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暁光の勇者と運命の指輪  作者: 茶太郎
第十二章
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第六話 魔王降臨

魔蝕人ましょくじんの恐るべき攻撃は、

シュテンとアオダの軍がいた場所を壊滅させていた。


地面は深くえぐられ、

底が見えないほどだ。


アオダ率いるミラ軍十万。

シュテン率いるガンロ軍十万。


総勢二十万の大隊が、

跡形もなく吹き飛ばされてしまった。


そこにあったはずの“戦”そのものが、

消えていた。



その先。


シルヴァリス軍がいた辺りの闇も薄くなり、

俺が放った《月光げっこう》によって、

湿原を覆っていた霧も消え失せていた。


俺は、戦場にただ一人。

霧の晴れ間に、目を凝らす。


俺の目は、集中することで、はるか先まで見える。

だが、そこには――


魔蝕人も、

シルヴァリス軍の歩兵も、

弓の勇者も、

そして、シルヴァリス王の姿すら無かった。


「全て……無くなった……のか?

俺の《月光》が、

全てを消し飛ばしたのか……?」


俺はチョーカーに触れ、呼びかける。


「ムシャカ……。聞こえるか?」


反応は、無い。


『……タ……の……。……こえ……か……』


誰かの声が、微かに聞こえた。


「誰だ? よく聞こえない!」


『ショータ……。聞こえ……か?』


「ノブナ!

なんとか! 聞こえる!」


『ショータ殿!

やっと繋がった!』


「ノブナ!

聞こえるぞ!」


『シュテンも、アオダも、兵たち全員!

バース前に瞬間移動してきた!

全員だ!』


「よしっ!

よくやってくれた! ムシャカ!」


ようやく作戦の成功を実感し、

俺は拳を強く握りしめた。


『ムシャカが今、そっちへ移動したぞ。』



俺の頭上に、光のドームが現れる。


「ムシャカ!」


「勇者ショータ……。

よくやってくれた。」


「俺は本当に、

奴らをたおしたのか?」


「ああ。

魔法鏡とやらを覗いていた奴らによると、

お前の一撃は、恐ろしい威力だったそうだ。」


『ショータ殿! ライラだ。

私も戦況は、オウルの魔法鏡を通じて見ていた。』


「ライラ!

俺は、本当にシルヴァリスを……

魔王を討ち倒したのか⁈

信じられないんだ!」


『魔蝕人の攻撃が引き起こした闇で、

私も最後、何が起こったのかは正確には分からなかった。


だが――

闇の中から、巨大な白光が、

シルヴァリス軍を貫いたのが、微かに見えた。』


俺はその言葉を聞き、

再び、シルヴァリス軍がいた辺りを凝視する。


『あの白光のデカさは異常だ!

そんなものが、闇の中から突然現れたんだ!


気付いた時には避けられず、

魔蝕人も、弓の勇者でさえ、

痛みすら感じぬまま消し飛んだだろうぜ!』


確かに――

シルヴァリス軍を足止めしていた湿地帯は、

丸ごと削られ、無くなっている。


「俺は……

そんな恐ろしい威力の《月光》を、

放ったと言うのか……。」



『……待て、オウル!

お前! そいつはなんだ!』


「ライラ!

オウルがどうした⁈」


『ショータ殿……。

今、空の上を見られるか……?

オウルを探してくれ!』


「空……?

何だ? どうした、ライラ。

オウル?


……見えない!

どこにもいない!」


『おい! オウル!

お前が見ている空は一体どこだ!


そいつは……⁈

どこにいるんだ!


に、逃げろ!

オウルーーーーーー!』


「なんだ……!

今、遥か上空の雲の中!

光が……走った!」


『ショータ殿!

シルヴァリスだ!

オウルをやりやがった!』


「オウル……!

クソっ……!

やはり、生きていたか⁈」



「ショータ!

まずい!

今は、逃げるぞ!」


ムシャカの魔蝕人が、両手を天にかざす。

光のドームが現れた。


「くそうっ!

オウルーーーー!


助けに行かなきゃ!

仲間なんだ!」


「駄目だ、ショータ!

バースへ逃げる!

体制を立て直すぞ!


奴は、やばい!」


「嫌だ!

仲間が……!


仲間が死ぬのは、

もう耐えられない!


リオンがいるんだ!

あの山に!


きっと治せる!

オウルは、まだ助かる!」


「言うことを聞け!

このボケナスがあ!


奴一人を、甘く見るな!

奴は一人でも、この世界を滅ぼせる!


お前一人で、

どうにかなると思うな!」


光のドームが、俺たちを包む。


「く……くそう……!

オウル……!

す、すまない……!」



一瞬だった。


魔蝕人の胸を貫く、鋭い白光が、

天から降り注いだ。


まるで、神の啓示のように――

美しくも見えた。


光のドームは大気に消え、

魔蝕人も、塵となって霧散する。


「くそったれ……!

間に合わなかった……!」


ムシャカは、膝をついた。


――ズゥゥン。


地面が揺れ、魔王が降臨した。

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