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閑話 ~急激に流行し始めた感冒について~
ここ数週間で、ある感冒が流行し始めた。
医者への取材をまとめると以下のような状況であるという。
・子供と女性が特に罹る傾向にある。青年男性が罹った例は無い。
・兆候や潜伏期間が無く、感染経路も不明。
・季節性の流行感冒に似ているが、全く別のものと思われる。
・高熱、めまい、だるさ、喉の渇き等の症状。歩く事も困難になり、重篤な者では意識が朦朧とする。
・早くて5日、遅くとも10日も経てば全快する。
・現在、死亡例や後遺症が残った事例は無いが、前例の無い病であり予断を許さない。
当初は口さがない者達の間では例の貧民街が出所ではないかという噂も囁かれていたようだが、主に患っているのが壁の外に出ない女・子供である事からその説は早くも否定されているようだ。
筆者が気になるのは、快復した子供達が口々に云う「新しい友達」の話である。罹患する前日に見知らぬ少女と友達になったというものだ。数々の証言において少女の特徴が黒、もしくは青のドレスを着た金髪の少女と、いずれも一致するのである。
一人の少女が感染源となって広がる流行性感冒。果たしてそんなものが存在するのであろうか。そして少女の正体やいかに。
今はただ流行の落ち着きを待つのみである。
─── ウィークリー・ノースガーデン記者、ジャン・エシュマイヤー ───




