log-070 上の胃はいつでも薬を求めて
…竜種騒動は、地方に収まるだけではない。
単純な被害であれば、申請してもらうことである程度の保証を行い、速やかな復興を行うことはできるだろう。
だがしかし、その被害が自然のものではなく、人為的な物…そのうえ、悪魔によるものだとすれば…
「…その分、内容がかなりえげつないとはな…カルク領の復興は確かに必要だが、この災害自体が人災…いや、悪魔災害と言って良いものとは」
「かなり厄介事になるとは‥」
はぁぁぁぁぁぁっと重く深い溜息を吐くのは、グラビティ王国の国王及び重鎮たち。
あげられた報告を聞くだけでも、相当な厄ものなのが分かってしまうのだ。
先日あった、カルク領を竜種が襲撃した事件。
下手に放置していれば他の領にも広まり、最悪の場合は王国全土が竜種災害によって大損害を被りかねなかったのだが…幸いなことに、領内でどうにか収めることができた。
しかし、それと同時にこれが自然発生によるものではなく、悪魔の手による人為的なものだったということが、頭を悩ませるのだ。
悪魔…それは禁じられたものであり、いるということはやらかしたものも存在しているということ。
そのうえ、報告された内容を確認すると、一体だけではなく複数体いるように思えるのだ。
「…いや、本当に厄災種及びその手前のものがこの国にいて良かったと思うが…同時に、そうなってくると他国のほうで同様の手口があった際に、様々な要求が出てくるのが目に見えるか」
厄災種…ハクロ、およびそのカテゴリに入りかけているカトレアとルミ。
報告には聞いていたが、今回の竜種騒動を集結させるのに大手柄を立てており、その実力に偽りは無いだろう。
だがしかし、悪魔が人為的にやらかした災害が起きたことで、同様の事件がこれから他国でも発生する可能性があり、そうなれば当然対抗手段を求めて…色々と厄介なことが起きるのが目に見えている。
「今回は彼女たちがいたからこそ、早期に収められたのはまだ幸いだったか…しかし、その成果が出てくるとなると、他でもどう考えても欲しくはなるな」
「当たり前だとは思いますけれどね。何しろ、どう考えても一国の持つ力としては、相当なものになりますし…一体は我が国の騎士団を一つ壊滅させた実績もありますからな」
「ああ、今はその実績もあって、騎士団の戦力向上のために鍛え上げてくれているようだが…それでも、どんどん積み重なってくれば、より探る手も増えるな」
「その中で、悪魔の騒動も収めたとなれば…あっちこっちで引っ張るのがなぁ…」
脅威と言うのものには、団結したほうが良い。
しかし、人間がそう考えたとしても、実際にやろうとすると難しいモノ。
何かと国益などのしがらみがあるがゆえに、そうやすやすと手を取り合って、一致団結をして対抗していくというのも厳しく、場合によっては脅威を利用しようと企む輩が出てもおかしくはない。
自分だけが大丈夫だと思ってやらかすのが多く、そのせいで、より多くに不利益をぶちまけまくるのは最悪な展開だろう。
「国として全力で取り込めれば一番ベストだが…彼女たちの場合は、その主のほうを狙うしかないか」
「しかし、やり過ぎればそれこそ国から離れる例もちらほらあり…バランスが難しいですな」
「下手に保護しすぎると、今度は腐って堕ちる可能性も否定できず…重用しすぎた結果、腐敗を招いてしまったという例は、悲しいことに歴史でいくつか実例がありますよね」
国としては欲しいモノ。
しかし、そう簡単に調整もできないのが難しいところ。
「さてさて、カルク領への復興費の支援も必要だが、今回の騒動に関わった彼らへの悪魔に関する情報の一部制限の必要願いや、褒章などの検討…やることが多いなぁ…何で、この代でこうもあるのか…」
「だが、今やっておけば後々の若い世代に憂いなくできますから、頑張らねば…!!」
あとに残しておけば、それこそさらに厄介な大問題が引き起こされるのは様々な国が証明している悲しい歴史。
だからこそ、そうはならないように、国を背負うものたちは必死に働くのであった…
「…いっそ、悪魔も使役して制御してくれれば助かるのになぁ」
「いや、アウトですね。悪魔の召喚自体が、厳しく禁じられておりますし」
「ならば、もう厄災種やそれに連なるものをどんどん取り込んで、あちこちでバッチリ対応できるスペシャルチームに仕立て上げるとか…」
「…制御しきれなくなったら、地獄では?いや、まずそうポンポン厄災種が出てくるわけが…」
上にいる権力者は苦労する者
良くピラミッド構造で上に立つのを見るけど、
ひっくり返したらそりゃ…
次回に続く!!
…余計なフラグを避けたいが、やらかす人も内側に…