log-041 呪われるのにも理由が必要で
…今回の従魔との魔法に関して、確認をしてくださるという専門家、シルフィさん。
見た目がどうもファンタジー関係で定番と言って良いような種族の姿をしているなと思っていたが、どうやらその感覚は当たっており、彼女はエルフという種族の人物だった。
エルフと言えば、イメージでは高慢だったりプライドが高そうだったり、それでいて実力に伴った魔法や精霊魔法、美男美女の容姿に長寿等のイメージがあるのだが…
「大体は当たっているけれども、少し違うのよね」
かくかくしかじかと話を聞けば、どうもこの世界においてエルフは少し特殊な立場にあるとのことだ。
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『エルフ』
人の種族カテゴリに該当しつつも、その性質が人とは異なっている特殊な種族。
モンスターではないかという声も上がったが、魔石を有しておらず、一説では物凄く大昔に人と交わって生まれた何かが変異を遂げて、出現した種族ではないかと言われている。
その身に宿す力は人以上のものがあり、寿命の長さや容姿の端麗さなどから、かつては奴隷目的で狙う者たちも存在し、悲惨な歴史を歩むこともあった。
しかし、現在では人と同等のものとして認められており、長寿だからこそ過去に遭った歴史なども語れるため、政府ご意見番や国の歴史を記録する記録者、人間ではできない長期的過ぎる実験結果の確認ができる学者などの道を歩み、世界に貢献する種族として認識されている。
ただし、モンスターではないとはいえ上位種の様な存在としてのハイエルフがエルフの中の王族として位置づけられているのだが、高貴な性格が災いしてか、それとも長期を見通す目を持つからか外とのかかわりを持たないように、どこか人里離れた秘境に隠れ住んでいるともいわれている。
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「ははは、そんな中で私はハイエルフ…その人里離れた場所に住む高貴な存在として、位置づけられているのさ」
説明を聞く中で、そのように告げるシルフィさん。
何やらものすごい方だったようだが、厄介な事情を抱え…いや、自業自得の結果で有してしまっているらしい。
「エルフの寿命は物凄く長い。だからこそ、その寿命の中で何かを見つけないと生きている意味がなく…探し求めた結果ある日、私はモンスターという存在に出会い、その存在がどのようなものなのか生涯をかけて研究をしようと、心に近い、学者としての道を歩むことにしたのだ」
しかしその情熱は少々、厄介すぎた。
長い時を生きるエルフだからこそ、何かしらの楽しみを見つければソレに没頭してしまうことがあり、物凄く視野が狭くなってしまう時もある。
あとから冷静になればいい話もあるのだが、彼女の場合はそれで様々なやらかしをしてしまったようだ。
そのやらかしの一つに、とある場所のアンデッドモンスター…リッチと呼ばれるような類と対峙してしまい、呪いを受けてしまったそうである。
「それが、モンスターとの接近が容易でなくなる…『いらだちの呪い』。周囲3メートル以内のモンスターに効果が適応されて、近づいただけで相当なイライラを募らせてしまうようになって、ふれあいが難しくなって…今に至るのさ」
寂しげにそう語るシルフィさん。
モンスターの研究を行うものとしては致命的な呪いでもあり、相当辛いのだろう。
「まぁ、そのリッチがかけた理由というのも、発見してからひと月…いや、それ以上だったかな?アンデッドの中では珍しい方だから、積極的に記録を取ろうとして…ぐいぐいと迫りまくったのが原因らしいがね」
そんなシルフィさんに対して、いつの間にかいたもう一人のエルフ…彼女のお目付け役という役目を持つというカンナさんがぼそっと原因を口にした。
どうやら、ほぼストーカーまがいのことをやっていたようで…次第にリッチのストレスが溜まっていったらしい。
撃退しようにも無駄に実力もあり、それで中々仕留めきれないことに腹を立て、呪いを浴びせたようだ。
「なお、その呪いをかけた後、身を代償にしたのかリッチは消失しましたが、物凄く満足そうな顔で消えましたね」
「消滅したのに、続く呪いって…どれほど根深くやられたのだろうか」
【私としては、リッチさんに同情できそうですけれどね】
【モンスターもしつこい人は嫌なの】
まだ出会ってそこまで時間が立っていないが、ハクロ達にはもう理解できる人になっているようだ。
とにもかくにも、自業自得な呪いはいつの日か解けることを祈って…いや、話を聞く限り他にもやらかしがあるようなので、解けないほうが世のため人のためモンスターのためになりそうだが、本題の方へ話を戻すのであった…
自業自得で、ある意味命を賭けた呪い
それが解放されるかは、今はどうでもいいだろう
必要なのはここからのことで…
次回に続く!!
…やらかし三昧記録、迂闊に書くとかなり長くなりそうなので、切り上げました。
機会があれば出していきたい…