log-180 わざわざ手を下さずとも
バシイイイインン!!
(っ、この戦法最初はハクロのように縦横無尽に動き回れるから良いなとは思ったけど…結構疲れるな)
周囲に生えまくったバンブーのしなりを利用して、全力で飛び回ってかく乱する先方は確かに有効的だったが、反動を付けさせるだけの力や、それに耐えるだけの力など体力を消耗しやすい部分が多い。
普段、ハクロの動きを見ているが…彼女の時は、そこまで消耗した様子を見せない。
単純に種族での違いか、それともまだ育っていない肉体ゆえか。
あるいはその両方なのかはともかく、長続きはできない。
いや、そもそもこのバンブーたち自体の寿命も相当短いので、もうすぐ決着をつけないといけないだろう。
「だからこそ、トドメの一撃が必要だけど…」
正直に言えば、その一手が難しい。
トマホークを全力で乱れさせて、扱っているが、この技自体も指先の負担が少し大きく、一歩間違えれば指先がつりそうである。
むしろ、明日の朝には動かなくなるほどの筋肉痛になりそうな予感もある。
「ぐぅっつ!!中々生きているように動く武器ってのは厄介だが、だいぶ慣れてきた!!周りの植物もぶった切ってきたし、そろそろ決めさせてもらおう!!」
ステライトの方もこの攻撃に慣れてきたようで、徐々にジャックの足場となっている植物を伐採し、機動力を奪っていく。
ならばもう、時間はないとみて良い。
「だからこそ、こっちも決めるために用意は既にしてあるのさ!!」
戦う中で、ゆっくりと着実に、蓄えていたエネルギー。
悪魔ゼリアスから伝授された技術として得た一つ、蓄積させる力。
通常では溜められない、戦う中で得られているものをゆっくりと蓄積させ、一気に放つ。
本来であれば、対悪魔用として聖なる力とやらをため込むのが正しい使用方法だが…何も、それ以外のモノを蓄積できないわけではない。
トマホークに組み込んである魔石が輝きはじめ、蓄えていた力を開放していく。
「『偽物の聖…もとい、蓄積・アクアブレード』!!」
猛烈な勢いで水が噴き出し、トマホークを包み込み、手斧から大きな大剣へと変貌させる。
「何っ!?」
「これでも、喰らえぇぇぇっ!!」
巨大な水の大剣が轟音を上げて振り下ろされ、バンブーの勢いではねたその身体、相手へ向けて突撃していく。
ステライトがとっさに盾を構えるが、それはもはや意味をなさない。
バキィイイイッヅ!!
「んなぁっ!?」
直撃を受けた盾が瞬時に砕け散り、その切っ先が差し迫る。
明かに鎧では防ぎきれないその一撃に、勝負が決まったとその場にいた者たちが思った…その時だった。
ボシュンッ!!
「「「「…え?」」」」
『っと?…何だ、ジャックの姿が消えたぞ』
今まさに、その水の大剣が振るわれようとしたその瞬間、ジャックの姿が消え失せた。
まるで、どこかに瞬間移動させられたかのような喪失に、実況席からも困惑の声が上がる。
『…マスター…?え、どこへ……』
あっけにとられつつ、最後までその姿を見ていたファイも、思わず普段の口調が崩れて、驚愕を隠せない様子。
その場にいた誰もがこの突然起きた出来事に理解できない中、決闘は急遽中止となり、すぐさま事態を収めるために動き始めるのであった…
【ま、まず、不味い不味い不味いでス!!マスター、どこへ!?後を追えない、つながりはまだある、でも行方が分からなくて、でも他の皆が知ったら、えっとえっとえっと色々と大変でスーーーーー!!】
「おいおい落ち着け!!パニックになっても何も状況が変わらんぞ!!」
突如として消えた、ジャックの姿
その場にいた誰もが理解しきれなかったが、事態としては最悪な方向に動いただろう
この状況で、爆弾を少しづつ…
次回に続く!!
…さて、何があったのか?




