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結婚式のパレード。
街には人があるれ返り、花びらが、
あちこちで舞っている。
お祭り騒ぎで、人々の熱狂は凄く、
一目でも王太子妃を見ようと、大騒ぎである。
とうとう、この時が来たのね。
もちろん、国の威信をかけて、
警護はしてくれるだろう。
しかし、王太子殿下自ら動いたとなると、
油断はできない。
馬車も本来ならオープンな形だが、
今回は護衛強化の意味も含め、
屋根がついた馬車になっている。
そして、王族の乗る馬車。
豪華の一言につきる。
普通の真四角の形ではなく、
まるでかぼちゃのような丸いフォルム。
真っ白く塗られ、所々金色のレリーフが見られる。
内装も凝っていて、
1人しか乗らないのに前に3人後ろに3人と、
6人は乗れる広さがある。
椅子も通常の板張りではなく、
ふかふかしており、赤茶色の高級そうな革が張られている。
馬車を引くのは、白馬6頭。
王家の威厳をかけた、立派な体躯の馬が繋がれていた。
とうとう馬車が動き出す。
馬車の窓から笑顔で手を振り街を巡る、
何も起こりませんように。
しかし、その祈りはあっさり挫かれ、
いきなり馬が暴れだし、馬車が大きく揺れた。
「くっ」
体に力を入れて、何とか転倒を防ぐ。
街中で大きな悲鳴があちらこちらから上がるのが聞こえる。
どうやら狙いは私だけで、市民に被害はなさそうなのが、
せめてもの救いだ。
護衛に当たっている4人の公爵が、
結界魔法を使って馬車を守ろうとしているが、
1人、また1人と、
攻撃を受けたり、魔力が切れたりで、護りが薄くなっていく。
空気が大きく振動し、魔法のエネルギーが、
膨れ上がるのを感じる。
いろんな方向から、馬車に向かって、
魔法が放たれる。
今の所、護衛が弾いているようだが、
油断はできない。
別の所で、複数人の、
大きな魔法のエネルギーも感じた。
流石、王太子妃を殺すとなると、
半端な攻撃はしないわね。
とうとう最後の護衛が倒れた。
どうやらこれ以上は無理そうね・・・
次の攻撃が当たると、馬車は木っ端微塵。
私も大きな怪我を負うだろう、
下手すると、即死かもしれない。
外で、絶えず悲鳴が上がっているのを聞きながら、
横たわるふりをして、転移魔法を使った。