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log-184 ガリガリとケズレテ

…正直言って、どのぐらい時間が経過したのかが分からない。


 いくら歩いても先は見えず、蠢く悍ましい肉壁の景色は変わらず、体力が奪われていく。


 周囲の警戒もしつつ、突然の悪魔の襲撃にも備えての聖なる力もチャージしながら進むが、それでもじわりじわりとジャックの限界が近づいてきていた。


「いや、どんどん消耗させるのも、相手の狙いか…?」


 決闘での疲労も加えて、ジャック自身を弱らせるのが目的なのか。


 ハクロ達でもあるまいし、ただの人間の子供を消耗させる意味が分からない。


 命を狙うという目的ならば、まだわかりやすくもあるのだが…どうも、この感覚から言ってそれも何か違うような気がするだろう。




 念のために同じ道をぐるぐる回る結果になっていないか確認するために、壁に手持ちの道具で印をつけているが…



「同じところを歩かされているわけでもないか…」



 似たような光景だが、付けた印も何もない。


 迷わされているわけではなく、本当に広い場所…いや、もしかすると広大な迷路にでもなっていて、そこで迷わされているのだろうか。




 平常時ならばいざ知らす、疲弊した中での警戒し続けることでのさらなる心身の疲労。


 積み重なってくれば次第に気力も奪われて、行動をとれなくなってくる。



(むしろ、追い込むのが相手の策略か…何にせよ、折れたらそこで終わるかもしれない)


 直接手を下さずに、徐々に追い込んでくるいやらしい手口とも言えなくもないだろう。


 そして嫌なほど効果的でもあり、一歩、また一歩、先へ向かおうとする足が重くなってくる。





 もう間もなく、ジャック自身の限界も近い。


 疲れた肉体を動かすのは、早く帰りたい意志。


 でも、そこへ忍び寄るのは悪魔のささやき。



『ーーーココデ、タチドマッテミレバ』

『ヤスンダホウガ、ラクカモヨ』

「…っ」


 足を止めて、休むというのは確かにありだろう。


 けれども、このような場所にとどまり続けていたら不味いとどこかで理解しているからこそ、その手は取れない。


『デモデモデモォ、ソノグライイイヨネェ』

『ソウソウ、ココチョットダケタチドマッテモ』


「…いや、ちょっと待て、そもそも何だこの声」


 ささやきどころか、結構はっきり聞こえるような。


 そう考え、良く周囲を見渡してみれば…天井にその答えがあった。


『ア、キガツイチャッタ』

『サソイニノッチャェバラクナノニ』

『ココカラデルノムリムリポ』


「上に思いっきり、大量に口があるんだけど!?」


 ささやきどころか、集合体恐怖症ならば確実に卒倒するレベルで、天井に口が並んでいた。


 思わずツッコミを入れ、疲弊で落ちていた気分が少しだけ上向きになる。


『アハハハ、キガツイテモイミナイヨ』

『ハナシテイルダケ、サソッテイルダケ、トイカケテイルダケ』

『ソレニ』

『『『キガツイタトコロデ、ドウニカナルノ?ハンロンデキルノ?』』』

「うぐっ…」


 痛いところを突かれたというか、この量の口を塞ぐのは確かに無理だろう。


 何と言うか、物凄く性格の悪い輩がここを作ったような気がしなくもないのであった…



「…いや、まだ口で良かったか。目とかのほうがよっぽど怖い…」

『オノゾミナラダスヨ?』

「出さなくていい!!」


…ガリガリと何かが削れていそうな…だいぶきついな…



結構きつい光景かも

何かと精神を責めつつあるような…

次回に続く!!


…わりとこういうねっとりとした精神を責めてく光景ってテンプレ…か?

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