log-74 変わる道とやってくるもの
「…え?今回ボボン村のルートが使用できない?」
「そのようだな。先ほどマチョポッポ便で各馬車教会登録済に送られてきた、ルート情報だが…ちょっと迂回することになる。到着が1日ほど遅れてしまうのは済まねえ」
【いや、ある程度の余裕をもっての帰還ですので問題は無いのですが】
【それでも、使用できないとはいったい何があったのなの?】
…学園へ戻るための、ガンゴードさんの馬車に乗った翌日。
朝から早々に伝えられたが、今回の馬車の進路が少し変更になるようだった。
【まさか、悪魔に襲撃をされたとか?】
「いや、普通に凡ミスによる事故だ。ボボン村に関しては、以前聞いていたよな?ボボン酒で有名で、それで成り立っているって話だ」
「はい」
「その原料となるボボンの実、基本的にはその扱いに村の者は慣れていたはずだったんだが…今年度は品種改良されたいくつかの試作型ボボンの実…今までとはまた違った味わいを探求しようと行っていたらしいが、一部で扱いが従来と異なることが想定されていたのに、やらかした奴がいて…ボボンッ!!っと爆発を起こしたらしい」
先日の竜種騒動とは異なる悪魔の手による、ボボン村の事件。
あれを覚えていたので理解はできたが…悪魔がいなくなっても、自分たちで自滅するようなことがあっては意味が無いだろう。
「幸い、死者は出なかったが吹っ飛んだ家が村の宿泊施設でな…その他の後片付けもあって、一週間は立ち寄れないそうだ。だから、ボボン村を迂回するルートに変更になるのだ」
「なるほど…まぁ、そういう事件があったのなら、しょうがないか」
「理解をしてもらえたら、助かる。まぁ、迂回と言ってもちょっと森を突っ切るぐらいだ。ウルゴラウルフやドムグフバッファローが群れで出て、襲ってくることもあるが…タゴサックは何度か相手をして追い払えたこともあるし、そっちには嬢ちゃんたちがいるからな。そうそう大したことは起きねぇだろう」
迂回するルートには、いくつかの森を突っ切るらしく、中にはモンスターが群れで襲ってくる場所もあるらしい。
ただ、そこそこの強さの程度のようで、ハクロ達もいる現状、そこまで問題にはならないだろうとのこと。
「ああ、一つ危険があるとすれば、上に気を付けろということぐらいか。森の中ではあるが、一部大きく開いた場所もあってな…上から巨大な飛行するモンスターが襲撃をかけてくるという話もある。先日は、確かゴリランドの野郎がゴールドビー…黄金に輝く蜂のモンスターに襲われて、何とか助かったが、毒針で尻が真っ赤に腫れあがったと聞く。モンスターの素材が高く売れたのもあり、協会からの被害補償もあったが…それでも、気を抜かねぇほうが良いぞ」
「尻を腫らす蜂…いや、それモンスターであっても無くてもどっちにしろ怖いな」
「安心しろ。一応そいつの巣自体はその後に派遣された冒険者たちによって破壊され、出なくなったらしい。ただ、他にも空から襲う奴は出たりするから、気を付けねぇとな。昔、タゴサックと一緒に、巨大怪鳥ウーブンチョに襲われたこともあったなぁ…おとなしい間に通り過ぎればまだしも、予想できないブチギレをして、突かれまくったアレは苦い思い出だ…」
職業柄、何かとそういう話はよく聞きつつ、実体験してしまうこともあるらしい。
空からの攻撃が行われる可能性があるのならば、警戒しておくに越したことはないのであった…
【あー、私も空からの襲撃が嫌な思いでしかないですね。先日の竜種も空からの攻撃ではありましたが…ルミ、覚えてますかね?ほら、あの毒手を持った半透明の】
【ん?…ああ、あれか。上から強襲してきた、キングスカイジェリッシュ。海のクラゲが空のクラゲになったとも言われているらしいが…あの巨体で絡みつかれたのは嫌な思い出だな】
【何かヤバそうなことが過去にあったのなの?】
【やばいも何も、トラウマものですよ…ふふふ、あれのせいで私、一時期自分の糸が恐怖で使えなくなりましたし…】
【我もトラウマものだったなぁ…全身をこの首の炎で包まなければ…おおぅ…】
…ぶるぶるっと、何か過去のトラウマがあったのか、身を震わせる二人。
結構強いはずの彼女たちが、過去に何されたのかはわからないが…相当なことがあったんだろうな…
トラウマはさておき、ちょっとルート変更
大したものではないらしいが、警戒はしておくに越したことはない
世の中全て安全ではないのだから…
次回に続く!!
…鼻水が酷い今日この頃