3-4(ウィル視点)
王太子のアルフレッドから、スティナの死を聞き、
長かった髪を短くした。
これで何かが変わる訳ではないが、
自分の一部がそぎ落とされる感覚を、
なぞらえらのかもしれない。
それから黒のスーツに身を纏い、
スティナの実家に向かう。
ご両親には何と伝えよう。
悲しませてしまう事に胸が痛くなる。
ただ、自己満足かもしれないが、
いかに自分がスティナを愛しているか、
ご両親に聞いて欲しかった、
本当にいい女性だったと・・・
そんな事を考えながら、
目的のスティナの屋敷に着くと、
思いがけない事があった。
使用人に王家からの紹介状を渡し、
スティナとは恋人関係だったので来たと話すと。
「では、お嬢様もお呼びしましね」
と言って去っていったのだ。
お嬢様もお呼びする?
スティナがここにいる?
まさかと、心が否定する。
しかし、愛しい人が、目の前に表れて、
信じるしかなくなってしまった。
奇跡なのか?
「生きている!信じられない!」
条件反射的に、
存在を確かめるようにスティナを抱きしめる。
ああ、本物だ・・・
涙が溢れてきて、
何とか泣くのを堪える。
嬉しい!嬉しい!嬉しい!
ただその気持ちだけが、どんどん溢れてくる。
メイド達がキャ~と声を上げているが、
それも気にならない、
それより、彼女を感じる方が大事だ。
「ウィルごめんなさい」
彼女の弱弱しい言葉に、胸が締め付けられる。
「いいんだ、王太子殿下から全て聞いた、
君は何も悪くない」
「でも・・・・」
「生きていてくれただけでいいんだ」
自分の胸に顔をうずめるスティナを感じ、
ただ奇跡に感謝していた。
その後、デリア師匠が渡した腕輪で無事だったと聞き、
デリア師匠には感謝の念を感じた。
今度確かスルメや干物がお好きだったはずだ、
1年間分ぐらい贈ろうかと考える。
その後、スティナのご両親と話しをしたが、
穏やかで、暖かくて、
本当に良いご両親だと感じた。
この両親の愛情に包まれてそだったのだなと、
自然に納得できる。
スティナと伯爵夫人が席を立った後も、
スティナの父親と2人で話を続ける。
男同士で話すと、話は更に盛り上がった。
お酒が大分進み、飲みすぎかなと思ったので、
紅茶をメイドに頼む。
メイドが淹れてくれた紅茶は、
身代わりを頼んだ時、スティナ買った紅茶で、
確かにこの家の味だと感じさせてくれた。
ほっとして、懐かしくて、安心する。
なんかそうゆう味だ。
「私が一番好きな紅茶です」
そう伝えると。
「もう我が家の一員だ!結婚しろ!」
とスティナのお父様が言い出して慌てる。
確かに、スティナが好きだ、
いずれ結婚もとも思っている、
今回の事件の事もあり、
スティナを本当に心配しているご両親の気持ちも分かる。
「スティナは私が守ります」
そう宣言するとスティナの父親は頷き。
メイドに、
「朝一番で、役所から婚姻届けもらって来るんだ!」
と叫んでいた。
とは言え、スティナのお父様は大分酔っていらしたので、
本当に次の日の朝、メイドが婚姻届けを持ってきた時は驚いた。
婚姻届けを見て、一瞬驚いた顔をした伯爵夫人も、
「いいんじゃない、よろしくね」
と、あっさり了承が得られた。
もちろん、その後迷う事なく、
婚姻届けにサインをした事は言うまでもない。




