3-1 最後の身代わり
領地にある実家にもどり5日が経った。
王都の様子は気になるが、
王都から領地までは距離があるので、
情報がなかなか手に入らない。
ウィルには何も告げず、姿を消してしまった。
心配かけているだろうな・・・
ウィルの事を考えると胸が痛む。
そでも、王太子妃の身代わりになったのは、
王太子の命令、簡単に連絡を取る事もできない。
「お嬢様、お客様です」
私が領地に戻っている事は、
誰にも知らせていないので、
不思議に思って玄関ホールに出ると、
そこには思いがけない人がいた。
「ウィル!」
そう言うと、ウィルは信じられないと
いった表情をして、私に駆け寄って抱きしめてくれる。
メイドがきゃあ~と声を上げ、
少し恥ずかしい。
「生きている!信じられない!」
そう言って、ウィルはぎゅっと
私を抱きしめて離さない。
ウィルの気持ちを思うと、
私も胸が締めつけられ、そっと抱きしめ返す。
思わず涙が溢れてきた、
「ウィルごめんなさい」
「いいんだ、王太子殿下から全て聞いた、
君は何も悪くない」
「でも・・・・」
「生きていてくれただけでいいんだ」
ウィルの言葉に、彼の胸に顔をうずめる、
言葉にはならない思いがこみ上げてきた。
ごめんなさいと、ありがとうを、
もう一度心の中で唱えて、彼をぎゅっと抱きしめた。
両親が出てきて、談話室に行くよう促す。
談話室で腰かけた時も、
ウィルは私の横に座り、手を離さない。
ウィルは黒い礼服に、長かった髪も短く
している。
恐らく、王太子から私が身代わりをして死んで、
その報告を両親にするよう、
言われたのだと察し、ウィルに寄り添う。
「ごめんなさい」
そういう言う私に、首を横に振る。
「いいんだ、とにかく無事で良かった」
私の手に口づけする。
父親がごほんと咳払いをし、存在をアピールしていたが、
ウィルは私を抱きしめ、世界に入り込んでいた。




