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暁光の勇者と運命の指輪  作者: 茶太郎
第十三章
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第七話 生きる者たち

王城メサイア。

謁見えっけんの間には、ノブナが報告のために立っていた。


「ノブナ。それで……ショータの容態は?」


「はい。

ショータ殿は激しい衰弱により意識を失っておりますが、命に別状はありません。

それどころか――あの戦いの中で、目立った外傷は一切なく……」


ノブナは一瞬、言葉を探すように息を整えた。


「……本当に、凄いお方です」


「そう……。

無事でいてくれて、何よりです」


女王エルフィリアは、胸に手を当てて静かに息を吐いた。


「しかし……本当に、魔王を倒すとは。

マルダの予言の通りでしたね。

“魔王をたおす者”ショータ。

あなたは――紛れもなく、勇者でした」


「エルフィリア様……」


ノブナは、表情を引き締める。


「魔王による損害と犠牲者についてですが……

ターナ軍が総力を挙げて調査を進めております。

都市部の大半は壊滅。

さらに、“小さき魔王たちの魂狩り”により……

民にも、多くの犠牲が出てしまいました……」


「……そう……」


エルフィリアは、目を伏せた。


「ターナにとって、忘れることのできない悲劇の日となってしまいました。

これは……女王である私の責任です」


そして、ゆっくりと顔を上げる。


「国を守るために戦い、命を散らした仲間たち。

シュテン、アオダ、ランドルフ……

そして、多くの兵たち」


その声は、震えながらも確かだった。


「私は、あなたたちの命の上に生かされていることを、決して忘れません」


「エルフィリア様……」


ノブナの目から、熱いものが零れ落ちる。


「どうか……

どうか、彼らを……

手厚く、とむらってやってください……」


ーーーー


百室ある治療室は、怪我人で埋め尽くされていた。


「ヒキガさん……無事に戻ってきてくれたんですね。

良かった……本当に、心配していました」


ヒキガの顔を見た瞬間、セリウスの表情が緩む。


「セリウス……。

俺なんて、他のみんなに比べたら……

大したことは、何もしてない……」


「そんなことありません」


セリウスは、きっぱりと言った。


「あなたの力も、賢さも、優しさも……

私は、全部知っています。

ヒキガさんがいたから、今の“皆”があるんです」


一瞬、間を置き――

覚悟を決めたように、セリウスは言葉を続けた。


「ヒキガさん……

私は、天曜院てんよういんで助けていただいた時から…

ずっと、あなたが好きです」


「セ、セリウス……っ。

い、いきなり……

うっ……い、痛てて……」


「急に動いたからです」


少し困ったように微笑みながら、セリウスは言う。


「リアナ様やリオンさんのような治癒ちゆはできません。

でも……私にできる、精一杯で治します」


そう言って、そっとヒキガを抱きしめた。


「セリウス……。

俺も……君が…好きだよ」


「――ああ、もう!」


突然、声が飛んできた。


「見てられませんよ!

ヒキガさん!

もっと、ちゃんと受け止めてあげてください!」


「ツ、ツムリ!?

聞いてたのか!」


「聞こえますって。

ほら、ちゃんと抱きしめて!」


「……くっ。

なんだか性格変わったな、お前。

レキルみたいだぞ」


「私が何だって?」


「レキルまで……聞いてたのか……」


ヒキガは照れくさそうに苦笑し、姿勢を正す。


そして、抱きつくセリウスを、今度は自分から包み込んだ。


「心配かけたな、セリウス……。

ただいま」


その光景を見て、

ツムリ、レキル、ランマルが小さく拍手を送った。


戦いは終わり、

それでも――生きる時間は、続いていく。

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