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その4 曾子曰く、吾日に三たび吾が身を省みる。

評価とかが増えてるとすごいテンション上がります。

評価してくださった方々、ありがとうございます。

「【曾子(そうし)曰く、吾日に三たび吾が身を省みる。人のために謀りて忠ならざるか。朋友(ほうゆう)交わりて信ならざるか。習わざるをつたうるか。】」

 

 先輩が今日のテーマを提示する。


「そういえば琴浦君、あなた入学してだいたい今1週間ってところよね?」


「いきなり話が変わりましたね先輩。で、それがどうかしたんですか?」


「クラスで新しい友達とかはできた?」


「まぁ、多少は出来ましたけど」


「いやね、そんなあなただからこの曾子の言葉は大切かなぁって思って」


「はぁ」


「これはね『曾先生が言われた。私は日に何度も自分のことを反省するよう

にしている。人のために考えることについて誠意を尽くさなかったか。友人との交わりにおいて信義を尽くさなかったか。人に自分でもまだあやふやなことを伝えなかったか。』という意味の教えね。要は人に対して誠実だったか常に考えろってことね」


「……なるほど」


「新しい友達とかもできただろうから、そういった人たちにきちんと誠実であってねっていう私からの言葉ね」


「なんか先輩、たまにはまともなことが言えますね」


「まったくこの後輩は……。まあとにかく新しくできたつながりは大切にし

なさいってことよ」


「はい、わかりました」


 今日はいつもと違って本当に普通の論議になりそうだ。


「そうよ、新しいつながりは大切にしなさい。友達とか……先輩とか」


「そうですね。……?」


「そう、つながりは大事なの!具体的にはもっと先輩を敬う必要がある

わ!」


 うん、普通の論議だと思ったけどどうやら僕の錯覚だったらしい。

 適当に聞いておくか。


「はっはっは、何を言ってるんですか先輩。もう十分敬ってるじゃないですか。先輩を敬わせたら僕の右に出る人なんていませんって」


「いるわよ!ていうかなにそのムダな自信。全然足りてないわよ!」


「えぇ!?僕のこの全身からあふれる先輩への敬意を全く感じないと?」


「全然よ!むしろまったく足りてないわよ!」


「まったく、先輩はわがままだなぁ」


「どこがよ!むしろ私今すごい普通のこと言ってると思うんだけど!」


「まあまあ先輩。少し落ち着いてください。血圧上がりますよ」


「あなたが上げさせてるんじゃない!ていうかそんなの気にするような身体

じゃないし!」


「と思っていた私であった。あの時どうして後輩のいうことを聞かなかった

のか今でも悔やまれる」


「なんなのそのわけのわからないナレーション!」


「はは。まあ気にしないでください。あんまり細かいこと気にしてるとふけ

ますよ」


「むきゃーーー」


 先輩は今日も元気だなーと思いながら今日も時間が過ぎてゆく





「で、先輩への敬意でしたっけ?」


「はぁはぁ。まったく、話が大分脱線しちゃったじゃない。まあそうよ、先

輩への敬意よ」


「はぁ、そいわれても自分のどこが悪いのかわかりかねますね」


「あなたそれ本気で言ってるの?だったら曾子の教えみたいに3つのことにつ

いて考えてみたら?」


「なんか初めて論語部っぽい活動ですね。ではさっそくそうして見ます」



―少し経過―



「はい、考えてみました。」


「そう。で、どうだったかしら?」


「結論から言いましょう。……どこにも問題ないですね」


「考えた末で!?」


「今思い起こしてみても何ら恥じる要素が見当たりませんね」


「いやいやいや。あなた全然できてないわよ!特に友人に信義を尽くせって

とことか」


「はっはっは。何をバカな」


「じゃああなた、今日私が先輩を敬えって議題出したときとか何考えて

た?」


 何って、それは……。


「適当に聞いておくか。ですかね」


「それよ!」


「あと、今日も普通の議論じゃないのかとか」


「それは今どうでもいいのよ!その前よ!私の話適当に聞き流そうとしてた

じゃない!」


「どうでもいいんですか……。うーん、そうですね、何か問題でも?」


「大ありよ!明らかに敬意がないじゃない!」


「だって先輩ですよ」


「だっての意味が分からない」


「えぇー。これでも先輩に対してものすごく敬意をこめてるんですけどね」


「これで敬意が込められてるって……。あなたの中の私ってどれだけ低く見

られてるのよ」


「まあまあ、これぐらい普通ですって」


「どこの普通よ……。はぁ、なんか今日はもう疲れたわ」


「そうですか。では今日の議論はこれまでですか?」


「そうね。……結局当初の予定であった琴浦君の私に対する敬意については何ら進展がなかったけど」


「では、今日の結論とかは何かありますか?」


「まあ最初にも行ったけど、他人に誠実かどうか常に考えなさいってことね。ただし」


「ただし?」


「自己評価と他人からの評価は食い違うものよ。自己評価だけじゃ自分に甘くなるからたまには他者からの評価も取り入れなさい」


「まったくその通りですね」


「……どの口が。まあいいわ。はい、今日の議論終了。お疲れ様でした。」


「お疲れ様でした」


 うん、今日は中身こそあれだったけど実にいい結論になったな。


「……ホントにちゃんと他人の評価も聞くのよ」


「わかってますって」


 今日は先輩との部活の割に実に有意義だった。


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