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log-159 暴れさせるのは簡単なこと

「…『ウォーターボム』」

ボボボンッ!!


【おー、前よりもだいぶスムーズに出るようになってきましたね】

【我が君の魔法がオレ達を介して発動するとはいえ、こうやってやるといつも不思議な感じがするぜ】

【ふみゅ…こう、ふわーんの、もふっと出ている…?】


 いつもの授業の放課後。

 今日は久しぶりにハクロ達を介した魔法の練習を、ジャックは行っていた。


 弱めの水の魔法を扱い、手をつないでいるルトライトとレイの二人分の魔法が発動する。

…レイの場合は手ではなく翼だが、細かい部分は気にしなくても良いだろう。



 本来であれば、魔石を埋め込んだ魔法の杖を媒介にして、人は魔法を発動させる。


 しかし、ジャックの場合は従魔の魔石を用いることで彼女たちの分だけ数を増やすことが可能であり、ハクロ達自身の魔力も利用することで、威力も上がるようにはなっているのだ。



「ただ、やっぱり消費の負担は術者に来るのはまだ変わらないか…うーん、レイの魔法にもまだ及ばないしね」

【そりゃ、オレの魔法は確かに桁違いだが…それでも我が君の魔法の感覚は、扱うとどうも普通とは違うような気がするんだよなぁ…】


 この面子の中で、ガッツリ魔法に対して博識のあるルトライトとしても、ジャックの魔法は普通とは違う感覚を抱くらしい。


 だが、それが何なのかもよくわからないよう。


【ふみゅ…でも、悪くはないかも、こう、ほんわかしているのが心地いいよ?】

【うんうん、確かにわかりますね。ジャックの魔力がすぅっと入ってくるのは、普通では味わいづらい感覚ですが、悪くはないですよ】

【オレ達の中の魔石に、我が君の魔力が通過して魔法を発動させるか…ふーむ、仕組みだけ見れば、魔法の杖と同じような扱いながらも、死んだモンスターの魔石ならばともかく、生きている身だと生み出す魔力で邪魔されて発動は無理そうなのだが…】


 普通ならばできないらしい、生きたモンスターを介しての魔法発動。


 しかし、それが出来ているのだから不思議なことではあるが、とんでもない威力の魔法を扱えているわけではないので、そのあたりで変なバランスが取れているのだろう。



「まぁ、今日の魔法の鍛錬はこのぐらいで良いかな…そもそも、強い魔法ならルトライトが使えるけど…」

【そうだぜ。ただ、鍛錬して損はないだろうよ】


 物凄く強力な魔法を今は使う必要もないし、日々の生活に活かせるような方法を模索したほうが得策だろう。


 簡単な水魔法だけでも割と需要はあるし、保存なら氷、調理なら火…ちょうどいいぐらいのものが出来ればそれでいい。




…まぁ、ロマンあふれる大魔法使いとかも興味がないわけではないけど、その魔法に関してはルトライトのほうが使えるから問題は無い





「さてと、終えたところで部屋に戻って、昨日届いた新刊でも読もうかな‥?」

【あ、昨日帝都の書籍店から届いたものですね。『夢と八尺様とゴリゴリラ』でしたっけ?】

【何、その意味不明なタイトル…気になるかも…】

「悲劇の英雄譚だね。何気にシリーズものらしくて…ちょっとばかり、普通よりお高いから前にミラージュにもらったアレが使えてよかったんだよね」


 エルメリア帝国の関連商店で全品半額になるカード。

 これのおかげもあって、お手頃価格になっているのが良いところではある。


「まぁ、一度に全部読むのも何なので、少しづつ届くように注文したけど…全部読むのが楽しみだな」

【面白そうだな。我が君、読み終えたら次貸してくれ】

「良いよ」


 こういうので同好の士が増えたりするのも期待したい。












「…あれ、ファイさん休憩時間に本を読むなんて珍しいですね。何を呼んでいるんですか?」

【ン?マスターから借りた、『現実と八尺様と生卵』でス。こっちは喜劇で爆笑できますネ】

「爆笑…え?笑い声だしてるの?」

「さっきから黙々と読んでいるようにしか見えないのですが」


…ちょうどその頃、帝都のギルドでファイが休憩を取っていた。


【さっきまで、各地の依頼書の整理もしていたので疲れたのでス。こういう時こそ、気分を変えられるようなものを読みたくなるのデ…】

「あー、謎の爆発現象とか、モンスターの凶暴化案件とか?あっちこっちであったりするみたいだよね」

「後者の凶暴化は、割とシャレにならないからなぁ…前者は髪が爆散した報告が一番恐ろしいが…」


 ギルドに届いていた、各地での依頼やそれに関する報告関係。


 その整理を行うと様々な情報が出てくるのだが、今日はやや面倒なものが多い。


(…爆発は、悪魔召喚の失敗みたいなのが多そうですが…後者の方が、嫌な予感しますネ)


 出てきた報告を整理する中で、色々と気になるものが出てきたが、関心を向けるとすれば凶暴化の話だろう。


 報告によれば最近、帝都の周辺で急にモンスターが凶暴化する事例が出ており…中には本来、人には敵対しないような友好的なものまで変貌したとのことだ。


【…あたしも人造的に作られた方とはいえ、モンスターなのでこの報告が怖いですネ】

「でも一体、何でだろうか?内容を見る感じ、人為的な可能性が大きそうだけど…そんな簡単に凶暴化させられる方法ってあるの?」

「いくつかあるって話はあるけど、大抵は公にされていないとか…どう考えても悪用されるのア理由らしいけれども」

【なるほど…】



 気になる報告であり、もしもそのような事態になればシャレにならないのも想像できるファイ。


 自分以外にも、凶暴になったら相当不味いのがいるのは目に見えている。



 とりあえず、念のために情報を皆に共有しておこうと思うのであった…




「ところで、そのシリーズって他に何があるの?」

【英雄譚をベースに、喜劇、悲劇、活劇、復讐劇…色々と混ざっているようでス】

「バラバラなのか…好みが人によって分かれるが、その全てに対応しているのかな‥?」


ちょっとした気になる情報

下手にやってこないように祈りつつ

共有はしておくもので…

次回に続く!!


…八尺様に関しては、ちょっと作りたいなぁ…と思うネタだったりする。短編か新作で、いつかやりたい…

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