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1/12

プロローグ 都市伝説というくらいの存在。

こそっと新作。







「なぁ、真人は知ってるか? ――【NMO】ってゲーム」

「あー……それって、前に話題になってたやつか。たしか開発が終わった段階で、いきなり発売禁止になったとかいう最新型のVRMMOだっけ」

「そうそう。少し前に掲示板とかSNSで、めっちゃ噂になってたやつな」



 放課後のなんてことのない時間。

 俺がゆっくりと帰宅の準備をしていると、前の席の同級生――天野隆司が話を振ってきた。元々こいつがオカルト話が好きだとは知っていたので、俺は「またか」と、少し呆れながらも答える。

 隆司の言っているのは、某有名メーカーが打ち出した最新鋭のゲームタイトルについて。たしか【ネガティヴ・マインド・オンライン】とかいうらしいそれは、発表当時から世間の多くのゲーマーの耳に聞こえた作品だった。

 だが今ほど話に出た通り、突然に発売禁止になったらしいが――。



「で、それがどうしたんだよ。話題になったのだって、それなりに前だろ?」



 かれこれ半年前、だろうか。

 件のゲームが発禁になって妙に盛り上がったのは、ずいぶん前のことだった。だというのに隆司は、まるで昨日その話を耳にしたような勢いで口にしている。

 俺がそのことに首を傾げていると、同級生は鼻息荒く続けるのだ。



「それが今になって、無料公開されてるらしいんだよ!」

「は……?」



 そこで、さすがに教科書を仕舞う手も止まる。

 発売禁止になったのに、無料公開……?



「なんだよ、それ。変なウイルスとかじゃないのか?」

「いや、それは分からない。でも公開されてるのは間違いなく新天堂の公式サイトだったから、ほぼ間違いなく本物のはずだぜ?」

「公式サイトで、無料公開……ってマジかよ」



 色々と状況が分からない。

 世界的に名を馳せているメーカー様の公式サイトなら、変なハッキングだとかも考えづらい。仮にハッキングだとしても、そのゲームを公開する理由もないはずだった。そうなると【NMO】は本物の可能性が高いということになるが、どうして……。



「いったい、今になってどうしてだ?」

「一部の話では、納得できない開発スタッフが勝手に漏らした、とか言われてるな。ただ、それ以外に言われているのは――」

「あー、分かったっての。どうせ、オカルトに繋げるつもりだろ」

「なんだよ、話の腰を折るなよなー」



 友人が嬉々として、下らない陰謀論を語ろうとしたので先回りして制止した。

 すると隆司は不服そうに抗議してくるが、ポツリと口にするのだ。



「だけど、興味湧かないか? どうして『発売禁止』になったのか、って」

「………………それは……」



 俺はその言葉を否定できない。

 少なからず、好奇心を刺激されているのは事実だった。



「だったらさ、帰ったらやってみようぜ。な?」

「……約束は、しない」



 ニヤニヤと誘ってくる友人に、俺は悩みながら答える。

 そして、バッグを担いで教室を出るのだった。








 ――帰宅後。

 課題や、その日にやるべき物事を済ませて俺は自分のパソコンを立ち上げた。いつもならアテもなく、ただただ動画サイトで配信を眺めるだけなのだが……。



「…………」



 やはり、放課後に隆司から聞いた噂が耳から離れない。

 あいつのオカルトやらに乗せられたわけではないが、好奇心が刺激されたのは間違いなかった。そのため俺は自然と新天堂のページを検索し、開いてしまう。そして、そのまま各種ダウンロードの項目を探すこと数分――。



「ホントに、あった……」



 目的のデータは、これといって秘匿されることなくあった。

 誰にでも見つけられる場所に、誰にでも手が出せる形で放り投げられている。他のソフトなどと差があるとすれば、これといった説明文もなく、凝ったロゴなどもないこと。あまりにも異質な雰囲気を醸し出すそれに、俺は思わず唾を呑み込んでからマウスカーソルを重ねていた。




 そして、震える指先でクリックすると――。





「え、な――!?」





 なにかが、俺の視界を覆い隠す。

 異様なまでの睡魔に手招きされて、意識は突然に途切れたのだった。



 


こっそり。



面白かった

続きが気になる

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