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暁光の勇者と運命の指輪  作者: 茶太郎
第十三章
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第二話 増殖する絶望

「ぬああああ!

雷撃斧らいげきふ》!」


三体のライラが、一体の魔王を囲む。

同時に、大斧を振り下ろした。


電撃を帯びた衝撃が直撃し、

小さき魔王の身体が大きくる。


「ツムリ!

とどめだ! 行けるか⁈」


「出し惜しみはしない!」


ツムリが、ひとつ息を吸う。


「《煌風穿刃こうふうせんじん》ッ!」


――閃光。


風が吠えた。


ツムリの身体は一条の光となり、

小さき魔王の胸を、一直線に貫いた。


「キィヤアアアアアアアアアーーーッ!」


人外の絶叫が、大地を震わせる。


空が裂け、

大気がうねり、

疾風の刃が、小さき魔王の肉体を粉砕した。


ツムリは宙で静止し――

そのまま、力尽きるように崩れ落ちていく。


「ツムリが……一体、倒した!」


「行けるぞ!」


レキルが、すぐさま前に出た。


「ライラ!

もう一度、雷撃斧で足止めを!

次は、私がとどめを刺す!」


「ライラ! 気をつけろ!

そいつ……再生しているぞ!」


「何っ⁈

くそう! ツムリでも仕留しとめきれていないのか!」


「いや、見ろ!

身体が……さらに小さくなっている!」


「私が行く――!」


レキルが腕を掲げる。


「《天蛇てんじゃいかづち》ッ!」


天を裂く雷光。


黄金の大蛇が、咆哮ほうこうとともに降り注いだ。


轟音と閃光。


小さき魔王の身体は黒く焼き焦げ、

断末魔だんまつまの叫びが、空気そのものを震わせる。


「キィヤアアアアアアアアアーーーーーッ!」


光が消え――

静寂が、戦場を包んだ。


「……今度こそ!」


「いや!

まだだ! 細胞が、再生を始めている!」


ノブナは、目を凝らす。


「……あった」


再生する細胞の奥――

赤く脈打つ、小さな玉。


「見つけたぞ!

あれが……悪魔の魂核こんかくだ!」


ノブナは、念を集中させる。


赤い玉を抱えた細胞へ、

念波ねんぱを叩き込んだ。


「ぐぬぬぬ……!

――破裂しろ!」


――パァンッ!


乾いた破裂音。


魂核は、粉々に砕け散った。


「やった……!

一体、完全に倒したぞ!」


「だが、まだ二体いる!

休むな! 次だ!」


「ランマルのところだ!

ライラも、すでに向かっている!」


「残り一体は……どこだ⁈」


「あそこだ!

ランドルフたちが応戦している!」


「まずい……押されているぞ!」


「私がランドルフに加勢する!

ノブナは、ランマルの方へ!」


「くそっ……!

たった三体に、ここまで苦戦するとは……!」


ノブナは、歯を食いしばった。


「ショータ殿!

地上は、我らがなんとかしてみせる!

魔王を――

頼むぞ! 勇者よ!」


――――


魔王の身体に、青白い光が集まっていく。

狩られた人間の魂が、少しずつ取り込まれているのだ。


「今のところ……

我と勇者の力は、互角といったところか。

だが――もう少しだな……」


(まずい……。

メサイアにいた魔王とは、すでに違う!

魂を喰らい、どんどん力を増している……

これ以上は……!)


星牙せいが

地上に当たらない角度へ移動するぞ!」


星牙は地上近くまで滑空かっくうし、

巨体をひるがえす。


空に浮かぶ魔王へ向け、

大きく口を開いた。


『《月光昇竜波げっこうしょうりゅうは》――!!』


俺の声と、星牙の咆哮が重なる。


放たれた白炎は巨大な竜となり、

魔王へ一直線に突き進んだ。


「シルヴァリスをたおした白炎だ!

喰らえーーー!」


だが――


魔王の身体全体が赤く輝き、

白炎は、すべて掻き消された。


「そんな……

傷一つ、つけられないのか……」


魔王――

こんな存在を、本当に斃せるのか……。


俺の胸に、確かな恐怖が芽生えた。


「んんん?

我が分身一体、もうやられたのか?

これは……

お前の仲間たちを、少々甘く見ていたかもしれんな」


「……みんな、精鋭の能力者だ。

舐めていると、痛い目を見るぞ。魔王!」


「ふん。

所詮しょせんは、おもちゃ程度の分身体ぶんしんたいだ。

大人数で苦戦している連中など……どうでも良い」


魔王の身体から、

再び三体の小さき魔王が現れる。


「こんなもの、いくらでも生み出せる。

ほれ、行ってこい!」


「させるか!

《月光》!」


だが、放たれた白光の矢は、

紅蓮の爆炎に、あっけなく掻き消された。


「そっちこそ、邪魔をしないで欲しいものだな」


「くそっ……!

どうすれば……!

ノブナ! ライラ!

死ぬなよ……!」


――――


「嘘だろ!

何体出てくんだ! こいつらは⁈」


ライラが叫ぶ。


「まずいな……。

我らは一体倒すのが、やっとだ。

それなのに、今……三体増えた。

振り出し以上に、戻ってしまったぞ」


「ランドルフさんの方は……

すでに、多くの人々が

魂を狩られているようですね……」


ランマルが、低く呟いた。


「だが、こちらも四体の魔王。

応援が欲しいのは、同じだ……。

詰んだか!」


「《氷槍ひょうそう那由多なゆた》!」


氷の槍が、魔王たちへと降り注ぐ。


「遅くなったな!

役に立てるか分からないが、俺も全力で戦うぜ!

シュテンとアオダの仇討あだうちだ!

ーーそうだろ⁈ ツムリ!」


「そうですよ!

まだまだ、こんなもので

私の戦いは終わらない!

あのクソッタレの魔王ども……

全部ぶっ殺してやるまでは!」


「ツムリ! ヒキガ!

やるぞ!

我らの全力――

見せてやろう!」

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