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「すぅ…すぅ…」

【ふみゅ…ふふ…ふにゅぅ…】


…穏やかな晴れ間の中、ぐっすりと昼寝をする一同。


 その姿があるだけならば、微笑ましい光景とも見えなくもない。


 少年がセイレーンに抱かれ、眠っているというのは、男からすればある意味羨ましそうな光景でもあるが…


【‥‥】


【…なぁ、ハクロが笑みを浮かべているのに笑う気配どころか、嵐の前の静けさのような恐怖の雰囲気を纏っているのだが』

【なのなの、触らぬ神に…触らぬハクロにたたりなしなの】

【気持ちはわかるぜハクロお姉ちゃん…でも、怖いぜ…】

【そのうえ、しっかりとマスターがこれで起きないように、伝えないように抑え込んでいるようですネ】


 ハクロが纏う、般若、龍、鬼…様々な物が入り混じっているような圧に対して、ぼそぼそとルミたちは話し合い、そっと見守ることしかできない。



 内心では羨ましがりつつ、セイレーンに対して地獄の炎よりもやばそうな嫉妬を燃やしつつ、様々な感情が入り混じった状態で抑え込んでいるのだろう。


 仮にどこかの嫉妬の悪魔でもその光景を見ていたら、あっちのほうが自分よりはるかに嫉妬にふさわしくないかと言いだしそうなレベルであり、多少はその心境が分からなくもないルトライトでさえも、一歩後ずさりをしてしまうほどのものである、


 かたやポカポカ陽気で仲良く眠るものたち。

 かたやぽかぽかと可愛らしく叩く感じならばまだしも、爆砕粉砕玉砕させそうな拳を今にも振り下ろしそうなもの。


 その差は歴然としており、普段どれだけジャックを重く思っているのかが見てわかるだろう。


【あやつ、昔はあそこまで嫉妬心を出した様子を見せたことはなかったがな…いやまぁ、まず我が主に出会う前のことではあったが】


 この面子の中では、ハクロとは過去に旅をしたことがあるルミがそう語る。


 まだ主も番もお互いに見つけておらず、一緒に旅をしていた時代があったが…その時と比較しても、こんな彼女を見たことはないのだ。




【番って、そんなに重いのか…?】

【まぁ、まず間違いなく相当なものになりますネ。モンスターである身で言うのもなんですが、番と言うのは相当強固な縛りでもありまス】

【というと、どういうものなの?】


 かくかくしかじかと、ファイがギルドの記録等で確認していることを説明していく。


【番…人間で表現すれば運命の相手だの言われたりしますが、実際にはそんなものを感じ取れるのはそうそういないのでス。よっぽどのことでもない限りは遭遇もなく…いたとしても認識は並大抵のことではできませン】

【ふむふむ】

【ですが、時として番を感じ取れるものもいるようで…そういった者は、知らずのうちに心の底から探し求めたくなり、動き…本能の赴くままに惹かれて自然と遭遇できまス】


 しかし、仮に見つけたとしてもそうたやすくいかないのが番事情。


 片方が明確に認識していたとしても、もう片方がはっきりと認識していないことのほうが多く、そのせいで多くの悲劇が生まれることもある。


【特に、狂愛…もとい、厄災種に該当するモンスターの場合、その番との結びつきは尋常なものではないでス。まさにその名の通り、番に何かあれば国そのものを相手取って滅ぼしたりしますからネ。過去の記録ですと、焼き尽くす、海に沈める、空へ飛ばす、黄金に変える…まぁ、あくまでも記録に残せるほどだったものは、このぐらいの末路があったりしますネ】

【記録に残らなかった方が恐ろしいのなの】

【記録があるって、まだいい方なのか…?】

【まぁ、その位は確かに…うん、まぁやるな】


 恐ろしい記録の数々に引きつつ、ちょっと同意する。


 

【むむむ…このぐらいなら、大丈夫でしょうか】


 そうこうしている間に、ハクロのほうが何とか嫉妬に折り合いをつけて、糸をつかってジャックとセイレーンを釣り上げ、自身の蜘蛛部分の背中に乗せた。


【…良し。ちょっと引っかかりますが、これでいいでしょう】


 モフモフの羽毛布団を、自身の背中でジャックにかけていると思えばいい。


 それでいいのか、纏う雰囲気が軟化し、一同はほっと安堵の息を吐く。



【…いや、オレとしてもちょっとうらやましいのは…変わらないような】

【まてルトライト、今収まったものをまだやる気か】

【厄災種…狂愛よりもわかりやすく、ヤンデレ種にでも改名したほうが良い気がするのなの】

【それは何か間違っているような…間違ってないのカ?】


…とりあえず、少しの間危機は無事に去ったようではあった。

ちょっとした世界の危機は去った

でもまず、このセイレーンも後々どうするのかと言う話にもなりそう

出会いがあれば当然そこからくるものも…

次回に続く!!

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