2-1 2度目の身代わり
それからウィル(様付けは辞める事に)と
デートをして、本当の恋人を満喫している。
この前は貴族街でのデートだったが、
市民がいる、いわゆる町に出る事に、
その時はわざわざお揃いの色とデザインの服を、
下町風にオーダーメイドしてくれた。
「わざわざ、オーダーしたのですか?」
「うん!さあ着てみて!」
自分はすでにペアの恰好をしているウィルに急かされる、
いかにもお揃いといった格好に、
照れくさいやら、恥ずかしいやら、複雑な気持ちになる。
「もしかして嫌だった?」
「い・・・嫌ではないです!」
心配そうな顔で聞いてくるウィルに、
慌てて答える。
ちょっと待っててね、と部屋に入って着替え、
部屋を出ると、ウィルが満面の笑みを浮かべていた。
「これでお揃いだね」
「そ・・・・そうね」
完全に誰から見てもペア、
しかも普段は着ない下町風の服。
心臓がどきまぎしているのを感じなから、
ウィルをちらりと見ると、
「さあ、行こう!」
と手を差し出してくれた。
私は顔が赤くなっているのを感じながらその手を取る。
その後も町のカフェで、ウィルはケーキ、
私はパフェを頼み食べていると。
「このケーキ美味しいよ」
そう言ってウィルがケーキがついたフォークを、
私の口の辺りに持ってくる。
これっていわゆる、あーんって事ですね?
にこにこしているウィルに、抵抗できず、
えいっとケーキを口にはこぶ。
「美味しい」
「それは良かった」
そうウィルは言っていたけど、
本当の所、味が本当に分かっているか自信がない。
私が思いつかないような事を、
どんどん演出して、エスコートしてくれるウィルだが、
フェリシア様とはできなかったからねと言われて
しまうと、私だけが、この楽しみを独占していると感じて、
何も言えなくなる。
正直、嫌ではないし・・・
(かなり戸惑うけど)
これも惚れた弱みかなと思って、
ウィルのエスコートに、胸を高鳴らせていた。