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その日の晩、久しぶりに夢を見た。
「誰か助けて!」
母親と思われる女性が、髪を振り乱して叫んでいる、
家は炎に包まれ、家の中に誰かが入るのは、
誰もが無理だと諦める程の勢いだった。
「赤ん坊がいるの!私の子供が!!!」
なんとか救おうと、水魔法を使える人が、
必死で家に水をかけている。
水魔法が使えない人は、
桶に水を汲み、家に水をかけていた。
それでも、火の勢いは衰える事なく、
轟轟と音を立て、家を焼き尽くしていく。
6歳の私は女神クラスティーナに祈った、
『火を消してください』と。
すると、目の前で光が輝き、女神クラスティーナ
の姿が現れる、
そのまま私を抱きしめ、光が消えたかと思うと、
私の中に、今までと違う力がある事を感じた。
炎に向かって手をかざすと、
火はあっさりと消えた。
母親は慌てて家に入り、赤ん坊は無事だった。
そして、私の中に特別な力がある事を、両親と、
当時付き合っていた男の子にだけは打ち明けた。
きっと喜んでくれると思っていた、
当時付き合っていた男の子は、
「君のような”特別”な人と、僕は付き合えない」
そう言って、私を崇拝して離れていった。
恋に破れた私は、
力を得た事より、人と距離ができた事を怯えた。
その後、両親が公爵を引退したデリアを招待し、
デリアからいろいろ指導を受けた。
私の力は、特別な物、
長年の努力をした公爵の力すら上回り、
まさしく女神クラスティーナの加護だろうと。
”特別”である事を怯えた私に、
デリアは力のコントロールする方法を教えてくれて、
誰にも気づかれず生きたい私の希望を叶えてくれた。
子供が火を消した事など、誰も信じず。
両親が否定した事で、それ以上噂も広まらなかった。
私は”特別”なんかになりたくない。
もう恋を失いたくない。
目が覚めた時は、頬に涙が伝っていた。




