦である。」
広場ではリーダーの作戦を聞き立ち上がり歓声を上げている者もいれば、いつ仲間の傭兵が来てくれるかなんて解らないことに心配している男衆もいた。
広場の様子を見ていた村長も高揚したのか一言発せられた。
「皆勝とうぞ」
村長の一言で傭兵の事で心配していた男衆も歓声に加わりだし、広場は歓声一色となった。
歓声が落ち着きだすとリーダーから命令が発せられた。
「まず男衆と自警団員は武器に使えそうなものを広場に集め、そして家にある食料を村の食糧小屋に持って行ってくれ、ご婦人方はこの戦いに参加するか参加しないかを決めたのち男衆の補助に回ってくれ、では皆作行動に移ってくれ。」
男衆と自警団員への話が終わると現在残っている、一部の自警団員に集合をかけた。
「作業に移る前に、現在残っている自警団に所属する隊長級の者とサット・ミルドは残ってくれ。」
リーダーに言われた通り自警団の隊長級の者は、男衆とは別にリーダーの周りに集った。
「集まってくれて助かる、先ほど説明したが敵との交戦がまじかである、そのため即急に敵がいつ攻めて来てもいいように臨戦態勢をとらなくてはならなくなった。」
隊長級の者は大きく唾をのみ、リーダーの話しを真剣に聞いた。
「早速だが隊長級の者に命令を言い渡す、まず敵がいつ攻めてきてもいいよう、24時間交代制で敵の陣を監視し1時間おきに私に連絡を入れてほしい。」
リーダーは次々と命令を発した。
「次に、村に不審なものが潜伏しないよう村を24時間体制で警戒にあたる。最後に村に不審な者が潜入にないためを私の命令なしに開門しないこと各小隊長級の者は即急に協議し、部隊を編成し命令に移れ。」
リーダーからの話が終わり隊長級の者が去ったあと、最後にサット・ミルドを呼び大切な傭兵の概要を話したうえでリーダーは金貨を数枚サット・ミルドに渡し、交渉に行く命令を出した。
全ての命令を終えたリーダーが広場から去ろうとした時、近くにいた村長に話しかけられた。
「この戦い、傭兵の救援があれば本当に勝てるのかね?」
リーダーは陽気に笑いながら、自信のこもった声で答えた。
「もちろんです、私は勝てると信じていますよ私の戦友は義理堅く、強いですからね。そのために、先ほどサット・ミルドを傭兵との交渉のため向かわせました。」
すこし安心した顔をしながらリーダーの言葉を聞いて去って行った。
そろそろ主人公を登場させたいなと思っています。
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つたない文章ですが楽しんでくれたらなと思います。