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log-124 地脈と利用する者

…エルメリア帝国の城は、見せかけと上下に分かれた作りになっている。


 その構造を保つために、帝国ならではの様々な技術の粋や得られている資源を用いられており、ちょっとやそっとでは崩壊することも無いだろう。




「…そのエネルギーには様々なモンスターの魔石等も利用されているというが、中でも一番大きいのは地脈からのエネルギーだとか…」

「なんだそりゃ?」

「難しいことでわからないなら、でっかいエネルギーを地面から抜いていると考えろと書いているぞ。まぁ、とりあえずそれを…俺たちで利用することになるらしい」


 昼間の城の見学後、学園に戻ってきた生徒たち。

 その中で、とある一団はこっそりと深夜の寮内の一室に集まり、怪しい魔法陣を描いていた。


「なるほど…それで見学時に、城のあちこちに変な石を置けという指示があったが…アレはそれを奪うためのモノなのか」

「そうらしいぞ。ただ、怪しいものは排除するように掃除されるから、百ばらまいても回収されて…良くて1、2個がギリギリ気が付かれないようで…それでも利用できるものらしい」


 彼らがランプの明かりで見ながら描く魔法陣。

 これはどうやらとある悪魔を召喚する術式のようだが、彼らのような素人では簡単に呼び出すことができないもの。


 しかし、どうもそのハードルを下げる道具や資料が、あの怪しい人物から受け取った中に入っており、それを実行したところ今まさに、その準備が着実に進行しつつあるのだ。



「だが、悪魔召喚か…それってバレたら相当ヤバくないか?」

「でも、そこまで犯すリスクに見合ったものらしく…今では禁忌となっている魅了を扱える悪魔を呼べるようだ」

「まじでか!!おお、それで魅了をあの美しく強い奴らに利用して…」


 ぐふふふっと何名かは想像できる展開に思わず笑みを浮かべるが、その中の一名は違っていた。


「いや、その利用は無理だろう。奴らが強いのであればその程度の耐性は持っていて、抵抗できる可能性がある。最悪、それでバレるだろうな」

「なら、どうする気なんだ?」

「…単純なことだ。何も魅了を使う相手はモンスターに限って話ではなく…これを、彼女たちの主に利用するのさ」

「男を魅了する趣味はないぞ」

「「「当たり前だろ」」」


 思わずツッコミが入るが、何も考えが無いわけではない。


「まぁ、よく聞け。彼女たちの魅了は難しいだろう。だが、精神的な動揺が強い時に、かかりやすいとも聞く。そこでだ、その動揺を引き起こすために…魅了で奴らの主を操って、従魔契約を解除させるのさ」

「契約の解除を?」

「そうだ。そもそもの話、契約があるからこそ、魅了をしたところで容易く操れるとは限らない。それも考え、奴に契約を解除させることで操りやすくさせつつ、解除を感じて動揺している間に、魅了を狙うことでよりかけやすくするって寸法だ」



 単純に強い彼女たちに対して、まともに魅了が入るとは考えていない。

 そこで、隙を作りつつより容易にするために、動揺を誘うことも兼ねてジャックを狙う。


 と言うよりも、権力を…力のある相手を狙って墜とすために使うという使い方は、ある意味魅了の正しい使い方の一つかもしれないのだ。



「さて、話している間にも用意ができたな…それじゃ、これから呼び出すぞ。全員、魔法陣の中央に立て!!」

「「「おお!!」」」


 やり方に関しては説明書があるようで、それに従って彼らは動く。

 悪魔を召喚すること自体が相当不味いことだが、それでもそれに見合うリターンがあると考えてのもの。




…しかし、彼らは気が付かない。

 いや、そもそもそこまでやらかしている時点で察するだけの力までは無いのだろう。


 作戦を考え、確実にやれると思える方法を探り当て、扱おうとするそこまではよかったのだが…悪意と言うものを、甘く見ていたのだ。



 誰が、そんな容易に悪魔を召喚できる方法を教え…違う、リスクが無いようなものを用意できるのか。


 古今東西、どこの世界に有っても食われるのは愚者であり、彼らはまさにその愚者になってしまったもの。



 それに気が付くことができれば、まだ悲劇を避けられただろうが、残念ながらそうはいかない。


 これは、彼らがたどり着いてしまった結末なのだから。


「ーーーさぁ、現れよ!!悪魔よぉおおおおおおお!!」


 意気揚々と儀式を進めていくうちに、魔法陣が輝きだし、彼らはその光に見合う輝かしい未来を手に入れられるだろうと、希望の光を見出していた。


 その光と共に禍々しい門が出現し、彼らの目の前で開かれるのであった…












【ーーむ?】

【ん?…今何か、妙な気配がしましたよね?】


…深夜とはいえ、眠る必要はないが寝ていた彼女たち。


 しかし、妙な気配を感じ取り、身を動かす。


【でも…消えたようなの】

【消えたというよりも、すぐに身を潜めタ】

【…嫌な予感がするぜ】


 ぐっすりと眠っているジャックがいるので、すぐに動くことができない。

 それでも厳重な警戒態勢を取り、部屋への侵入を許さないようにする。



 その晩はすぐに何も起きなかったようではあったが…翌朝、ある事態が引き起こされていたことが学園中に伝わるのであった…

愚か者は利用される

それが例えどのようなものだとしてもわからないまま

だからこそ、都合が良くて…

次回に続く!!


…さあ、やっちまったなぁ

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