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暁光の勇者と運命の指輪  作者: 茶太郎
第十四章
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第七話 後悔の師

神と遭遇した日から、七日目。

謁見えっけんの間には、サンドリッジ商団のファルゴが招聘しょうへいされていた。


「ファルゴ殿。

この度の其方そなたの勇気ある助けにより、我らの大切な仲間である天竜“星牙せいが”を失わずに済んだ。

心から感謝申し上げる」


ノブナの言葉に、ファルゴはうやうやしく頭を下げた。


「そして――

自己の危難をかえりみず、生命救助に尽力した者として、

バース国女王、エルフィリア様より褒章ほうしょうの授与を行う。

ファルゴ殿、前へ」


紅い絨毯じゅうたんを進み、ファルゴはエルフィリアの前でひざまずいた。


「ファルゴ殿。

此度こたびの其方の働きは、我が軍にとって大きな助けとなりました。

その功績をたたえ、この褒章を与えます」


褒章を受け取ったファルゴは、深々と頭を下げる。


「ファルゴ殿。

そのままで構いません。

一つ、我らバース国からの頼みを聞いてほしいのですが……

このまま続けても、よろしいですか?」


エルフィリアは、真っ直ぐにファルゴを見据えた。


「はっ。

私などでお役に立てるのであれば……何なりと」


「ファルゴ殿……

私が今からお話しする内容を、サンサーラ全土に広めてほしいのです」


「……どのような話でしょうか?」


「この世界を混沌こんとんへ導く元凶。

そして、この世界に生きる全ての者の“本当の敵”――

“神”についての話です」


「……か、神……ですと……⁈」


ファルゴの表情が、強張こわばった。


ーーーー


メサイア。居住区の通路。

ライラはリオンの姿を見つけた。


「リオン。

ショータ殿を見かけなかったか?」


「ライラ……。

僕も探しているけど、どうにも避けられているみたいなんだ」


「リオンもか……。

もう一週間だ。

ショータ殿と、まともに言葉を交わした者は、あの日から誰もいない」


「リーネが部屋に食事を運んでくれているけど……

ほとんど手を付けずに戻ってくるらしい。

みんな、心配しているよ……」


「せめて……

顔だけでも見せてくれれば……」


ライラは、唇を噛みしめる。


「マルダ様には悪いが……

私には、ショータ殿をいやすことなど出来ない」


「リアナ様への想いが、どれほど深かったか……

それが、全てだ」


「……ライラ」


リオンは一歩近づき、静かに言った。


「君の、ショータへの想いも本物だろ?

みんな、分かっている。

だからこそ……ノブナも君に頼んだんだ」


「僕には、上手い言葉は出てこないけど……

今のショータを動かせるのは、君しかいないと思う」


ライラは背を向け、肩を震わせた。


リオンは、そっとその肩に触れる。


「僕の“博愛はくあいの力”が……

ライラの心や、ショータの心を癒せたらいいんだけど……」


「役に立たなくて……ごめん」


「……リオン」


ライラは、背を向けたまま答えた。


「お前の優しさは、十分に私の心に届いている。

ありがとう」


一拍。


「ライラ……

君はもう気づいていると思うけど、

僕は“以前のリオン”じゃない」


「ああ……分かっていたさ」


ライラは、静かに言った。


「だが……誰にも聞かなかった。

お前の口から、聞きたくてな」


「……ありがとう、ライラ」


リオンは小さく息を吸った。


「僕は……リアナ様の……

いや――リアナ母さんの息子なんだ」


ライラが振り向き、目を見開く。


「……リオン!

なんだと……⁈」


「リアナ様は……

僕の母さんなんだ」


「……なぜ……

なぜ、それを……!」


「戦が終わったら、伝えようと思っていた」


リオンは、視線を落とす。


「でも……

魔王にやられた母さんを、僕は必死に治した」


「母さん、僕だ!

僕は生きてるんだ!って……」


「……でも、意識は戻らなかった」


「そのまま、母さんは――」


リオンの拳が、強く握られる。


「僕は……今、すごく後悔している」


「自分の気持ちを、すぐに伝えなかったことを……」


「……リオン……」


「だから、ライラ!」


リオンは、顔を上げた。


「君の想いを、ショータにぶつけるんだ!」


「今しかない!

伝えなければ、後に残るのは後悔だけだ!」


ライラは、ゆっくりと息を吐いた。


「……ああ。

お前の言う通りだ、リオン」


「私は……ずっと逃げていた」


「自分の気持ちを押し殺して……

情けないことに、あの神にさえ、見透かされていた」


「ライラ……逃げちゃ駄目だ」


リオンは、はっきりと言った。


「僕は失敗した。

だから、分かる」


「今、君は――

逃げちゃ駄目なんだ」


「ショータのためにも……

ライラ自身のためにも」


ライラは、ゆっくりと頷いた。


「……ありがとう、リオン」


「私……

自分の気持ちを、受け入れてみるよ」

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