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log-075 無慈悲なものはどこにでも

 ボボン村予定を迂回し、森の中を駆け抜けるタゴサックが牽引する馬車。


 元々熊っぽい見た目のモンスターなのもあって、駆け抜ける光景は妙にあっていた。


【グマッグマッグマァァ!!】

「張り切っているなぁ、あの熊」

【でも、気持ちはわかりますよ。森の中ってなんとなく落ち着きつつ、過ごしやすい場所を探したりするのも楽しかったりと、色々と感じ取れますからね】

【そうなのそうなの、特にミーとしては植物系だからこそ、日当たりのいい場所が無いかななど、つい探したりしちゃうのなの】

【我は元人間のほうのモンスターゆえか、そこまでは無いが…ああ、でもなんとなく、アンデッド的にはあの日陰は過ごしやすいかなと考えたりもするな】


 モンスターが色々と見られるのは、海に次いで森の中も多いらしい。


 植物や虫や動物や…その他様々な周囲が根付きやすいからこそ、本能的に居心地の良さを感じるのだろう。


【洞窟も多いらしいですが、食料面で言えば森のほうが良いって言うのも理由にありそうですけれどね。木の実に茸に獣…食料が多い面で見れば、人気な理由もわかりますよ】

【と言いつつ、主殿。ハクロは前に我との道中で、茸にあたって三日ぐらい茸まみれになった日もあったがな】

【ルミ!それは言わないでくださいよ!!大体そっちも、マンイーターにアンデッド系だからギリギリ捕食は免れたけれども、捕まってべとべとになったことがあるじゃないですか!!】


【どっちもどっちなの】

「と言うか、お腹を下すとかじゃなくて生えるってどういうことなの…」

「人間側で言えば、マンイーター…思いっきり人食い植物のモンスターがいる場所は、確認して冒険者たちに討伐しに向かってほしいところだがな」

【あ、安心してください。どちらも、数日間の食料にしましたので】

【意外とあれは、イケる味だった…あの時は焼くしかなかったが、今考えれば揚げるのもありだったか…】


 あはははと苦笑できるような笑い話も交えつつも、馬車は森の中を進む。


 思いのほか、道中に変な物には遭遇せずに、そのまま突っ切れそうな雰囲気が漂っていたが…そううまくはいかないようだ。



【ウォォーン!!】


「ん?今のは…」

【狼…ではないですね。ウルフ系の魔物の鳴き声です】

【獲物を発見、これより仕留める…と言っているのなの。んー、でもちょっと、経験が浅い気がするのなの。ミーだったら、この馬車襲う気は無いのなの。まず、熊がいるのもあるのなの】

【これはちょっと、恐怖する相手の経験が無い若いやつかもしれないな…自分たちが強いぜとか、そんな感じに思っている感情が伝わってくるぞ】


 どうやらウルフ系の魔物…姿が木陰から追いかけてきているのが見えるが、狙ってきているらしい。


「あれは…アントウルフだな。真っ黒な体毛をしたウルフ系の群れで、怖いもの知らずのモンスターだ」


―――

『アントウルフ』

黒い装甲に身を包んだ、狼のモンスター。

体毛自体が鋼のように変化しており、そう簡単に刃を通さない。

―――


【でも、このぐらいなら楽ですね】


 すいっとハクロが指を動かせば、透明な糸がきらりと日の光に当たってきらめき……次の瞬間、外でウルフの悲鳴が上がる。


バスン!!

【ウギャッツ!!】

【【【ウォォォンン!?】】】


【だって、関節部分までは硬い装甲が無いので、あっさり切断できますし】


【それに足裏は柔らかいのもあるのなの】


 そう言いながら今度はカトレアが指を鳴らすと、外でボゴッと土を突き上げる音がした。


ドスドスゥ!!

【ギャィンツ!?】

【【【ウオォォッフゥン!?】】】


【ああ、後は普通にこれも効くようだな…『死の宣告』】



 馬車の外を見ていたルミがぼそっとつぶやき、周囲に霧が発生したかと思えば…


【ギャフゥン!?』

【【【ワォォォォォンン!?】】】



「…うわぁ、あっさりとやられる仲間に、腰を抜かしたウルフが逃げていくよ」

「嬢ちゃんたち、見た目は綺麗だがやることが結構えげつないな」


 馬車を取り囲む動きをしていたはずが、次々出る犠牲に怯えたのか、すぐさま逃げ出すウルフたち。


 まぁ、気持ちはわからなくもない。

 相手のことが分からなくとも、自分たちの強さや数の利もあって、敗北するつもりなんてなかったのだろう。


 だがしかし、相当相手が悪すぎたというか、なんというか…ここに彼女たちが一緒に来てしまったのが、彼らの運の尽きだったのかもしれない。



 森の中の襲撃はある意味定番なのかもしれないが…そんなことも関係ないと、ハクロ達への安心感と、少しばかりの畏怖を抱きそうであった…


「でも、それでも陸戦か…空からの襲撃もあるって話だけど、それへの対抗策は?」

【一応、この馬車の上に私たちで少しトラップを仕掛けましたよ】

【巨大怪鳥がわしづかみにでもすれば、瞬時にボンッ!!ってなるようになっているのなの!!】

【地道な作業だが、これも上への安全策だからな】


「ちょっと待てい、嬢ちゃんたち。いつの間に、人の馬車にそんな仕掛けを」


…まぁ、この森の間だけのトラップで、後で外すようだ。

 ところで、ぼんってなるというけど…それ、僕ら側のほうも大丈夫なものなの?

さらっと仕掛けられていた模様

それがきちんと役立つかどうかは不明だが、使用する場面は来ないでほしい

それはさておき、森はそろそろ過ぎそうだが…

次回に続く!!



…理不尽の権化とはまさにこのことか

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