契約成立
魔王様は、無駄にダンディーなボイスで簡単に召喚の経緯を語ってくれた。本当に簡単に。
(魔王様はとんでもないイケメンだなぁ。こりゃあ、迫られたら断れないかも。)
「まっ、それは無いか」
「どうかしたのか?」
「いえっ!何でもありません」
「そうか、ならばよい」
そうイケメンさんである。いっそ清々しいほどに。よくRPGで出てくる、こんなのいるわけ無いだろ!ってくらいのイケメンで、整いすぎて怖いくらいだ。
肌の色は白く、腰まである黒髪の光沢はシャンプーのCMで見たやつで、瞳は紫色だ。
目で見える暗いオーラをもやもやと辺りに撒き散らしているけど、あれどうなっているんだろ?
俺は同じイケメンとして、顔が整っている人は男も女も好感を持ってしまうからなぁ。ちなみに、自分で言うのもなんだけど、俺は自分大好きです。
「汝は、我が魔国の勇者になってくれるか?」
「分かりました、勇者になりましょう。ですが、いくつか気掛かりな事があるのですが、宜しいでしょうか。」
「よい。申してみよ」
「ありがとうございます。先ずは、なぜ自分なのでしょうか?私には戦うことなど出来そうに無いのですが。」
「ふむ、そのことか。なあに、問題は有りはせんよ。汝は確実に戦える。そのことは、汝に付ける世話係に聞くといい。」
「分かりました。後一つ、魔国の勇者になって活躍したら、なにか褒美とか貰えるのでしょうか。」
「そのことか。それで、汝は何を望む?」
「そうですね。住むところ、食べるもの、女とかいいですね。あっ、永遠の命とかありますか?」
「生活は保障しよう。女もいいだろう。世話係に頼め。永遠の命は無いが、それに近いものはある。人間の国を支配出来れば、1000年以上生きられるようにしてやろう。」
「有り難き幸せ。必ずや、魔王様に人間の国を捧げてみせます。」
「世話係として、この女を付けよう。分からない事があれば聞くといい。」
(むっちゃ可愛い!?ありがとうございます、魔王様!)
世話係をずっと見つめながら、心の中で忠誠心が鰻登りな俺であった。
「…………では、下がるとよい。部屋は世話係に着いていけば分かるだろう。」
「はっ!了解であります。」
(おっと、マズいマズい、話を途中から聞いていなかった。なんかバレて無い感じだし、ギリギリセーフってところかな。)
読んで下さってありがとうございます(*´▽`*)