表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/28

2-6(ウィル視点)

「すまない」


王太子であるアルフレッドが頭を下げる。

王太子が頭を下げているいれば、

普通、高位者がそうそう頭を下げるものではないと、

気にしないで下さいと言うのが普通だが、

すぐには言葉にならなかった。


スティナがフェリシア様の替え玉になっていた?


王宮から教会までのパレードで襲撃があったのは、

当然知っている。


しかし、転移魔法でフェリシア様が現れた事で、

騒ぎは最小限に収まり、

教会の警備に当たっていた私も、

騎士達が襲撃者を追うだろうぐらいしか考えていなかった。


「頭を上げてください」


そうやくそう言って、

どさっとソファーに座る。


王太子も心配そうな顔で、向かいのソファーに座った。


「内容は先ほど説明した通りだ、

 襲撃予告があって、念のため、

 スティナ嬢に身代わりを頼んでいた。


 残念ながら、本当に襲撃が起こり、

 それを防ぎきれなかった、

 申し訳ないが、スティナ嬢は・・・」


苦しそうな顔して、顔を歪めるアルフレッドを見る。

警護が4人もいたのだ、

守り切れないのは想定外の事だったのだろう。


しかし、そうなると・・・


考えたくはないか、答えは1つしかない。

彼女はもうこの世にはいないと。


アルフレッドを責めようとして、言葉にならず、

それ以上に自分のせいか?という思いが沸き上がる。


自分が、アルフレッドに、

スティナがフェリシア様に似ていると言った為に・・・


彼女がいないと言う事実は、

まだ信じられないでいた。


「それで、事の顛末をスティナ嬢のご両親に報告する必要がある」


「私が行きます!」


叫ぶように声が出た。


「そうか」


アルフレッドはそれ以上は言わなかった。


王太子の部屋に沈黙が下りる。


それでは、とはどちらも言い出せないでいた。


テーブルに用意された紅茶を口に含む。

もうぬるくなった紅茶は、

荒れる心を宥めてはくれなさそうだ。


あの時こうしていれば、


もっと傍にいれれば、


秘密にしないといけないのは分かっているが、

何とか聞き出せていたら、


せめて自分が警護できていれば。


思いが頭をぐるぐると周る。


侍従が王太子を呼びに来て。

アルフレッドは頷き。


「私はこれで失礼する」


そう言って部屋から去っていった。


それを立ち上がる事もなく見守り、

扉が閉まるのを見る。


バタンと。


自分の中の一部が閉まるような感じがした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ