log-175 準備はしっかりとやっておくべきもので
…従魔との参戦はできない、決闘の場。
それでも、自分たちのやれることはやっておきたいと、手助けできる部分は力を入れておく。
【なお、決闘時にはきちんと解説や司会進行役が必要なため、王国の大闘争会依頼久しぶりに視界に選ばれましたので、ここでリハーサルをしておくことにしましょウ】
「いやまて、何故俺が解説役として選ばれた?教師として、観戦を楽しみたいのだが」
その中で、決闘の予定日まであと数日と差し迫る中、何故か呼び出されたリアはファイに抗議をしていた。
【問題ないですヨ。決闘の中で安全管理のために教師がいくつかの役職に入る必要があるのですが、その中で解説役にあなたが選ばれただけなのでス。他の教師陣の意見としては、『なんか解説が旨そう』『授業中の説明が分かりやすいから同じようにできそう』『うかつに従魔たちが怒り狂った時でも生き残っていそう』等、選出されたようですネ】
「おいこら他の同僚共ぉぉぉぉ!!」
まともそうなそうでもないような選出理由に対して、思わず叫ぶリア。
悪魔と言う素性を隠して教師として働いている以上、起こりえる可能性はあったが、こうもピンポイントで来るとは思ってもいなかった。
【それに…おそらく、悪魔も関わりマス】
「…なんだと?」
ファイの言葉に対して、先ほどまで憤っていたリアは声を潜め、周囲をすぐに警戒する。
悪魔に関しての話をするのであれば、周囲に誰もいないほうが都合が良い。
「…良し、即席だが遮音の魔法を使った。その話をしてくれ」
【ええ、理解してくれる早さが助かりますネ】
かくかくしかじかどろどろと、ファイはリアに事情を話す。
今回の決闘に関して、ジャックへ勝負を挑んだ相手の情報に関して、既にある程度はつかんでいる。
「…その投資話、明らかに胡散臭いな」
【馬鹿でもわかりそうなものですが、それだけひっ迫しているのか…ただ、その決闘を仕掛けて目立たせるだけの理由に関しても予想が付きますネ】
はぁぁっとため息を吐きつつ、まるで茶番劇のような理由に呆れるリア。
面倒事はできるだけ避けたいのだが…相手から猪突猛進のごとく、勢いよくぶっ飛んできたのであればかわしようがない。
「要するに、解説役の傍らとして、悪魔に対する警戒もしろってことか…」
【そういう事になりますネ。あたしも実況する中で、周囲に目を光らせる必要がありますし…まぁ、死角はほぼ無いので、全体を見れる分まだマシなんですけれどネ】
「死角がない?…ああ、なるほど」
一瞬何のことだと思ったが、相手はスライムだったと思いだすリア。
ジェリースライム…見た目こそは人に近い状態だが、その本質はスライムであるため、人とはまた違う見方などもあるのだ。
【それに当日は、従魔だからこそ参加できない分、決闘会場全体を皆で本気で守る方に専念できまス。蟻の子…蟲すらも潜り込ませないように、隙間なくでス】
「従魔が参戦しないほうが、守れる可能性が高くなるとはこれいかに…いや、だが決闘自体、彼一人だけで参加することになるが、それは不安ではないのか?」
【無いと言えば嘘になりまス。ですが…それでも、マスターを信じるのみであり、なおかつあなたもご理解されてますよネ?思いっきり、技術を与えた相手がやすやすとやられるわけがないト】
「それもそうだな」
ハコニワで徹底的に叩き込み、ジャックに戦闘方面での才能はちょっと残念な部分があるが、それでも工夫次第ではやれることを見出しているからこそ、ファイの言葉に納得するリア。
ある意味、弟子のようなものでありつつ、その弟子が無様な敗北をするわけがないとは思う。
それゆえに、決闘当日には周囲への警戒だけで十分そうであり、考え込むだけ無駄だと結論付けるのであった…
「というか、話の最初のほうに戻すが…リハーサルと言われても、戦っている光景も何もないのだが何をやれと?」
【ああ、そこは問題ないでス。今から軽く、ハクロとルトライトが当日役割として応援側と護衛側を賭けてぶつかり合いますからネ】
「…いや、止めろよ!?明らかにシャレにならんやつら同士の戦いって実況どころじゃないんだが!?」
用意はしっかりやっておくもの
いままで割と不意打ちと言うか、相手から仕掛けてきた側が多かったが
今回は前もって対策しておけば・・・
次回に続く!!
…「軽く」の程度がどの程度だったかわからない




