log-199 手入れは怠らないようにしつつも
―――季節的には、そろそろ寒い風が吹くころ合い。
寒さに身を震わせる人々はすぐに対応するために暖かい衣に着替え、火を起こして暖を取り、この季節を乗り越えようとするだろう。
「ついでに皆も、しっかり厚着をして…と思ったけど、ハクロやレイはこの時期フワフワが増すなぁ」
【私の蜘蛛部分、冬毛が生えますからね。手入れが大変になりますど…】
【ふわっ、もふっ、ふっくら暖かだよ~】
一部の面子は冬毛に切り替わったりして、自然な対策が出来たりするのもある。
【我の場合は…この時期は地味に、きついな。この炎が寒いからなぁ…】
【オレも熱いのは良いが、寒いのはちょっと苦手だぜ…我が君、ちょっとくっつい、ぐぇっつ!?】
ブォンッツ!!
【寒さ対策に、熱湯を混ぜ込むと良い具合になりますけれどネ】
【いや、それスライムじゃないとできないなの】
「今何か、妙な音が聞こえたような」
【気のせいですよ。決して、ジャックに不埒な企みで近づこうとした鬼を瞬時に糸でなげ、ばぁっつ!?】
カッキィィン!!
「今度はハクロが凍ったんだけど!?」
【ぜぇ、ぜぇ…凍った池に、落とされた仕返しだと…思うぜ】
対策どころか、寒さで関係も少し冷えているような気がしなくもない。
とにもかくにも、季節が移り替わる中で、こういう時に一番気を付けないといけないのは体調を崩すこと。
もちろん、それは人であろうとなかろうと関係ない話でもなく…ゆえに、出来る限りの対策を行うこともあるのだが、その方法が受け入れがたいモノだったりすることもある。
「と言うわけで、ギルドから従魔を従えている人全員へ通達が来たんだけど…従魔向けのワクチン接種があるみたいだよ」
【【【【えっ!?】】】】
本来、こういう体調面に関しては、モンスターのほうが結構優れていることが多い。
頑丈だというべきか、環境に適応しやすいというか、色々な性質などもあって病気にかかること自体がほとんどないと言って良い。
だがしかし、この人も体調を崩すような時期に関してはモンスターも影響を受けることもあり、病気になったらそれはそれでとんでもないことになる場合もある。
【なので、きちんとした血の通っているタイプの方々へ向けて、免疫力を高める薬が打たれるようでス】
「血の通っている…そうなると、ハクロやルトライトは該当するとして、ファイやルミは該当しないのかな?」
【いえ、あたしの場合はスライムなので、この流動体に流し込む形になりますネ】
【我はデュラハン‥‥アンデッドだから、必要ないと思われがちだが、一応いるらしいな。死の宣告をくしゃみの拍子でばらまきかねないとでも思われているのか?】
それはえげつないというか、最悪すぎる展開である。
とにもかくにも、体調管理に気を使わないといけないのは変わらず…後日、きちんと受けるための予約を入れることになるのであった。
「…ふと思ったけど、この面子で使える注射ってどういうのになるの?」
【人間用は脆いので、ちゃんとモンスター用に調整されたものになりますヨ。一番キッツいのはたぶん…ルトライトですネ。オーガの肌って、他の方々以上に頑強で生半可な針は通さないので、極太の…】
【やめろ、それ以上言うな。想像したくねぇ…】
…青鬼みたいにルトライトが青ざめるが…それはそれで、どうにもならないことである。
【ついでに、ルミ。貴女の場合も注射、アンデッド用に無理やり流し込むタイプになりますネ。生きた人間の状態だったら相当ヤバい代物でス】
【生前の状態で、受けるような代物ではないだろ…死後に受けるからよかったと思うべき…なのか?】
ちょっとばかり健康へ
対策は取っておかないと、マジでキッツい…
次回に続く!!
…水着回、いつかやりたいけど季節ずれてんだよなぁ…閑話で出すべきか…




