log-164 キュウテンチョッカ
―――国として、民を守るための対策はしっかりと取っておくもの。
特に、その対象が重要であればあるほど、より厳重にしておきたいのは間違いないだろう。
だがしかし、そういう守っておきたいものほど、外からすれば…狙いたいものがある者からすれば、より大きな弱点として認識してしまうだろう。
大事にするのであればそこがやられたら不味いと解釈して…
『…けへへ、不味いと言ってもこういう肉はうまくもあるが…手を出しにくくもあるのは、それ相応と言うべきか』
『まぁ、一応は厄災種が竜種災害の経験を経て村の防衛に手を入れていたようだが…良く食えるな、ソレ』
『お前は食わないのかガルスト?』
『暴食のお前のように好き嫌いなく食えるわけじゃねぇよ…ガビルード』
…破滅と暴食をつかさどるガビルードの問いかけに対して、常識と憤怒の悪魔であるガルストは拒絶する。
その手のものを贄にして召喚されることがあるとはいえ、食べられるかどうかは別のこと。
バクバクと喰らい続ける暴食に、憤怒は呆れてしまう。
『げふっ…ふぅ、旧色欲の馬鹿がやらかした怪我も癒えて、万全になったが、それでも腹の減りはすぐ来るなぁ。いっそ、怠惰のやつに胃を怠惰にしてもらうべきか…?』
『無理だろう。我々は七大罪の型枠で召喚されているが…その大罪に干渉するような力を、大罪同士では扱いきれない。旧色欲が馬鹿みたいに馴染み過ぎて扱えていたが、アレが特殊な例であって、こちらが皆出来るわけではないだろう』
『そんなもんか?まぁ、ならば食べ続けるだけでいいか』
空腹を長期間無くせるかもしれない可能性を速攻で否定されたが、気にする様子はない。
何にしても今は、この惨状に対して後片付けをする必要がある。
『とりあえず、良い感じに食べ切ったらさっさと去るぞ。怠惰のほうに、聖ヴァレス公国の聖女及びその候補が討伐しに色々やっているらしいから手助けをしに行く必要がある。アルガンドリア法国はもうだいぶ堕ちたというのに、しつこいところはしつこいからな…』
『うぇ、聖女か…あれ、クッソ不味いんだよなぁ…美味しいかと思ったら、中から身を焼く劇物なのがこれまたキッツいのなんの。でも、刺激もまたうまくはある…何だろうなぁこの矛盾は。ふむ、また料理本としてまとめるか』
『毎回思うが、その本買う奴いるのか…?いや、いなきゃ地道な販売費が入ってこないが…』
ツッコミどころは色々とあるだろうが、ここ最近は新たな枠組みに入れる悪魔の選別が捗っていないのもあり、これ以上失いたくはない。
そのため、気持ちを切り替えて彼らはその地を去るのであった…
―――燃え盛るナモアリ村だった場所を後にして。
…悪魔が語る、悪事の話
それは誰にとっても良くないこと
そしてもっとも最悪なことも…
次回に続く!!
…どれだけ、ここが大事だとしても…守れなかったら、意味はない




