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結界強化の日、クラスティーナ大聖堂には、
多くの人が詰めかけている。
前日の夕食で、21人の公爵のうち9人が体調を崩し、
12人必要な結界の強化に、
ぎりぎりの12人で臨む事になったと聞かされていた。
9人もの公爵が、夕飯で体調を崩すなど、
どう考えても誰かが仕組んだとしか考えられない。
恵まれたこの国を手にいれようと、
他国が躍起になっているのは昔からの事、
表立っては公表しなものの、
内側では王が中心となって、調査を進めている。
クラスティーナの結界は、
外部からの悪意のある人の侵入は防いでくれるが、
すでに内部にいる人には効果がない、
どうしても、スキができてしまうのだ。
とうとうこの日ね。
ウィルが無事だった事にほっとしつつも、
夫の活躍に胸は高まる。
うっふふ、私の旦那様は凄いんだから~
国中の人から、称賛されるなんて、
妻としては最高よね。
ウィルの能力の高さはデリア師匠からも、
判子を押されている。
旦那様の勇士を目に焼き付けないと!
どきどきしながら、儀式を見守る。
複雑な結界の文様が書かれた聖域に、
特別なロープに身を包んだ12人が現れ、
結界を強化する杖に手を伸ばす。
いよいよね!
その時、12人いた公爵のうち、1人が
「バルデウス帝国、万歳!」
そう叫んで、口から血を吹いて倒れた。
会場が騒然となる。
バルデウス帝国はこの国をずっと狙っている国で、
公爵の一人はバルデウス帝国の手先だったのだろう。
しかし、結界を強化する公爵は12人、
1人倒れたら、結界の強化はできない・・・・
はらはらしながら大聖堂を見守っていると、
王太子妃が立ち上がった。
「私がやるわ」
「馬鹿を言うな!」
常に冷静な王太子がさけぶ。
「お腹に子供がいる事を忘れたのか?
おそらく、フェリシアもただでは済まない!」
王太子妃も叫び返す。
「私は王太子妃です!例え命と引き換えにしても、
民を守る義務があります!!!」
確かに、他の公爵が倒れた今、
結界を強化できるだけの魔力を持つのは王太子妃だけだろう。
王太子が黙り込む、
本当は止めたいが、立場が邪魔をして、何も言えないのだろう。




