表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の剣  作者: 高倉麻耶
第一部 第七章
56/139

第七章 竜の鏡(8)

 メリル卿が声をあげると、それまで彼の前に浮遊していた鏡の位置が下がった。彼は「おおっと」とつぶやいて、両手で鏡を受け止めた。浮遊呪文は術者の意識に依存するため、気を抜くと魔法の効果が落ちるのだ。


「邪法に対して有効な結界を張ることができるなら、ぜひ教えてくだされ。それさえ学べばもう、この鏡を手放しても大丈夫ですわい」


 彼はディーンとカイトの前にしゃがんで、双子の眼をかわるがわる熱心にみつめた。二人はしばらく黙っていたが、やがてディーンが静かに口を開いた。


「そうですね、わかりました。ただ、かなり高度な魔法陣ですので……図書館長のマルスさんと一緒に。あと、有望な若い魔道士を二人ほど、連れてきてください」


 マルスの名を聞いて、メリル枢機卿はちょっと嫌な顔をした。しかし、すぐ諦めたようになって「わかりました」とつぶやいた。彼は弟と顔を合わせるのが気まずいようだ。


「この鏡は仰る通りにお譲りしますが、ちと研究したいことが出来ましたので……もう少し後でもよろしいでしょうか?」

「実は、早いほうがいいです。できれば今すぐ。『導きの光』が、いつ来るかわかりませんから」


 その言葉を聞いたメリル卿は、ひどく残念そうな顔をして、名残惜しげに鏡の装飾を撫でた。


「……ううむ、では、もうしばらく王都に滞在してくださらんか」


 ディーンとカイトは同時に明るい声で笑った。ギレンは、カイトの笑い声を初めて聴き、心底驚いた。彼がそんな風に笑うことがあるなんて、思いもよらなかったのだ。


 なんだかんだ言っても、やはりまだ無邪気な子どもなのだ、と彼女は思った。そして、できることなら他の子どもと同じように、思うさま彼が野山で遊びまわれるようになればいい、と考えた。カイトが笑わないのは、いつも何かにずっと耐え続けているからで、本当はもっと気楽に笑い、子どもらしく遊ぶべきなのだと。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ