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結界の強化の後、私の待遇は一変した。
『女神クラスティーナの加護を受けた者』
これは特別な意味を持つ。
過去結界が破壊された時、
奇跡の力で修復し、国を守った伝説から、
この国の危機に現れるとされていて、
国王ですら、丁寧な対応をする存在なのだ。
私は、そこまでとは思っていないが、
結果的に王太子妃と、その子供を守った事になる、
王族として、それなりの対応をするのは、
当然の事だろう。
沢山の侍女に囲まれながら、
お茶を飲み考える。
一番怖いのはウィル。
6歳の時、初恋の彼は離れてしまった。
結婚はしてるが、もう妻として、
見てくれなのではないか・・・・
”特別”扱いされる事の怖さ。
結界の強化の時はとっさだっのだが、
今になって、不安と後悔が沸き上がる。
後悔した所で、同じ事が起これば、
同じ事をすると分かっている。
それでも、ウィルの愛を失う事が、
怖くてたまらない。
祈るような気持ちでいると、
礼服に着替えたウィルが部屋に入ってきた。
「ウィル」
縋るよな気持ちで見つめる私を、
ウィルはゆっくりと抱きしめる。
「大丈夫、力の事は義父さんから聞いていた、
僕にとっては大切な1人の女性だ、
その気持ちは変わらない、愛しているよ」
そう言われて、涙があふれてくる、
ああ、この人の妻で良かった、
ずっと怖かった気持ちが、
過去の苦しみが溶け出していく。
「私も愛している」
本当にこの人を愛して良かった。
王太子妃の身代わりとなった女性は、
真実の愛で包まれていた。




