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殺戮勇者の蹂躙譚  作者: まことのすけ
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今後の方針

 人類を衰退させるには、多大な労力がかかる。

 そんなこ事は言われる間でもなく分かっている。知っている。だからと言って、何もしないなんて出来る訳がない。

 俺の命を伸ばす為にも、人類には衰退して貰わなければならないからだ。これは決定事項だ。

 かといって、妙案をすぐさま思い付くのは難しい。


「どうすれば衰退させる事ができる。ううん、難しいな。何かヒントでもあればいいが。」


 いくらなや悩んだところで、このまま考えても案は出そうになかった。

 クリスに聞いてくも、


「勇者様が敵軍を蹂躙すれば宜しいのでは。」


 とか言ってくる始末。それをしたくないから聞いているんだろうが。全く使えん部下共だ。

 確かに自分なら敵軍をメチャクチャに出来るだろうし、戦争には連勝になるに違いない。

 だが、人間側の勇者に目を付けられるのは、今は避けたいのだ。異世界に来たばかりの俺と、強敵と幾度となく戦い続けた人間側の勇者では、勝敗を考えるのも馬鹿らしかろう。

 それに自分一人が突っ込んだところで、万は殺せても億は難しい。いくら時間があっても足りなくなるだろうから、効率よく摘み取る手段を考えねばならぬ。

 ふぅ、このままではらちが明かないし、考える切り口を変えてみるか。そうだな、真逆で攻め落とす側から守る側の事を考えてみようか。


「自分だったらどうする。どうやって衰退を防ぐ。そう、防ぐってどんな攻撃からだ。何と戦っている。」


 こんな時こそ地球の事を思い浮かべる。

 人間の歴史は常に争いで綴られてきた。中世かそこらの文明レベルである異世界と地球とでは歴史の厚みが違う。そして魔族以外と争ってきた歴史がある。魔族ですら精一杯なのだ。この上、別の物と争うほど人類に余裕は無いはず。

 地球で人類は何と戦っていた。何を恐れていた。地球の中でも特に平和な日本という生まれでは、身近なところに恐怖など無かった。テレビで犯罪者のニュースを見るたびに不安にはなったが、すぐに忘れていた。

 恐怖という感覚を持つ対象が少ない。だが、たしかにあった。身近では無いが、不治の病なんてのがそうだ。

 そうだ、覚醒剤なんてのもそうだ。心と体を蝕むクスリ。

 ニュースになるたび俺には関係ないと感じるあれだが、自分が知らず知らず飲んでいたらと考えると、恐ろしくなってくる。


「これだ。俺は、病とクスリを新たな敵として人類に贈ろう。そして、ことごとく闇に染めてやる。」


 俺の中で、明確に方針が決まった夜だった。


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