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暁光の勇者と運命の指輪  作者: 茶太郎
第十六章
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第二話 シバとアマネス

シバの部屋は、魔法石と資料に囲まれた研究室のような様相を呈していた。


転生者シバ。

その穏やかで、どこか危ういほど無垢むくたたずまいに、イズファルは小さな戸惑いを覚えていた。


――この青年が、世界を消した力の持ち主だというのか。


「イズファルと申します。

あなたと同じ……人間です」


「に、人間……⁈」


シバは目を見開き、息をんだ。


「この世界にも人間がいるって聞いてはいたけど……

本当に会えるなんて……」


そして、少しぎこちなく、だが心からの笑顔を浮かべる。


「イズファルさん……僕はシバ。

会えて……嬉しいよ」


「シバ。

イズファルはサンサーラという人間の国から、ここグラムディルへ来た」


グラムディル王が低く告げる。


「色々と話を聞いてみるといい。

お前の今後に役立つものも、きっとあるだろう」


「……ありがとう、グラムディル様」


シバはうつむき、胸に手を当てた。


「でも……僕は、この国にひどいことをしてしまった……

だから……一生をかけて、この国に力を注いでも構わないんだ」


その言葉に、空気が重く沈む。


「――おい、シバ!」


鋭い声が部屋に響いた。


本棚の前で本を読んでいたドワーフの女性が、勢いよく立ち上がる。


「アマネス……ごめんなさい……」


「それだ、それが気に食わねえんだよ!」


アマネスはずかずかと歩み寄り、指を突きつける。


「二年前のことなんざ、お前だって覚えちゃいねえんだろ!

どうせ神様とやらが、無理矢理やらせたんだろうが!」


「……」


「でなきゃな、

その意気地なしのお前が、世界を吹き飛ばせる訳ねえだろ!」


「アマネスさん……」


「シバ」


グラムディルが静かに声をかける。


「アマネスの言葉は荒いが、怒っている訳ではない。

それだけ……お前を案じているのだ」


王は続ける。


「ドワーフはな、

一度内に迎え入れた者を、決して見捨てぬ」


余所者よそものであろうと――

仲間として、友として、家族として守る」


「それが、ワシらドワーフだ」


「……アマネス……」


シバは小さく頭を下げた。


「いつも……心配かけて、ごめんなさい……」


「分かりゃいいんだよ!」


アマネスは顔を背け、腕を組む。


「だからよ……ほら、その……なんだ?

そこのチビの人間!」


「イズファルです」


「そうそう、それだ!

イズファル!」


びしっと指を突きつける。


「そいつから、人間ってもんを、しっかり学びな!」


「はい……!」


シバは勢いよく頷いた。


「イズファルさん。

僕は何も分からないまま、この世界に来てしまった人間です」


「だから……色々と、教えてもらえますか……?」


「もちろんだよ、シバ」


イズファルは穏やかに微笑む。


「私に出来ることなら、何でも」


「うむ」


グラムディルが満足げに頷いた。


「では、イズファルよ。

迷える転生者シバを、お前に預ける」


「いずれ一人でも強く生きていけるよう、導いてやってくれ」


「……お前のようにな」


「――かーーっ! 父上!」


アマネスが叫ぶ。


「このチビが強いだと⁈

それは言い過ぎだろ!」


「アマネス」


王は視線を向ける。


「お前も、イズファルのそばで人間を学べ」


「そうすれば……

この男の“強さ”が、分かるだろう」


「なっ……!」


アマネスは言葉を失う。


「私が……このチビから……?」


「王のめいだ」


重く、しかし穏やかな声。


「意味は、分かるな?」


「……くっ……!」


アマネスは歯噛はがみし、やがて頷いた。


「……分かったよ!」


そして、イズファルを睨みつける。


「イズファル!

つまらねえ男だったら、許さねえからな!」


(――これは……大変なことになりそうだ……)


イズファルは、思わず唾を飲み込んだ。

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