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log-008 獣かそうでないか

…教会での授業中に、どうやら外部から人が入ってきた。

 流れの行商人たちのようで、寄付ついでに僕らの様子を見るらしい。


 子供たちの様子を見るならばともかく、一応、モンスターなハクロがいるのはこの村以外の人間だったらどういう反応なのか気になったが、対応的には問題はなさそうだ。



「さてと、それでは今日の授業を続けましょうか。ハクロさん、そちらの黒板をお願いいたします」

【わかりました】


 糸で器用に引っ張り、僕らの目の前に吊り下げるハクロ。

 前までは立てかける道具があったのだが、それがちょっと壊れてしまい、ハクロが代わりに糸で吊り下げることを提案して、こうやって学びの授業を行う際に吊り下げてくれるようになったのである。


「それでは皆さん、本日の授業の一つとして、今日は一つまた知識を付けることにしましょう。そうですね…獣とモンスターの違いに関しての話にしましょう」


 そう告げ、黒板にさらさらっと絵を描く神父様。


 題名を書きつつ、そこには二匹の犬が描かれていた。


 片方は、普通の犬のようで、1の番号が記載されたもの。

 もう片方は、その犬に何かしらのアレンジを加えられており、2の番号が記載されていた。


「では、まずはわかりやすいところから行きましょう。こちら、1と書かれた犬は獣、2と書かれた犬はモンスターですが、どちらも犬の容姿をしております。さて、まずは何で見分けますでしょうか?」

「はいはーい!!まずは見た目でーす!!」

「はい、その通りです」


 獣とモンスターは数多くの種類が存在しているが、それでもいくつかは似たような姿になるものが多い。

 それでもどこかしらが従来の獣とは異なる姿を持っていれば、モンスターだと判断しやすいようだ。


「似たような獣の姿をしていたとしても、モンスターには獣とは異なるような独特の姿や雰囲気を有していることが、一番最初に見分けがつきやすいものになります。体色が以上にどす黒かったり、毛深かすぎていたり、はたまたは別の生物の肉体的特徴が追加されているなど、第一印象で見分けが付けば楽でしょう」

【私のようなものが、その例に当てはまりますね。人の体に蜘蛛の体、かなりわかりやすいでしょう?】

「神父様、蜘蛛って獣に入りますか?」

「ギリギリでしょう。どちらかと言えば、人部分が獣判定を受けているのもあるでしょう」


 怪しいような部分があるが、それでも見た目でわかりやすい部分で言えば、他の獣の特徴が混ざっているのであれば、モンスターである可能性が高いという。

 例外は存在するらしいが、外見的特徴から見分けやすくもあるようだ。


「次に、他の特徴としては何がありますでしょうか?」

「はい!モンスターであれば、体内に魔石と呼ばれる石が存在しているんですよね」

「正解です。獣であれば有しておりませんが、モンスターの場合はそのような石を体内に有しており、これがモンスターが通常の獣とは異なる能力を有するための力の源とされています。強大な力を持つモンスター程、宝石のような美しい魔石を持っているともされています」


 魔石…石と名がついているが、一説では内臓ではないかというものもあるらしい、不思議なもの。

 心臓に近い部分にあるらしく、取り出すとキラキラとした宝石のような見た目をしているらしい。


 また、モンスターが炎を吐いたり分裂したりするための動力源にもなっているようで、死してもその力は失われておらず、魔石の力を利用した道具が開発されていたりするそうだ。


【私の中にも、ありますね。ただ、流石に体の中なので、お見せすることはできません。抜き取られても、再生できるという話もあるようですが…絶対に、やりたくないですね。ジャックがどうしても見たいのであれば、惜しまずにやりますが】

「痛々しい光景が目に浮かぶから、絶対にやらないで」


 どう考えても体に手を突っ込んで引き抜くような、グロめの光景が想像できてしまう。

 そんなことをやるの、魔石が爆弾のようになっていて取り出して爆発させられると思うような輩でもない限り、絶対にやることはないとは思うが…彼女にそんな真似は絶対にやってほしくないだろう。



「その他にも、モンスターは友好・敵対・中立に分類できつつも、大半が敵対していたり、中にはモンスターの枠組みから少しずれているという特異種、神の使いの類ではないかとされる神獣種なども分けられるが…」


 モンスターも同じような種類で、別のものに分けられるのもあるらしい。

 よくある色が違うだけで別の存在になるようなものではなく、細かい部分で異なるようだ。


 何かと数があるようで、よく学ばされるのであった…









「…神父様、確実に気が付いていないだろうか」

「ああ、モンスターである彼女がいる中で、わざわざこの話題を我々がいる時に行っているようだが…ためになると同時に、やはりそうではないかという確信も出てくるな」


 授業が行われているその傍らで、見学を行っていた商人と、変装領主カルク男爵もといゲルハドはこそこそと話していた。


 報告を受けていたとはいえ、こうやって観察してみると彼女が…ハクロという名を持ったモンスターがどういうものなのか分かるだろう。

 授業内容を聞いて考えに捕捉ができるが、確実にただのモンスターではないことが理解させられる。


「特徴からして、まず通常のものではないというか…アレで通常種がどんなものなのか、それはそれで気になるな」


 蜘蛛部分はまだいいとして、人型部分を併せ持つ種族。

 そのような特徴を持つモンスターの種類を調べるとある程度限られてきて、なおかつさらに他の特徴を見ると、そこから種がさらに変わることが分かるのだ。


「…白を基調としているモンスター、なおかつ知性も人並みいや、それ以上か…」

「友好的に見えつつも、確実に一人に執着…番ということのようですが、それでも徹底的に尽くす心」

「この特徴を持つとすれば…やはり…」


 考えが確信に変わりつつあるが、そうだとしたら、下手な手を打つことができなくなるだろう。

 幸いなことに、今は周囲との関係が良好のようなので、こちらから動く必要はない。


 だがしかし、悪意あるものが手を出してきたら…


「うむ、間違いなくやばい。対策を練るようにしなければな」


 予想していたとはいえ、当たっている可能性が非常に高いのであれば、すぐに動いたほうが良いだろう。

 そう思いつつ、ここから出た後にどう動くか思考を巡らせ始めるゲルハド達。

 良い領主なことは良い領主なので、領内に被害が無いようにしようと、決めるのであった…





【…】


…そして、実はその話を聞いていたものがいた。

 人に聞こえないようにこそこそと話しをして、バレないような動作をしていたとしても…彼女はすぐに聞きつけ、密かに耳を立てていた。


 何者かはわからない。けれども、問題になりそうなものを減らせるのであれば、それはそれでいいかと切り替える。


【彼との生活を邪魔されないのであれば…別に良いでしょう。私が何者であるかなんて話は、私自身にとってもどうでもいいことですからね】


 自分が何者であるか、という問いは意味をなさない。

 彼女にとって大事なのは、ジャックとの生活だけなのだから。


【あ、そろそろ計算の授業のほうにしますから、こっちの板書消しますよー。写し終えましたかー?】

「あ、待って待って!!まだだよ!!」


 気を取り直しつつも、彼らが…行商人のように見えるけれども、そうではないことを見透かしているハクロは、普段の振る舞いを装いつつ、どのように動くのか静かに観察を続けるのであった…

今の生活を脅かされないのであれば、それでいい

一応ちょっとは対策を聞いておくことで、こちらでも生かせるようにだけはしておく

全く見ていないようでありつつ、密かに動いて…

次回に続く!!



…人のような部分を持っていたとしても、人そのままではない

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