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比翼連理  作者:
14/50

十三話

縄を辿り、見た先には何故か猿轡を噛まされ

涙がボロボロと零れる中年の男性

縄はその中年を複雑に縛り上げており、床に転がされていた

そこまでは良かったのだが、精神衛生上は


「サニー、ほどほどにね。


あと、出来るならここでそのようなことはあまりしないように


床を掃除しなきゃいけなくなりますからね。」


憐れみさえ感じる眼差しで中年の男性を見て、すぐに視線を外す。


中年の、しかも男の恍惚とした表情で見上げる姿ははっきり言ってキツいものがある。


サニーは仕方ないとばかりに縄を引き、無邪気そのものの笑顔で告げた。

いや、はっきりと無邪気を装っているのはこんな縛りをしてる時点で明白だ。


「レイ様も来たし、悪いけどここまでだよ。


さぁ、狗はお家に帰って良い子にして


そしたら、もう一回くらい


遊んで、あ げ る か ら さ


じゃね、テシオ分館長様?」


なんとも小悪魔的な魅力に溢れた囁きである。


中年の男性、テシオは頬を赤らめ、自ら縄をほどきながら頷いた。


「ま、またね」


手を振り出ていく男性に手を振り返し、扉が閉じるとレイを振りかえった。


「レイ様、お話し聞きたいですか?」


「テシオとはまさか医療官の、いえ忘れてください」


「はい」


まさかの大物があれとは少し見直しが必要なのかと頭痛がする。

(医療官は医療に特化した魔法使いのことで、ちなみに分館長は国の中で四番目に地位が高いです。)


「とにかく私の預かり知らぬところで何が起きたかとても気になります。


宰相である私を通さず失脚してるとはありえませんからね」


「じゃ、まず関係してるのはレイ様がよく知る人物達ですよ。」


自らの執務席に腰掛けレイからよく見えるようにソファに陣取り、サニーは可愛らしく告げる。


「私の知る人物?誰ですか?」


「それは


レイ様の妹姫ダリア様と叔父君のグレル様」


「またですか?まだ懲りてないとは


もう一度あんな大惨事にしたいのでしょうかね?


皇宮にいる方々は」


やれやれと笑うレイ


しかし、次のサニーの言葉に額を押さえるはめに


「皇妃様付き侍女長ハースト様も関係者の一人であり


手っ取り早く言いますと被害者です。」


「詳しく話なさい」


「要約しても長いんですが仕方ないですね。


ハースト様が皇妃様からダリア様への用事を頼まれてダリア様をお探しになり


ダリア様が城の裏にいることを聞きつけて行かれたそうです。


しかしダリア様はいらっしゃらず、戻ろうとして男に襲われたのです。


ですが事に及ぶ前にダリア様とグレル様によって阻止され、男はそのまま騎士団に叩き出されて処分される


これが大体のあらましです


まぁ、普通はそこで終わるはずだったのですが、処分されるはずのその男が

いえ正確に言えば男の親が厄介にも乗り込んで来たんです

ダリア様の元に」


ため息をつき、レイを見上げて苦笑した。


「男の親がダイル侯爵様だったんですよ。


この前のレイ様の見合い相手の家です。」


「ダイル侯爵ですか。それで?」


「騎士団もお手上げになって保釈しようとしたらしいんですが


そこでダイル侯爵様のアホ息子が侯爵様に会うなりぶちまけたらしいんですよ。


『親父、なんで俺が捕まらないといけないんだよ。


簡単だから大丈夫だから、て言ったから協力したのに


おまけにあんな可愛くないやつなんか抱けない』


とね


おかげで侯爵様に疑惑が浮かんで、その場で拘束され事情聴取


厳しいと言うニール団長の尋問で白状させられて

、哀れ侯爵様は牢の中

色々と余罪が出るわ出るわらしく


事実上失脚なさいました。」


肩を竦めて、事情を説明し終えたサニー


そのサニーに顔を向けているが、どこか遠くを見るレイ


「彼女はどうしてますか?」


「え?あ、もしかしてハースト様ですか?


元気らしいですよ?

皇妃様もどうやら皇帝陛下が耳に入れて差し上げてないみたいで

未だに知らないみたいですよ?」


心配することはないようである。


もし、皇妃陛下の耳に入れば


考えたくもないが皇帝陛下の機嫌に直通する。


「事情は解りました。


仕事が増えましたね。サニー、残業になりますよ。」


その言葉にサニーが不満そうに頬を膨らませる。


「寝る時間がなくなっちゃうよ」


「私よりも年上のあなたが寝ても成長はないんですから、少しくらい真面目に仕事してください。


そしたら好きなだけ戯れても構いません、やり過ぎない程度にですが」


衝撃的である。


どう見ても十代の、キラキラと輝く赤色の髪と瞳に身長と顔つき


彼を知らない者は誰もが思わないだろう


レイの、宰相付き補佐事務官であるサニーが三十はとっくに過ぎたおじさんであると

容姿に騙され、実年齢を知って泣き叫んだ人間を数多くレイは知っていた。


まぁ、彼が究極のSであることはもちろん一部の人間しか知らない。

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