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乳児期編 その②

早くゴールデンウィークきてほしいですね。




『よしよし、ごめんね起こしちゃってねー。今からママとおでかけちゅよー』



ハイハイができるようになって、お次は歩く練習かなと思う今日この頃。

母親のジェリーに抱き抱えられ俺は目を覚ました。



『...あーぃ』



歯が生えそろってないのでいまだに上手く返事すらできないが、赤子の反応としてはこれぐらいが妥当だろう。


それにいきなり俺が流暢に話し始めたら恐怖を通り越して悪夢である。


悪魔か悪霊か何かがとりついてると勘違いして最悪な場合、教会に連れていかれるかもしれない。

周囲に迷惑を掛けたくはないのでそれだけはいただけない。



前日からドタバタとジェリーとライラおばさんが忙しい。

あれがないだとか、あれがいるとかだと騒がしかったのを覚えている。



『今日はお泊まりして神殿にいきますよー。今日は大人しくママとお泊まりしましょうね』



何泊するか分からないがお泊まりらしい。

着替えとかの用意で忙しかったのだろう。


神殿って聞くと前世でやっていたゲームの世界を思い出すなぁ。


確かその世界だと職業を決めるために顔を出したりしたけど、この世界ではどういった役割があるんだろうか。


赤子ながらわくわくしてしまう。

だって男の子だもん。



『あんたら二人だと心配だけど、ジョッシュが付いていくってんだから余計に心配さね』



ため息を付きながら心配そうに荷物を運ぶのを手伝ってくれているのはライラおばさんだ。


結構な荷物の量を運んでいるけど、一体何泊するのやら。


『でもジョッシュくんが馬車を出してくれるから私たち親子は神殿に行けるんです。本当にありがとうございます』


『ジョッシュが無償で馬車を出すならあたしは手放しで誉めてやるんだけどね』


『私たち親子二人しか乗車しないのに適正な価格で馬車を出してもらえるだけでも私は幸せです』



『はっ、いいかい?適正だろうがなんだろうが、あいつが決めた代金をあんたは払うんだ。何かあればガツンといいなよ?あのばかむすこは直ぐ調子にのるんだから』



ライラおばさんの息子ジョッシュ。



何回か顔を見たことはあるが、ライラおばさんに似て綺麗な髪色をしている。


帽子をかぶっていて、ザ・好青年ってイメージではあるのだが...


見た目だと年齢は分からないが、多分成人してるんじゃないかな?とおもう。



以前ライラおばさんが




酒場にばかむすこを迎えにいってくる




と凄んでいた事があった。



この世界のお酒が飲める年齢ってのはもしかして、前世の世界とは違うかもしれない。


だってジョッシュ凄く若く見えるんだもの。



彼は普段は町で馬車や荷台の運搬の手伝いをしてるらしく、仕事が終わったら酒場に出入りしている。


たまにしか顔を見たことがないにも関わらず、彼が口を開くと酒臭ささが鼻を刺激してくるのは勘弁願いたい。


なんで俺がお酒の臭いを知っているかってのはひとまずおいておこう。



【お酒と煙草は○○から】



前世で見た記憶のフレーズの一文をなぜか思い出したがなんとなく心に刻んでおく。



『母さん!馬に餌やり終わったからいつでも出発できるよー。ジェリーさんもお子さんも準備大丈夫かい?』


扉の入り口から元気な声でジョッシュが早く行こうぜとばかりに急かしている。

うーん、やっぱり成人しているようには見えんのよなぁ。


『今回の旅はよろしくお願いしますジョッシュくん。なるべく迷惑掛けないようにするからね』


『大丈夫、大丈夫。お金をもらってる以上、その分は働くから安心してよ!早く仕事を終わらせて酒場のマリちゃんと...いだっ!?』


『このバカ!その分以上に働きなさい!この間リピーターが付いてこないってあたしに愚痴ってたばかりじゃないのさ!』


ライラおばさんのげんこつが飛ぶ。

めっちゃいたそう。



『あ、あの後マリちゃんにちゃんと慰めてもらったから大丈夫だよ。俺、あの娘の為にお金稼ぐって決めてるんだ...』


ライラおばさんがこいつはもうダメだと呟きながら部屋のおくへと消えていった。



ジョッシュの多分ダメなところ。


酒もそうだが女にも弱そうなところだ。

 


前世の父親がそんな感じだった気がする。


確かお店の女の子の誕生日に歳の数だけ薔薇を送ってそれが前世の母さんにばれて、包丁を持った母さんに泣かされていたな...


反面教師として俺は真似しないように生きよう。




準備が終わり、いざ出発ー!となったところで、ライラおばさんがジェリー母さんにバスケットを渡してきた。



『忙しくて朝からなんも食べてないだろ?あんたがへばったらそのガキがかわいそうさね。馬車のなかで食べな』


『何から何まで...ありがとうございますライラさん!今日と明日の変わってもらった仕事の分、帰ってきましたら一生懸命働きます!』


『べ、別にあたしは...』


『母さん...照れてる?アイだぁ!?』 


『馬鹿言ってないでさっさっといきな!!!』


ジェリー母さんは二人のやり取りをみて最初はおろおろしていたが、気付けば笑っていた。

うん、俺も嬉しい。



本日二回目のげんこつを俺は生でみた感想。


ライラおばさんは照れ屋で優しい人だとわかりました。

でもげんこつはいたそうなので怒らせないよう今後とも気を付けようと思いました。まる


※※


その後直ぐに出発し、神殿に着くまでに色々とトラブルが発生するんじゃないかと内心ヒヤヒヤしながら俺は起きていた。


だってほら、ゲームとかで敵とエンカウントしないとも限らないじゃない?


でもその心配は大丈夫そうだった。


町から出る時に知らない人達と合流して俺とジェリー母さん、ジョッシュ、知らない人3人(内訳:男1人女2人)と旅に出ることになったからだ。


出発する際にジョッシュが知らない3人とやり取りをしていたが、ジェリー母さんと俺は馬車の中でゆっくりしていた。


多分だけど、前世で読んだことのある異世界モノあるあるでゆうところの護衛ってやつかな?


ぱっと見、男は戦士、女二人は魔法使いっぽい服装だ。


ほぅ、この世界はそんな職業もあるのか。


護衛のことは気になるがいかんせん眠い。

お昼寝したい。


俺は眠気に負け、馬車のなかで眠ることにした。


意外と馬車の揺れってのは心地いね。

まるで揺りかごのでっかい版だよ。


母さんに抱かれながらの馬車の揺れ。


めっちゃ最高。







多分次で幼児期編は終わりです。

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