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暁光の勇者と運命の指輪  作者: 茶太郎
第十三章
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第一話 決戦開幕

目の前に広がるターナの光景は、

まさに――地獄と呼ぶに相応ふさわしかった。


崩れ落ちた建物。

至る所から立ち昇る火柱。

悲鳴を上げ、逃げ惑う人々。


だが、最も異様なのは――


ターナの人々から吸い上げられるように、

空へと集まっていく無数の青白い光だった。


空の中央。

黒き翼を持つ異形――

“魔王”は、その青白い光を、次々と呑み込んでいる。


視線を巡らせる。


ターナのハイランダーたち。

そして、ノブナ。


彼らは、魔王を一回り小さくしたような

“分身”と激しく斬り結んでいた。


さらに目を落とすと、地上にも複数の分身がうごめいている。

それと戦っているのは――

ツムリと、ランマル。


「……あいつらが、人々を襲っているのか」


拳に、自然と力が入る。


わずか数分で、この惨状……

許さない……!」


俺は背中の《月光の弓》を構え、

地上で人々を追い詰める小さき魔王たちへと狙いを定めた。


「――打ち抜け。

《月光》!」


放たれた白き光は、

無数の矢へと分かれ――

地上の魔王たちを、一瞬で貫いた。


「次は……お前たちだ!」


「《月光》!」


空を舞う分身たちも、瞬時に撃ち抜かれる。


俺は、そのままノブナのもとへと飛んだ。


「ショータ殿!

助かりました!

あの小さな魔王でさえ、我らには手に余る……

申し訳ない!」


「いや。

ノブナたちがいなければ、

もっと多くの人が殺されていた」


ノブナは、険しい表情で空を仰ぐ。


「ショータ殿……

魔王の傷は、すでに癒えてしまった」


「やつは結界を張り、

人々の魂を喰らって、さらに力を増しているようだ」


「……くれぐれも、気をつけてくれ」


「ああ、ノブナ」


俺は、静かに頷いた。


「お前たちは、地上の避難を優先してくれ。

これから始まる戦いに、

人々を巻き込むわけにはいかない」


「……ショータ殿。

死ぬなよ」


その言葉を背に、俺は再び空へ向き直る。


――その時。


魂を食い尽くした魔王が、

ゆっくりと目を開いた。


「勇者よ……

先ほどは、少し油断していただけだ」


「人間の魂を喰らい、

我はさらに力を得たぞ」


「――見るが良い。

我の、真の力を」


魔王が腕を振るう。


次の瞬間――

ターナの遥か東、

雷のライレンの方角へ、

紅蓮ぐれんの炎がはしった。


「ふははははは!

あの山は、お前たちの本陣であったな!」


「粉々になれい!」


――刹那。


紅蓮を迎え撃つように、

白き炎の輝きが、空にほとばしった。


「……ぬうっ!?

な、何だ……あの光は⁈」


白炎は、紅蓮の炎を呑み込み――

完全にき消した。


「なにい!

我の紅蓮を、消し去りおっただと……!」


「……あれは……

天竜てんりゅう……?」


空から、力強い声が響いた。


「ショータ殿ーーーーー!」


星牙せいがの背から――

ライラの声。


「ライラ! レキル!

星牙に乗り込んだのは、分かっていたぞ」


「さすがです、ショータ殿!

――乗りますか⁈」


俺は迷わず、星牙へと飛び乗った。


「ああ!

もちろんだ!」


星牙の背で、俺は魔王をにらみ据える。


「俺たちで――

このクソッタレの悪魔野郎を、

叩きのめすぞ!」


「生意気な小童こわっぱがあ!

悪魔を舐めるのも、大概たいがいにしておけよ!」


魔王の赤い瞳があやしく光り、

その全身から、燃えるようなオーラがみなぎる。


空気が――ひりついた。


次の瞬間、

魔王の身体から、再び小さな魔王が産み落とされる。


「なんだ……!?

あの、ちっこいのは⁈」


「ライラ!

気をつけろ!

あいつら、ノブナでも歯が立たなかった!」


「なにい!

ノブナでさえも⁈」


レキルが、驚愕の声を上げる。


「我には、まだ力が足らぬようだ……」


魔王が、不気味に笑う。


「行けい!

我が分身よ!

地上の人間どもの魂を、刈って来い!」


――念話ねんわが、走った。


『ノブナ!

ツムリ!

ランマル!

聞こえるか!』


『ショータ殿!

念話か?』


『地上に三体!

魔王の分身が降りた!

魔王が魂を狩ろうとしている!』


『数は少ないが、

さっきの奴らより、明らかに強い!』


『頼む!

人々を守ってくれ!』


『ショータ殿!

まかせろ!

死んでも、人々を守り抜いてやる!』


『ノブナ!

私も行くぞ!』


『レキルか⁈』


『ライラもいるぜ!』


「ショータ殿!

私たちは地上に降りる!

ここにいても、ショータ殿の足手纏あしでまといになるだけだ!」


「ライラ、レキル!

ノブナたちの援護を頼んだぞ!」


「任せときな!」


ライラとレキルは、迷いなく地上へと飛び降りた。


魔王が、あざけるようにわらう。


「ふん……

雑魚ざこが何体いようと、

我が分身にかなうまい」


「さあ……

魂が届けば、我はどんどん強くなるぞ」


赤い瞳が、俺を捉える。


「勇者どの……

そろそろ、こちらも始めようか……」

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