log-168 潰すのならば、しっかりと
…大罪悪魔たちからの宣戦布告。
そんなものをされずとも、敵対することは確定事項。
しかし、相手は悪魔であるからこそ、対峙するときには一筋縄ではいかないことは、これまでの経験から理解している。
「それゆえに、今後のことを考えて悪魔に対抗できる手段を増やしたいけど…現状、力でのごり押しにも限界があると思って、それで…」
「…俺に聞きに来たというわけか。単純に、悪魔ならばその弱点をより理解していると」
【というか、ゼリアス…いや、お前がリアとして活動していた時、聖騎士として一番どのようにして悪魔と戦っていたか覚えているだろ?】
まだあった夏季休暇だが、ナモアリ村だった廃村から帰還してジャックたちは今、エルメリア帝国の体の学園内へ戻っていた。
休暇中でも、一応勤勉な学生たちのために、学園の寮は開かれたままであり、教師たちも予定が無かったら戻って相手をしていたりする。
その中で、リア教師もとい悪魔ゼリアスに対して、悪魔を討伐する方法を求めた。
過去、生前のルミが共に戦った経験があり、聖女の元に使えた神聖騎士としての技術がある彼ならば、悪魔に対しての対抗する手段を持っていてもおかしくはない。
そうでなくとも、そもそも悪魔であるからこそ悪魔ならではの弱点を理解しているだろう。
悪魔相手に直接機と言う反則技の様なものなのだが…村を滅ぼされた怒りや悲しみがあるとはいえ、目の前の相手がやったわけではない。
そのあたりの分別はありつつも…こうやって直に、悪魔に教えを乞うというのは討伐を狙うのならば矛盾している行為でもある。
(…だが、一応は悪意に対しての対抗手段も必要か)
ジャックの姿を…その魂を見て、心の中でそうつぶやくゼリアス。
悪魔としては、彼がどうなろうが実は関係ないこと。
ただ見るだけであり、多少の縁があったとしても立場ゆえに深く関わるようなつもりもなかった。
しかし、事情が変わったのであれば話は別だ。
大罪悪魔…この世界において違法な召喚で型枠を利用して変じた悪魔たち。
悪魔には悪魔なりの理もあり、それを犯すような相手がいるのならば放置はできない。
とはいえ、立場的な問題もあって堂々と真正面から殴りこむのはできない。
「…まぁ、ならばこういう手段は取れるか」
幸いなことに、直接手を出せずともやってくれるものならばいる。
それに、これだけのモンスターを従えているだけの力も見せてもらっており…力不足というわけもない。
「わかった、悪魔に対抗したいのならば…それだけの技術を教えよう」
「本当に?」
「ああ。ただし、条件はある。悪魔には契約が必要だ。…俺の対価は、それなりにあるぞ」
【昔のよしみで、我が主への対価は何もなしにできないか?】
「…出来ないぞ。そもそも、悪魔の契約は信用第一、しっかりとした取引でないと相手もしない。…正直言って、魂とかを狙うのが多いのは、それも対価として一番わかりやすいってのがあるからな」
悪魔との取引で多いイメージがある魂。
正直言ってそれが一番、対価として明確でわかりやすいって理由で、人気があるようだ。
「だが、俺は理由が無ければ魂は別にいらん。食べる奴もいるが…特に腐ったものを狙うゲテモノぐらいのやつもいるがな。そうだな、仮にも同族を狙うような技術を教えるから…」
対価を示せば、やらないこともない。
双方に損がない、対等な契約であればより良いものだ。
そう告げながら、ゼリアスはジャックたちへ対価を提示するのであった…
【と言うか、ふと思ったけど、悪魔の貴方自身は、同族に対して使えるものなの?】
「問題ない。とっくの昔に、克服済みだ。使い始めの頃は、腕が灰になったりしたが…」
【それ、本当に人間が使って良いものなのか?】
…問題は無いはずである、多分。
毒を以て毒を制す…合っているのかな、これ
そう考えつつも、やれる手段は増やして良いはずだ
相手が悪魔なのを考えると、どうなのかと思う気持ちもちょっとあったりするが…
次回に続く!!
…あと数話ほどで新章や悪意どろっどろかな…




