乳児期編 その①
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どこからか、遠いような近いようなところから声が聞こえる。
身体がとても寒く、目を開けることができない。
手足を動かそうとするが、身体が言う事をきかない。
声を出そうとするも、口も開く事すらできない。
あれ?なんでだ?とゆうより俺の身にいったいなにがあったんだ。
そう考えていると急に身体が誰かに持ちあげられ、誰かに頬を撫でられた気がした。
くすぐったくも無ければ痛みもない。
1、2分程たったころから、近くで話し声が聞こえてることに気が付いた。
『赤子が声を出さないのは息が出来ないからだよっ!』
『ぇぇえっ!じゃあ…どうすれば…』
女性の声ともう一人若い女性の声がする。
目が明かないのでおそらく…ではあるが。
『こうするんだよっ、と』
ぱちぃんっ
突如、俺のお尻に衝撃が走った。
痛すぎる!この状況でなんで尻を叩かれた?
よくわからんが泣きそうだ。とゆうかもしかして俺って。
『あんぎゃぁぁぁ!!!!』
赤ちゃんになってる。
※※
自分が赤子になっている事を自覚した日から約3ヶ月たった。
なんで約3ヶ月かというと、まだまだ会話はできないが何とか言葉は発せられるようになったからだ。
生前、学校の授業で習った知識では確か3ヶ月程で喋れるようになるって聞いた覚えがある。
この世界の一年が365日だとはわからないが喋れるようになった日を目安にすると、約3ヶ月である。
何故そんな事を覚えているかだが、俺が将来結婚したら子供ができて…とかを想像していたとか…
俺は最低だな。気持ち悪い。
自己嫌悪に陥っている、そんな3ヶ月経った俺の日課だが
『あぃーうぅーぇおー』
今は日本語の基本、あいうえおの練習をしている。
なぜ日本語の練習なのか。それは何故か?
小さなベッドの上が今の俺の世界であり、ミルクを貰うときや寝かしつけられる時以外で周囲の人の会話を聞くことはあまりない。
赤子なので自由に動くことができないし、最近ようやく首が座ったところだ。
母親とおばさんの二人しかまだ見たことはないが、二人は日本語で喋っているようにしか聞こえない。
結論 多分母国語日本語でおけ
赤子であるが故に考え方にお花畑みたいなものが見え隠れしているが、俺は前世の記憶を覚えている。
精神年齢はあの頃のままだ。
なので神様が言っていたことは事実だったんだろう。
俺はこの二度目の人生で自分だけが幸せになるんじゃなく、周囲の人間が幸せになるよう生きて行こうと考えている。
産まれたばかりの赤子の考える事じゃないかもだけど、俺は転生者だ。
この人生は俺の罪滅ぼしみたいなものなのだ。
今の俺の心情は
【人を不幸にしない】
そんな生き方をしようと思う。
時間が許される限りね。
偉そうに考えだけはいっちょまえだが、まだ1歳にもみたない俺は現状を把握することすらできていない。
なので今の段階で理解できてることを整理してみようと思う。
家族構成
母親 赤髪のショートヘア 見た目若い
俺(赤子)髪色髪型 ともに謎
ライラおばさん 金髪セミロング 喋り方はアレだが見た目若い
ライラおばさんは身内ではないと思うが、頻繁に俺の面倒見てくれるので一応カウントしておく。
産まれたばかりの俺の尻をいじめた人でもある。
後でわかったことだが、産まれてすぐの赤子が泣かない場合は死産の可能性もあるとの事だったらしい。
だから俺は尻を叩かれたとかなんとか。
あと多分だけど父親がいないっぽい。
二人の会話からそれらしい名前をたまに会話では聞くのだが、一度も見たことがない。
もしかしたらうちはシングルマザーなのであろうか?
事情があるのは間違いないだろうが…
家の内観から察するに、神様の言った通り俺は平民らしく裕福の家庭に産まれてないことが伺える。
前世の世界と比べると本当にアレだが、中世のヨーロッパと思うと、一般的な家なのだろうと納得している。
それと排泄行為の話になるのだが、トイレとかの処理を母親にお願いするのは少々心苦しい。
とゆうか恥ずかしいがこれも慣れるしかなかった。
出るものは出る。我慢しても出るものは出る。
これも赤子故の所業だと割り切るしかない。
余談だが排便をする時はある種悟りを開いている気分になるから不思議だ。
だがそんなことより一番疑問に思う事がある。
それはまだ赤子の名前がわからない事だ。
母親のジェリーからは
『わたしの子供』『わたしのかわいい子』『わたしの天使ちゃん』
等と呼ばれ
ライラおばさんからは
『このガキ』『おまえ』『ほんとにお前は手のかからないガキんちょだねー生きてんのかい?』
等と呼ばれている。
あれ?もしかして俺おばさんに嫌われてるのかな?
手がかからないよう大人しくしてるんだから嫌わないで欲しいのだが。
そんな風に思う事もあるがジェリーがいない時は、どういった事情か知らないがライラおばさんが俺の事を見てくれている。
多分、根は優しい人だと思う。
話が脱線してしまったが、俺が二人から名前で呼ばれたことはない。
もしかしたらこの世界では生まれてすぐに名前を付けないのかもしれないが。
うううう、変に考え事をしているとすぐ眠くなる。
『わぁーおーーん…』
俺は日課のあ~んまでの発音を終え、瞼をとじた。
『やっと寝たのかいこのガキは。ぶつぶつしゃべって気味のわるい子だよったく…』
ライラおばさんが乱れた俺の衣服を正してくれる。
まどろみの中、この時間はライラおばさんかぁーやっぱりこの人優しいんだよなぁーとおもいつつ眠りにつく。
赤子の仕事は食べて寝る事。
だもんね?
幼児期編はあまり長くはなりません。