log-171 成果はしっかりと
――たとえ一日、その中で三千日を過ごしても、すぐにはその成果は見せにくいモノ。
獲得したものがあったとしても、まだまだ経験不足なのは言うまでもなく、しっかりとした成果を出すには積み重ねを続けていく必要がある。
「…と言うわけで、手伝ってもらったけど…ルミとしては、これの完成度はどうかな?」
【ふむ…我の耐性の影響もあるが、主殿のその技…『失われた聖剣』の完成度はまだまだ低いな】
「むぅ…やっぱり、結構長い時間を過ごして修行したと思っても、実際にやるとなかなかうまくいかないか」
【ですが、ジャック。こっちの『聖衣』の方のバフは、結構凄いですね。まだまだバチバチと、わかりやすく輝きますよ】
【なのなの、真っ白になるのも面白いのなの】
覚えたことをしっかりと繰り返し学びなおさねば、得られるものもない。
そのため、修行した翌日から早速色々とジャックはハクロ達に協力をお願いして、確認を行っていたが、どうやら攻撃関係のものよりも強化や防衛にあたるような物のほうが精度が高いようである。
「実際に施した身からすれば、才能としては攻撃に特化するよりも、支援にむけたほうが良いように感じられたからな。それに、本来ならば術者自身にしかかからないはずのその聖衣の魔法も、特性を活かせばこうも容易く他の従魔にかけられるとは…これはこれで、まだまだ大きく化けられそうか」
その様子を見て口にしたのは、昨日星になったばかりの悪魔ゼリアス…もとい、教師リア。
大丈夫だったのかと疑問に思っていたが、どうやら何とか帰ってくることができたらしい。
「まぁ、あのハコニワは肉体的な成長がないからこそ、その分の経験を積めなかったが…それでも、今後は鍛錬を積み重ねていけばきちんと身に付くだろう。アレはあくまでも付け焼刃的なものになるからこそ、さぼらずに真面目にやれば全部をまともにできるはずだ」
「なるほど…」
たった一日、されども三千日の時間を過ごしたようなあの地獄の日々。
そこで得られたものも完全ではなかったようだが、それでも無駄ではない。
「とりあえず、これからはきちんと鍛錬を続けろよ。さぼるようなら…次はこっちのハコニワもあるからなぁ…」
「はい、絶対にさぼりません!!」
ちらりと見せられた新しいハコニワ。
効果はおそらく前とは少し違うのだろうが、それでもあの地獄が来るのは避けてほしいところ。
絶対に真面目に続けていこうと、ジャックは心の中で誓うのであった…
【…まぁ、確かに主殿はこれで強化されたようだが…単純に、聖属性のものを覚えさせたわけではないよな?】
「…ああ、その通りだ。万が一に備えて、あるものを二つ、仕込んでおいた。一つは、その聖属性を大幅に強化することのできるものだが…もう片方は、意図的に発動できないようにはした」
【ふむ?仕込んでおきながらできないように…何を?】
「…それはあえて、言わないでおく。可能であれば、発動することが無いように…まぁ、軽い封印だがな」
…こっそりと仕掛けていたもの。
それは、出来ればあってほしくない可能性を、どうにか減らすためにした悪魔の策。
中立の立場であり、本来の司るものを考えれば介入しないほうが良いのだが…せっかくできた、弟子のような者。
だからこそ、悲劇の種にもなりかねないものがあれば、ちょっとは可能性を減らすのである…
やれたのは仲間の強化が主なもの
攻撃的なものはそこまででもないが、この面子の強化だけでも相当な物だろう
さて、次回あたりは新章へそろそろ移りたいが…
次回に続く!!
…悪魔だけど、可能なら悲劇は避けたい主義




