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log-120 刃を研ぐものと…

…エルメリア帝国の学園は、実力主義な面が強い。

 自己研鑽に励む必要があり、そうでなければ落とされる可能性がある。


 しかし、向上心が強ければより一層鍛錬に励みやすい環境でもあり…だからこそ、機会があればおのれを高めようと挑む者もおり…




「…その結果として、この死屍累々の山と言うわけか」

【いや、全員きちんと生きておるぞ、主殿】

【分かりやすくかつ、実戦形式でやっただけだが…やっちまったぜ】


 剣をしまい、杖を降ろし、そう答えるのはルミとルトライト。


 そして彼女たちの目の前には、おびただしい数の生徒たちが…剣と魔法でそれぞれ挑もうとして、敗れ去ったものたちが倒れ伏していた。






 帝国に留学してはや一週間。

 時間もそれなりに経過したので、どの程度のもの確認し終え、環境としては努力をする者にはそれなりに良い措置が取られるのでそれなりに楽しく過ごせていたが…時間が経過すれば、少しづつ触れてくるものも増える頃合い。



 そのため本日、学園内ではなかなか味わえない実戦形式かつモンスターとの戦闘を兼ね備えた訓練が、剣と魔法の講義それぞれに受講している生徒たちで合同で行われ、その特別参加者として彼女たちが呼ばれたわけなのだが、結果としては見事なまでの大敗北。



「くそぅ…まさか、一太刀も浴びせることもなく、負けるなんて…」

「これが世界の広さ…いや、モンスターを相手にするからこそ、人間とは違う容赦のなさ…」

「大衆の中の一粒として見られるだけの、冷たいまなざしがなんか良いぞぉ」

「この結果は読めていたとはいえ、それでもこの人数を相手にとは、やはりまだまだ研鑽が足りなかったかぁ…」



 敗北したとはいえ、生徒たちから出る言葉はただ悔しがるだけのものではなく、向上のために向けて自身に言い聞かせているようなものも多く、ここで潰れて見せるような様子はない。

 一部、変な扉を開きかけている輩がいるのは自己責任として放置するとして、良いのだろうかコレで。


「…問題ないですわよ。わたくしたちがまだまだ、至らぬものだということ。この鍛錬自体は、相当効くのですわ」


 こほんっと咳ばらいをしながら、倒れ伏していた生徒たちの中から立ち上がったのは金髪ドリルのような髪型が似合う少女。


 そう、結構前の話だが…誘拐騒動で知り合った女の子が、この学園にいたのだ。


 

「ミラージュさん、その割には相当ボロボロになっているけど大丈夫ですか?」

「問題ないですわ。この程度…アンナ、皆にも手当てを」

「はっ、お任せください、お嬢様」


パンパンっと彼女が手を叩けばすぐに、見ていたメイドの人が、あの般若の形相で道行く人々をおののかせていたメイドが手早く片付けていく。


【…流石、帝国の第三皇女の側仕えなだけありますね。手際が手慣れてますよ】

「あ、ハクロ。もう戻ってきたの」

【はい。私のほうも、色々と済ませてきましたからね。カトレアは花壇の手入れ、ファイは帝国冒険者ギルドの中で今、講習会を受けているのでまだかかりますが…】



 グラビティ王国とは勝手が違う、エルメリア帝国の帝都。

 この場所に留学当初は馴染めるかと言う一抹の不安もあったが、既にその不安は払しょくされており、着実に馴染んできている模様。


 ハクロ達も従魔としておとなしく部屋にいるだけでは飽きるので、色々と多方面に交渉を仕掛けたらしく、その結果としてこうやって授業の参加や、他の物事に関わったりして、あちこちとの新しいつながりが生まれているのである。


「まったく、それにしてもすさまじい魔法でしたわね。えっと、ルトライトさん、この魔法はどのようにして…」

【む?ああ、それはこう、魔力の流れを認識しながら…】


 やや呆れたような言い方をしながらも、さっそく今の反省点を見つけだそうと聞きだすミラージュさん。


 皇女と言う立場であるそうだが、彼女の主に請け負う学科はまさかの商人向けのものありつつ、自衛のための手段としてこの魔法の授業も受講しているらしい。




 まぁ、そんな身分的にはかなり高い相手も、問答無用でジャックの従魔はぶっ飛ばしているわけだが…平等に相手をしているといえば、聞こえはいい方だろうか。


【でも、我が君が参加しなかったのがちょっと残念だぜ】

「護身術の授業での特訓相手をしてもらう際に、ボコボコにされたからその経験が生きたんだよ」

【我ら、主でも容赦しないようにしてますので…】


 十分な危機管理能力が働いたともいえる。



 とにもかくにも、授業にもしっかりと馴染み(?)、受けている日々だが、王国とはまた違った感じの刺激が多く、留学してよかったと思えるだろう。


 期限があるとはいえ、ここでの学びをしっかり吸収しようとジャックは思うのであった…




【ところで、生徒たちだけを相手にしているはずですよね?なんか、大人も交じってませんか?】

【あー…この方たち、教員らしい】

【オレたち相手に、教師として良いところを見せようと張り切っていたけど…やっちゃったぜ】


「この帝国の学園、生徒だけではなく教師もまた鍛錬を積むのですわ。いくつになっても、自分磨きのことを忘れぬ人が多いのですわ。ただ…まぁ、その一応教師なのでそれなりに強いはずなのですけれども…お二人とも、無茶苦茶ですわね…」


…生徒だけではなく、教師もまた一人の人としてしっかりと磨く心を持つ人が多いのか。


授業に混ざる光景は見慣れた者

この場所だからこそ、より一層励む者もいるだろう

だがしかし、光があれば陰があるといったもので…

次回に続く!!


…ここでも着実に人脈が築かれている模様

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