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ロマネに指定された場所に向かう。
サロンは全体的に赤を基調に統一され、
所々に金の装飾が施されいる。
ゆったりとしたソファーは、言わずと知れた極上品で、
王宮にあってもおかしくない程の品だ。
壁には、風景画や人物画があちこちに飾られ、
その一枚一枚にスポットライトが当てられている。
絵を見る為だけにでもサロンに行く価値があると言われるほど、
一級品ばかりの絵だ。
広い店内は程よく賑わい、わちらこちから笑い声が聞こえてくる。
お客様は全員タキシードかドレスと言った正装で、
女性のお客様が通るたび華やかさが増していく。
店内にはピアノの生演奏が演奏されていて、
ゆったりとしたクラシックを奏でていた。
私はロマネに指定された席へと向かう。
「マスター、お呼びだと聞いたのですが」
席に着くと、マスター自ら接待をしていたらしく、
1人の男性と2人でソファーに座っていた。
「待っていましたよ、どうぞお掛け下さい」
マスターに言われて、戸惑う。
私はウエートレスで接待係ではない、
そんな事はマスターにとっては分かり切って
いるはずなのに・・・・
どうしたのかしら?
不安と混乱を笑顔に押し込め席に着く。
そして、初めてマスターが接待していた男性を見た。
髪は銀色で、長めの髪を肩ぐらいで括っている、
表情は穏やかで優しく、性格のおおらかさが、
にじみ出ているかのような、安心感がある。
それでいて、この高級感溢れるサロンに、
馴染んでいて、高位者である事を如実に語っていた。
細身の長身でありながら、服を着ていても、
体が引き締まっている事は感じられ、スキがない。
うっっわ~ かっこいい~
クラスティーナ王国には、美男美女が多いって
言うけど、断トツの美形だわ~
あまりにも整った顔立ちに、つい観察してしまい、
その事にはっと気づき、笑顔で挨拶する事でごまかす。
「彼女です、どうですか?」
いきなりのマスターの話に、まったく内容が掴めないが、
そこは笑顔で話しの続きを待つ。
上顧客なら、何としても機嫌を損ねる事は避けたいし、
このサロンの品位を落とす訳にはいかない。
そんな事を考えていると、男性は大きくうなずいた。
「分かりました、お願いしてみます」
そう言うと、マスターは席を立ちあがり、
「では、後は二人で」
男性と2人きりにされてしまった。