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log-188 偉い人ほど苦労しやすい

…人の苦労と言うのは、何かと積み重なるものである。


 それが上のモノであればあるほど、より一層大きくなるものであり…



「…ゆえに、それが国を担う権力者であれば、さらにかかるものだが」

「正直に言えば、重すぎて我が子たちにさっさと継がせて逃げ出したくもある…が、重すぎるのがな…」

「そちらの国はまだ良いだろう?我が国なんて、聖女がすでに犠牲になってしまったんだ」

「うぉいうぉい、結構やばい状態なのが恐ろしやぁ…」


…人の上に立つものほど、その苦労もまたある模様。


 そう、この場に集まっているのは、非公式ながらも呼び集められた各国の王。


 本来であれば、ついこの間あったかのような感覚のある各国の国際会議の場があったが、色々と非常事態なことも起きたために、参加可能な者たちだけで集ったのである。


 原因は何か。簡単なことである。



「まさか、聖ヴァレス公国の聖女やアルガンドリア法国の法王、その他対悪魔用に特化した部隊のある国のいくつかが、壊滅したとはな…」

「恐るべし、大罪悪魔とやらの力…ただ、幸いなことに、そのうちの一体は先日破滅したようだが…」


 いくつかの国が襲撃を受け、大打撃を受けたこと。


 悪魔とまともに戦える存在がいるということは心強いが、育つまでに時間がかかることも多く、そのような存在がいくつも失われてしまったのだ。


 幸いなことに、この場に集まった者たちに共有された情報の中には、討たれた悪魔の情報もあったので嘆き悲しみまくるだけのことにならずに済んだのだが…それでも、やすやすと終るような話ではない。



「それで、得られた情報では、大罪悪魔を使っている輩の目的は…願いをかなえる方の目的が大きいという事か」

「大罪悪魔を利用した儀式…それを行うとなると、どれほどの犠牲が出るのか…想像したくないな」


 世界征服などの目的も可能性にありそうだが、行われている規模を考えるとそれで収まるようなものでない可能性のほうが大いにあり得るだろう。


 悪魔を利用しまくっている時点でロクデモナイ目的なのは目に見えるが…想像を超えてくるような厄介事をやらかされる可能性もある。



 それゆえに、警戒を強めつつ各国でさらに情報を共有できるように、ホットマチョポッポ便などでの迅速な情報のやり取りを強化してく。


 悪魔に対抗する手段の確認や、その貸し借り等も含め‥‥そしてついに、彼らが最も頭や胃が痛くなるような議題になった。


「それで、その中でも最大の対抗手段になりつつも、宣戦布告をされているからこそ最大の問題原にもなりかねない例の…『白蜘蛛の贄』はどうする?」

「「「「‥‥」」」」



 白蜘蛛の贄…それは正式な呼び名ではないが、表立って出すには少々強すぎるもの。

 数多くの従魔を従えつつ、厄災種やその予備軍を有している少年…ジャックに対しての呼び名。


 数が多いからこそひとまとめに呼ぶことを考えると、一番最初にそもそも彼と一緒になった蜘蛛から取った呼び名のほうが分かりやすいということで、一部では密かに広まりつつあるのだ。


…ただ、その呼び名に不満を持つ一部は解明して『轟雷鬼の贄』などの案が出たりと、彼らの好み的なものなのかはたまたはその呼び名を知っているからこそ裏から手を回されているのかは定かではないが、それゆえに正式に認められたものではないのである。


「…正直に言えば、大罪悪魔との対峙においてはこの上ない戦力にはなるだろう。本人たちに宣戦振奥がされている以上、激突すれば悪魔を滅ぼす方面で動くはずだ」

「だが、そのための陽動などで他も利用される可能性もありつつ、一部の愚か者共も焚きつけられて、さらに面倒な火種を起こしかねない」

「いやほんとうに…ほんぅううっとぅに、何でこんな少年に強大な力と美貌を持つモンスターが集ったのかなぁ‥‥」


 その誰かが叫んだその心からの思いに、集っていた者たちもまた同じ気持ちを浮かべる。


 見麗しい美女のような従魔たちを従えるのは、羨ましくもあるだろう。


 強大な力を持つ者たちだからこそ、その強さを得たくもあるだろう。


 しかし、大きな力には代償があると嘲笑うように、その分のリスクも大きく映し出されているのである。



 一国がその力を有せれば、それだけでも大きな一手になりそうだが、下手をすれば自滅しかない危険な代物でもあるのだ。



「そこまで危険視をするのならば、討伐と言う手段も無きにしも非ずだが…」

「その案を出したところで、相手をできるか?仮に、少年だけを暗殺したとしても、その後が…」


 どう考えても、手を出した後に地獄の光景が広がるのが目に見えている。


 言われずとも察しの良い者たちは、何も言えず、もろにその力を見ているからこそわかっている国王や皇帝などもまた口に出すことができない。


「一応、将来的にはグラビティ王国のほうで働いて…厄介事としては押し付けられそうだが」

「「「「…他国への侵略手段にも利用されない可能性も0ではないのがなぁ」」」」


 そう言われ、目を向けられるグラビティ王国の国王だが、残念ながら反論するすべがない。


 今はエルメリア帝国のほうに留学に出しているが、その期間だけでも色々と起き過ぎており、戻ってきたときの厄介さも想像できるだろう。


「一番良いのは、いっそ独立してくれることなのだがな…」


 調べていたら分かるが、良くも悪くもジャック自身にはコレと言って最悪になるような欲望がない。


 あれだけの力を有しているというのに、悪い方向へ奮う様子は見られず…ならば、何者にも縛られないような特殊勢力として維持できるような状態にできれば、まだマシになるだろう。


「爵位を与える、領地を与える、などで国に属させることもできなくもないが…管理する側としても、毎回周囲の暴挙に冷や汗をかくことになりそうなのがな…」

「馬鹿でもないが…もう少し安定感も欲しいな。知恵を配るものとかいたほうが、より慎重に動いてくれて、対応もまだやりやすくはなりそうだが…」


 全員そうつぶやいていくが、それでもすぐに決まるようなものではない。


 ひとまずはまだ保留として起きつつ…あとに残せばそれだけ大変なことになる可能性もあるが、後回しにし過ぎないようにどこかでしっかりとしなければいけないのだと、彼らは思うのであった…







「…ここまで来たら、よりやばいのを従魔にしても変わらないな」

「いっそのこと、独立問題も解決するような…拠点にもなる空飛ぶお城みたいなモンスターでも従魔になってしまえばいいのでは…いないか、そんなの」



上に立つものほど苦労する

便利に見えて、思いっきり恐ろしいモノ

それゆえに、その取扱いは慎重に…

次回に続く!!


…この世界、確実に薬屋が儲かりそう

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