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log-153 モフは世界を超えて

【けぷぅ…美味しかった】

「ふぅ、全部食べ切ったから腹が膨れたな」

【食べるだけ食べて、飛べないのなの】


…ぽかぽかとした陽気の中、全員お弁当を無事に食べ切った。


 それなりの量があったが、セイレーンの分も人数が追加された結果、誰一人として残さずにすべてのお弁当が空になったのである。


【良かったですよ。ジャックが一番ですが、それでも皆が幸せそうになってくれたのであれば、作った私自身もうれしいですね】

【スライムゆえに消化もすぐできましたが、当分何も食べなくても大丈夫なほどですネ】

【アンデッドの身でも、食の楽しみは失われぬのは良いな】


 全員お腹が満たされ、満足した状態。


 そんな中でこの心地い陽気の中では、ゆったりと眠気も襲い掛かってくるだろう。


「ふわぁ…眠くなってきたかも」

【なら、私の背中に乗って…】

【ふみゅ、こっちに寝かせるの】

ぐぃっ

「えっ」


 ハクロが自身の蜘蛛部分の背中に誘導しようとすると、ぐいっとその上に乗ろうとしたジャックは引っ張られた。


 もふっとした羽毛がその身体を引っ張り、そのまま背中から倒れ…



ぽにゅんっ、もふぅぅ

「…わー…やばい、凄いモフモフだ」

【人間の子、こういうのが結構良いって、見ていたよぉ…】


 倒れかかったのは、セイレーンの身体。

 何か柔らかいものと同時に羽毛で包み込まれ、羽毛布団のような感覚を味わう。


【---】

【ちょっ、ハクロお姉ちゃんの空気が!!】

【無言の圧が、でもマスターを無理やりできないから何とも言えないような威圧ガ!!】


 なにやらざわざわしているが、こっちのほうの居心地の良さも良いだろう。


【ふみゅぅ…お弁当のお礼だけど…こっちも抱き心地が良いぃ…ふみゅ、すやあ…】

「ちょっと、こっちも何か柔らかいものが…ああ、でも眠気が…」


 暖かくほわほわとして、満たされている今、睡魔が全力で夢の中に手招いているだろう。


 抗いづらく、そのまま夢の中へと引きずり込まれていくのであった‥‥


【ふふふ、ふふふふ、ふふふふ…】

【ハクロ、怖いなの、何かこう、背後から龍が出ているような感じがするのなの】












…ざわざわとガチの威圧とほのぼのとした空気と、相反するようなものが混ざり合うような空間が出来ていたその頃。


 ワタモコドリたちがもふもふと集まっている湖で人々が戯れている場所の近くで、ランニングを行っている者たちがいた。


「えっさ、ほいっさ、あらさっさと!」

「駆け抜け体力つけて、頑張るぞぉい!」

「「「我らが心、健康から第一で!!」」」


 先日ファイに敗北しつつも、見事に立ち直ってトレーニングでより心身を究めようとしている、アルガンドリア法国対悪魔特化戦闘部隊、神聖のゴゴンドラズのものたち。


 帝都から少し離れているが、その周囲を回って悪魔への警戒を怠らないようにしつつ、この場所にまでやってきたのは理由がある。


「ここにそろそろ、ワタモコドリたちが集っている湖がある!!そのモフの誘惑を振り切り、突っ切るのだ!!」

「悪魔のごとき誘惑、なんのその!!」

「我らが不屈の心、容易く折れず!!」


 噂に聞くワタモコドリたちの集団。


 そのモフモフの誘惑は種族を問わずひきつけ、誰も彼もが魅了されるという魔性の代物。


 それを悪魔の出す誘惑に見立て、耐えきることで精神の向上を図ろうとしているのだ。




 確かに、このモフモフの誘惑に打ち勝つことができれば、かなり強固な精神だと言えるだろう。


 だがしかし、心では思っていても無意識の行動とは恐ろしいもので、離れるはずが徐々に引き寄せるように足が動いている。


 そのことに彼らが気が付くのは、目の前にモフの海が広がった時であった…

ふわふわの誘惑が恐ろしい

でも魅了されるのは間違いないだろう

このセイレーン…ある意味魔性で…

次回に続く!!


…いや本当に、モフモフは良い

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