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log-190 荷物は少なく、覚悟は大きく

―――留学期間も間もなく終わりを迎え、グラビティ王国へ戻る日が迫ってきている。


 そのためにも、しっかりこのエルメリア帝国の寮内でたまった荷物を、あっちにある寮やハクロ達用の邸の方へ移動させていく必要があるが…


「まぁ、あっちからこっちへ来た時と同様に、私物が少ないから楽だけどね」

【私たち、大抵自給自足できますからね…】


 きゅきゅっと荷物を渡す引っ越し業者…もといマチョポッポ便へ出すための荷物の整理をしていたのだが、そこまで大変なものではない。


 ここに来てレイも面子に加わったとはいえ、全員の私物を合わせても増えた量は微量と言ったところか。


【ふみゅっ…荷物…これでOk。ほぼ、本】

【我のだとここで買った新しい剣や盾だが…いかんせん、こっちはそう簡単に壊れぬからな】


 あるとしても書籍やその他のモノだけど、大抵は各々の力でどうにかなるものも多い。


 衣食住が人としての生活にとって大事な分、それを補えるだけの力が彼女たちにあるのも原因だろう。



【ミーの場合、このジョウロやスコップなの。あとは花壇の草花は…ここで大丈夫なはずなの】

【あたしの私物も、基本ギルド支給のものが多いな…ここで出す意味もないですネ】

【まぁ、荷物が少ないに越したことはないですしね。身軽な方が、何かと楽ですよ】

「それもそうか」


 荷物が多すぎたら困るが、少ないに越したことはない。


 それに、単純にここで過ごしての時間は王国での生活に比べてはるかに短いため、そこまで溜まるようなものもないのが原因だろう。


「よっと…ハクロ、これで全部なら縛って、マチョポッポ輸送センターへ運ぼうか。今日中に出しちゃえば、すぐに届くはずだよ」

【そうですね】


 全員に荷物の入れ忘れがないか確認し、手早く梱包する。


 まぁ、ここに全員いる時点でそこまで早く荷物が向かっても、すぐに受け取る人がいないが…大した問題ではない。


 盗まれて困るものもないし、何よりも…


【そもそも、オレたちの荷物を盗むような輩がいるか?】

【道中の輸送で、盗賊山賊その他悪党は出そうですガ、陸路の場合であって、マチョポッポ便なら空路で問題がほぼ無いですしネ】


 陸路よりも空路のほうが安全と言うのが原因である。


 そもそもマチョポッポ自体達もかなり強く、そうやすやすとその荷物を奪おうとする輩自体がいないだろう。


 それでも積載量に限度があるため、全てが空路で済む話ではないが…割と横道の話でありそうな、道中での商人襲撃があったとしても、大抵の場合は最も大事なものは先にマチョポッポ便で出していたりするので、被害は思った以上に少ないこともある。



 とにもかくにも、てきぱきとすべての荷物を片付けていくのであった…

















――――マチョポッポ輸送センター。

 そこは、各国に張り巡らされたマチョポッポ便の中で、荷物を輸送する部門が存在しており、通常のマチョポッポよりも筋力や速度などに特化した、尖ったマチョポッポが多い場所。


 多くの人々が利用するが、光景としては…例えで言うのあらば、公園の鳩の群れ。


 しかし、その中身としては、かなり大真面目なものも多く、仕事に命を懸けるものも多い。


 そんな中で、本日やってきた荷物に…マチョポッポたちの間で、空気が張り詰める。


【ポォ~ポポ…】

【ポォゥッツ!!】



 そこに出されたのは、いつもよりも少し早めだが、この時期には帰還のために荷物を出してくる各国の留学生たちの荷物。


 その中でも一つ、量が少ないながらも最も重要視される印がついた荷物があった。


【ポポーー!!】


…彼らの会話は、鳩の鳴き声にしか聞こえない。


 けれども、その内容からどれほど大真面目な話をしているかは、雰囲気でうかがえる。




 一歩間違えれば、物理的に首が飛ぶかもしれぬモノ。

 出した本人たちにとっては大したものではないのかもしれないが、影響力を考えると生半可は請け合いはできない。


 しかし、確実に運ぶ者がいなければならず…前に一歩、この場のマチョポッポたちの中でベテランが進み出る。


【ポポ…マチョポォォ!!】

【【【マチョポポポッポォオオオオ!!】】】


 その光景はさながら、死出の旅路にでる戦士を送り出す民衆のモノ。


 そこまで危険ではないのかもしれないが、それだけの覚悟を持つ姿に、マチョポッポたちは敬礼し、旅の安全を祈る。


 一羽のマチョポッポが丁寧に宛先を確認して告げ、荷物を請け負ったベテランマチョポッポはしっかりと無事に帰ってくることを告げ、その場から羽ばたいていく。


 勇気ある光景に、マチョポッポたちは鳩胸を打たれつつ、道中の安全を祈るのであった…






【…何で、私たちの荷物がそこまでやばいモノ扱いされているのでしょうか】


…荷物を出した後に、聞こえてきたマチョポッポたちの会話内容に疑問を浮かべる蜘蛛の娘もいたが。



荷物は出した

後はもう、出るまでの時間つぶしとなるだけ

それまで、何事も無ければいいが…

次回に続く!!



…なお、当初は日本語訳したマチョポッポ会話を出そうかと思ったが、微妙に絵面が…

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